第八話:聖女様、俺を異端扱いしないでください
「え、いや、待って! なんで俺、異端者判定されそうになってんの!?」
俺は思わず叫んだ。
この世界に来てから、ずっと振り回されっぱなしなのに、今度は異端審問!?
「本当に神に愛された者であれば、聖なる加護が宿っているはず」
聖女様は落ち着いた声でそう言った。
いやいやいや、俺、転生しただけで何の能力も使ったことないんですけど!?
「だから、どうやって証明しろと……?」
「私が確かめます」
「どうやって!?」
聖女様は、すっと俺に歩み寄ると、額にそっと手をかざした。
次の瞬間——
「……っ!?」
俺の体が、眩しい光に包まれた。
「うおっ、まぶしっ!」
部屋全体が神々しい光で満たされる。
「…………」
聖女様は驚いたように俺を見つめた。
「……本当に、すべての神々の加護を……?」
「え? あ、はい、多分?」
「……嘘偽りは、ない……」
聖女様はしばらく沈黙した後、ゆっくりと口を開いた。
「……あなた、正真正銘の“神に愛されし者”ですね。申し訳ありませんでした。」
「おお、やっと誤解が解けた!」
「ですが……」
「え?」
聖女様は困ったように眉を寄せ、俺をじっと見つめた。
「このままでは、あなたの存在が世界の均衡を崩します」
「……いやいや、ちょっと待て」
今、なんかヤバいこと言われた気がするぞ!?
俺、ただのサラリーマンだったのに、なんで世界崩壊の原因みたいになってんの!?
この世界、俺を振り回しすぎじゃない!?
(第八話・完)