第十話:国王との対面、またしても巻き込まれる俺
「……ここが王宮か」
俺はでっかい門の前でため息をついた。
異世界らしい豪華な建物、広大な庭園、輝く噴水。
「ふむ、王宮に来るのは初めてですか?」
隣で聖女様が微笑む。
「そりゃそうですよ! つい昨日まで牢屋にいたんですから!」
「それは……お気の毒でしたね」
いや、あなたも俺を異端者扱いしかけたでしょ!?
そんなツッコミは飲み込んで、俺は渋々門をくぐった。
静かに暮らしたいだけなのに、また訳のわからん場所に来ちまった……。
そして、国王との対面
「おお……お前が“神に愛されし者”か」
謁見の間に通されると、豪華な玉座に座る偉そうな髭のオッサンが俺を見下ろしていた。
サルディア王国国王、グラウス三世。
隣には武装した騎士や高官がズラリと並び、完全にガチの王族イベントだった。
「……はじめまして?」
俺がぎこちなく頭を下げると、王様は興味深そうに俺を見つめた。
「聖女セリアが言うには、そなたは本物の神の祝福を受けた者だとか?」
「ええ、まぁ……たぶん?」
「……実に信じがたい」
ですよね!?
俺も未だに信じられてませんから!!
「だが、そなたの力を試すことができれば、信じるに値しよう」
「……試す?」
「王国騎士団との模擬戦を行ってもらう」
「いや待て待て待て待て!! 俺、戦闘経験ゼロですよ!?」
「問題ない。我が王国最強の騎士と手合わせし、神の加護がどれほどのものか確かめてもらおう」
そんなの俺が死ぬ未来しか見えないんだが!?
「いや、俺、本当にただの一般人なんですよ!?」
「神に愛された者が、そんなことでどうする」
「うわぁ、完全に逃げ場なし……」
気づけば、周囲の騎士たちが俺を囲んでいた。
こうして俺は、異世界転生して初の戦闘(強制)に巻き込まれることになった——。
(第十話・完)




