北海道編♡
「なまら好き」
突如、美雪からの告白に僕はぶったまげた。
今日はバレンタインデー。
冴えない、イケメンじゃない、ちょっと太り気味。
そんな三拍子が揃った僕に、告白なんて考えられずまずあり得ないと思っていた。
「玲君が、好きなの……」
「え、えっと」
「なまら好きなの!」
もうこれは熱烈な告白だ。
僕はひどく焦った。
美雪は、もともと幼馴染ではあった。
大人しい、北海道の雪に埋もれてしまいそうな色白でもあり、黒目が大きくてめんこい。
つまり、可愛い方だ。
そんな幼馴染の美雪が、学校帰りに僕を待ち、毎年通りの義理チョコをくれる。
だから僕も、
「ありがとう」
と毎年通りに返事する筈だった。
それが今年のバレンタインデーが違う。
ガチで違う。
嬉しすぎる。
僕は、寒さと緊張に震える美雪の手を握った。
「僕からもお願いします。付き合って欲しいだべさ」
美雪が、弾けたように顔を上げる。そして涙を浮かべて微笑んだ。
まだまだ降る雪の中、お互いの手のぬくもりがとても心に沁みた。
「ハッピーバレンタイン」
どこからか、そんな声が聞こえた気がした。
♡「なまら」とは「とても」「すごく」を意味します。