間違えた少女
夢が終わっていく。
ぽろぽろ崩れていく。
息をする方法を忘れたとき、
生きていけなくなった。
それはもう、生きていけなくなった。
少女は一人ぼっちで
星が綺麗な夜の下
地面をぺたぺた歩いている。
とうの昔に、
道に迷ったのだ。
とうの昔に、
道を間違えたのだ。
絶対にちがう道を、
絶対に目的地につかない道を、
少女はぺたぺたずっと 歩いている。
夜風はそよそよと
少女の髪をなびかせる。
少女の瞳は
見えているのに見えていなくて
淀んだ瞳に 届かない星。
星の光は彼女を絶対に照らさない。
とうの昔に聞こえてた声
もうずっと ずうっと 聞いてない。
聞こえないし
見えていないし
風の涼しさ 感じることもなく
星の光 届くこともなく
ただただ違う道を もうずっと歩いている。
裸足の裏は 真っ黒い土
血が出ても血が出ても
気がつくことなく
もうずっと 間違えている。
引き返すには もう遅い。
ぽろぽろと 崩れていく
来た道 行く道 崩れていく
夢があった。
少女には夢があったが、
もうその夢を見ることもなく
ただただ、
遠い昔 持っていたもの 思い出す
息してたこと 思い出す
少女の足は いつの日か
動かなくなる 時が来る
それでもきっと 気づかないから
少女は行く道 進んでないこと 気づかないから
だから今夜も 一人で歩く
無限の夜を 一人で歩く。