第六話:王都到着! だが、歓迎ムードではなかった
「……で、俺たちはどこに向かってるんだ?」
「あ、はい! ここを抜けたら、すぐに王都の門が見えます!」
御者が興奮した様子で答える。
俺たちはなんとか刺客を振り切り、吊り橋を渡った先の道を進んでいた。
途中、崖を降りたり、川を渡ったりとサバイバル要素満載の移動だったが、なんとか進んでこれた。
そして——
「おおお……!」
目の前に巨大な城壁がそびえ立っていた。
その向こうには、高くそびえる白亜の城。
まさに、ファンタジー世界の王都!
「ついに着いたか……!」
異世界転生、王都編スタート!
俺はついに、文明的な生活に戻れるのだ!
これで牢屋暮らしとも、馬車の強制ジェットコースターともおさらば!
風呂に入りたい! ちゃんとしたベッドで寝たい! うまい飯を食いたい!
そんな希望を胸に、俺は意気揚々と王都の門をくぐった。
——が。
「……え?」
なぜか、兵士たちに取り囲まれた。
「おい、貴様が“神に愛されし者”か!?」
「うわ、またこれかよ!」
「貴様を王宮まで護送する! 逆らうな!」
「ちょっと待て、まず説明を——」
バタン!
気づけば、またしても馬車に押し込まれていた。
「いや、もうちょっと優しくしてくれません!? 俺、犯罪者じゃないんですよ!?」
「黙れ、異端者!」
「異端者!? ちょっと待て、話が変わってきたぞ!!」
何がどうなって異端者扱いになってんの!?
俺はただの会社員だったんだぞ!?
なんかもう、嫌な予感しかしない——。
(第六話・完)