表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/26

東京都編♡

『ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ポーン……。只今の時刻をお知らせします。現在、午後二時ちょうどです』

(みやこ)はスマホを耳元から離す。

彼氏が、約束の時刻にまだ来ない。

もう、一時間も待っている。

暦の上では春と言うけれど、今日は寒い日である。

せっかくお洒落してきたスカートから覗く生足が冷たくて堪らない。

外で待ち合わせするんじゃあ、無かった。そう心の中で呟く。

気になって気になって、待ち合わせの場所から動くのも躊躇われていた。

だって、今日は特別な日だから。

「好きです。付き合ってください」

一年前、高校三年生のバレンタインに告白をしてOKを貰った彼氏。

嬉しくて舞い上がっていたけれど、すぐに卒業。大学も別々だった。

不安で仕方なくても、毎日お互いに連絡を取り合った。

都は彼にぞっこんだったし、彼も都を「可愛い自慢の彼女」と言ってくれた。

デートだって何度もした。

一人暮らしの彼に家に、遊びに行った時もある。

さすがに、泊まりはしなかったが。

でも……。

都には、不安な事が一つだけあった。

その不安を、今日のデートで彼に相談しようと思った。

だがもう無理なのかもしれない。だって、だって……。

「都……!」

その時、大声で都は名前を呼ばれた。

弾けるように振り向く。

(じゅん)!」

「駄目じゃあないかそんな恰好で」

「え……?」

都は涙目をぱちくりさせる。

彼氏の純は都に駆け寄ってくると慌てて自分のコートを羽織らせた。

そして、抱き寄せる。

「都、ごめん! 本当にごめん! 俺、自信が無くて。父親になる、自信が」

「どうして、まだ何にも言ってないのに……。どうして分かったの?」

「お前が、大好きだから」

都の目から大粒の涙が溢れた。



「ハッピーバレンタイン」

どこからか、そんな声が聞こえた気がした。








♡ザ・鉄板の告白台詞ですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ