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閑話1 チュートリアル後の眷属たち

本日2話目(2/3)

 昭がハウスへ向かった後、眷属たちは世界樹周辺に集まって話をしていた。

(ク):クイン (ラ):ラック (ア):アイ (シ):シルク (ル):ルフ (フ):ファイ


(ク)「どうやら向かわれたようですね」

(ラ)「そのようですね。御体(世界樹本体のこと)から感じる魔力が少なくなったようです」

(ア)「少なくなったというよりも、動きが落ち着いている」

(ラ)「確かにそのようですね。さすがはアイ様です」

(ア)「カクカク(←珍しくラックから褒められて、少し照れている)」

(シ)「それにしても主様の本来の休み場所ね。どのようなところなのかしら?」

(ル)「すんごいところ? ところ?」

(シ)「ルフ。少し落ち着きなさいな。気になるのはわかりますが」

(フ)「我々では想像もつかない場所なのだろう。天上の神々が住まうような」

(ク)「そうだとしたら素晴らしいですね」


(フ)「ところで主が帰ってくるまでの間、どうするのだ?」

(ル)「狩り? 狩り?」

(ク)「狩りをすること自体は賛成ですが、領域の主を倒しに行くのはどうでしょう?」

(フ)「何故だ? 主のために領域を広げておくのもいいのではないか?」

(ク)「それこそ、領域が知らない間に広がっていたら主様が困られるのではないでしょうか?」

(フ)「……ぬ。いや、しかし。先ごろの討伐時もすぐにいつも通りになられていたではないか」

(ラ)「私たちには分からない何かがあるかもしれません。そのようなことが起こった時にはどうするのですか? 主様に押し付けるということですか?」

(フ)「押し付けるなど!」

(シ)「わたくしたちには分からないことを話していても仕方ありませんわ。ですが、アイ様は反対のようですわね。理由を聞いても?」

(ア)「無事に勝てたとしても誰かに何かがあれば、主様が悲しまれる」

(フ)「……ぬぬ。それは確かに避けねばならぬな」

(ク)「領域の主だけあって、今の私たちでは簡単に勝てるとは言えません。確かにアイ様の言うとおりに、主様を悲しませるわけにはまいりませんね」

(シ)「それでいいのではありませんか。主様からは領域の主を倒すようには言われていないのですから、下手に手を出す必要はありませんわ」

(フ)「……仕方あるまい。領域の主を倒したことで俺自身の力も上がっているようで、試してみたかったのだが……」

(ラ)「それは通常の魔物で試せばいいでしょう。格上で試したいという気持ちも分からなくはありませんが、主様のいない今は下手に動くわけにはいきません」

(フ)「そうだな。了解した。だが、周辺調査は続けるのだろう?」

(ラ)「それは勿論。主様は何よりも周辺の状況を知りたがっている様子。であれば、それを止めるわけにはいきません」

(ク)「ですが、下手に探索の手を広げると同じように領域の主と接敵する可能性もありますよ?」

(ラ)「ですから主様が戻ってこられるまでは、今までの探索範囲をより細かく調べるように変更します。魔物どもの生息範囲をきちんと把握しておけば、主様が求める魔石も手に入りやすくなるのでは?」


(シ)「それはいいですわね。……と言いたいところですが、私は少なくとも主様が戻ってこられるまでは、探索には参加しませんわ」

(ラ)「何か問題でも?」

(シ)「問題というよりも、以前から試していた例の件で動きがありそうなのよ」

(ク)「あら。シルクもですか。私も似たような状況ですね」

(ラ)「試していた件というと、新たな眷属に関してですか」

(シ)「そうよ」

(ラ)「戦力の拡大は重要課題です。それは是非とも優先していただきたいところですね。ですが焦りは禁物です。失敗してしまっては元も子もないのですから」

(ク)「それは私たちが何よりも分かっています。生まれてくる子たちは、それこそ私たちの子に等しいのですから」

(シ)「そうね。でもね、クイン。一つ問題……というか疑問があるのだけれど?」

(ク)「あら。なんでしょう?」

(シ)「わたくしたちの子たちは、やはり眷属ということになるのかしら?」

(ク)「それは…………確かに私も気になっていました」

(ル)「何か問題?」

(ク)「ええ、そうね。主様の本体や魔力から生まれた私たちが(主様の)眷属であることは間違いありません。ですが、これから私たちが成した子たちは、主様から直接生まれるわけではありません」

(シ)「わたくしたちの子たち以外にも、もしかしたら今後あなたたちも子をなすことがあるかもしれません。その場合はどうなるのかという問題もありますわ」

(ラ)「それは確かに問題ですね。しかし私たちだけで決めてしまっていい問題ではないのでは?」

(シ)「そうですわね。ですから疑問ということにしたのですわ」

(ク)「折角なので私たちの共通の認識として決めておいてもいい……と思ったのですが、話をしていて今は止めた方がいい気がしてきましたね」

(シ)「あら。何故かしら?」

(ア)「私たちが共通の認識を持つと、主様に押し付けることになりかねない」

(ク)「そういうことですね」

(シ)「なるほど。確かに仰る通りですわね。では、主様が戻られるまでは各自で考えておくくらいがよろしいかしら?」

(ク)「そうですね。それがいいでしょう」


(フ)「となるとシルクとクインは子を成すのに集中するのか。俺は狩りに出るが……他はどうするのだ?」

(ラ)「私も勿論狩りに。ルフも同じでしょう?」

(ル)「狩りに行く!」

(ラ)「となると後はアイ様ですが、どうしますか?」

(ア)「私は今まで通り。強化に努める」

(ラ)「アイ様は今でも十分硬いと思いますが……ですが確かに今後のことを考えるとそのほうがいいでしょうね」

(ク)「領域の主が強敵であることは、今回の件で身に染みて理解できましたからね。そういう意味では私たちも強化は必要ですが……大丈夫ですか?」

(ア)「…………中々難しい」

(ク)「そうでしょうね。――いっそのこと今の体そのものを強化することよりも、まずはよりきめ細かい動きができるようにしてみてはどうでしょう?」

(ア)「どういうこと?」

(ク)「一言でいえば、もっと関節部分を増やすとか。より柔らかい部分を増やして柔軟性を持たせてみるとか、でしょうか」

(ア)「……!? 考えたことなかった……」

(フ)「確かに一理あるが、それだと折角の御体の一部を使っている優位性がなくなるのではないか?」

(ア)「別に御体の部分を捨てるわけじゃない。あなたたちでいえばそれは骨のようなものになればいい」

(フ)「む。なるほど。そういうことか」

(ラ)「外側の柔らかい部分が損傷したとしても、究極的には今の体部分が残っていればいいということですね」

(ア)「そう。でもそれだと問題がありそうだから、少し工夫する」

(ラ)「それはアイ様のお好きなようにされればよろしいかと。あとは主様が反対されなければよろしいのですが……」

(ア)「それは大丈夫」

(シ)「あら。いやに自信がおありのようですわね。――何となく想像はつきますが」

(ク)「こういう場合はうらやましい、と言ったほうが良いのでしょうか」

(フ)「……何のことだ?」

(ラ)「まあまあ。私たち()には分からなくてもいいことがあるのでしょう。無理に聞き出す必要はないですよ」

(フ)「む。そうなのか?」

(ル)「ヘッヘッヘッ(わからない)」


(ラ)「さて。今のところ話し合うべきことはこのようなものでしょうか」

(ク)「そうですね。他に何かありますか?」

(一同)揃って首を左右に振る。

(ラ)「これ以上はなさそうですね。もし何かあったとしてもその時に話し合えばいいですか」

(ク)「そうですね。一つだけ注意を。特に探索組は、何か変わったことがあった場合は必ず持ち帰って皆に報告すること。自分だけで抱えてしまうと、のちに大きな問題になりかねません」

(ラ)「主様が戻られなければ解決できないこともあるかもしれませんが、皆で共有するのは大事ですからね。――他にはありませんか? 無いようですね。では、解散!」

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