表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/26

栃木県編♡

昔から、そうだった。

バレンタインには、素敵な思い出が付き物だと思っていた。

なのに、わたしの想いは空回り。

「ごめん、何か愛実(めぐみ)の想いって重いんだ」

本命の人に、大きなハートのチョコレートを渡せばこの結果。

その年は、学校からの帰り道に泣きながら自分で作ったチョコを食べた。

友達のつぐみが同じくチョコを付き返されて一緒に泣いたっけ。

「とうと好きでした」

何で、この言葉が重いのだろう。

「ねえお母さん」

「ん、なあに?」

ソファーでぐたんともたれながらわたしは母に呼び掛ける。

「お母さんは、お父さんにバレンタインチョコ渡すの?」

今年もバレンタインは巡って来る。明日には、やって来るのだ。

「渡すわよ」

さも当たり前の様に母は言い切った。

「わたしの想いってそんなに重いのかな……」

「うーん。そうねえ」

母はわたしの隣に座る。

「天秤があるとするでしょ。貴女の愛はこれだけ。相手の愛がたまたま釣り合わないんじゃあないかしら。いつか、愛実の愛の分だけ、同じくらいだけの想いをくれる人が居る。きっと居るわよ」

「お父さんがそうだったの?」

わたしの問いに、母は笑って何も言わなかった。

次の日。

玄関で深呼吸をするわたしを母は見送ってくれた。

鞄の中には、ハートのチョコレートが大切に仕舞われていた。

「行って来ます!」


「ハッピーバレンタイン」

どこからか、そんな声が聞こえた気がした。

♡「とうと」の意味は「ずっとの」の意。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ