誰とも会いたくない日のデート
隙間から明かり差す
ボヤけたサボテン越しに
デジタル時計の文字
毛布に包まって5分
仕方なく起きて顔を洗う
脱ぎ捨てたパジャマ
冷蔵庫の缶コーヒー持って
車に飛び乗る
誰とも会いたくない日のデート
待ち合わせの時間は守るけれど
気の利いたことは言わない
つまらなそうな横顔は
助手席の窓越しに外を見る
真新しいイヤリングが
揺れている
流れる景色で
時間が埋められていく
食事の時間だから
とりあえず食事に
スマホの検索機能
無言で向かい合って10分
仕方なく提案をし合う
人の居ない所へ行こうと
箸と茶碗を上品に持ちながら
君は笑って言う
誰とも会いたくない日のデート
一緒に居る時間が長くなれば
お互いにそんな日がある
つまらなそうな顔をして
向かい合って相談するんだ
二人で楽しいことが
作れているか
確認するように
時間が埋められていく
次の日になったら
忘れているみたいな
些細なことだけれど
無視はできないことだから
仏頂面でも隣に居る
提案をしても
否定しか返ってこない日もある
その時に出来る不満が
直ぐに消えるからこそ
意味のある二人になっている
それを恋愛と呼ぶのだろう
誰とも会いたくない日のデート
今日一日の時間は減るけれど
二人の時間が減るかは分からない
仕方ないという顔が
たまに笑顔で振り返る
真新しいイヤリングが
似合っている
公園のベンチで言う
今日はそれで良いと
君は嬉しそうに言った