失踪少女の霊 part2
校門近くに広がる桜。この桜は新入生の学校入学を祝っているかのようだ。星ノ宮高校は県内で有数の進学校である。この高校に入るために1年間頑張ったんだとひしひしと感じていた。この学校での生活が始まると思うとドキドキする。周りも学校生活が楽しみなのか新入生達の声で溢れかえっている。
「あのっ……聞こえないんですか?」
多くの会話の中に一人の女性の不安そうな声聞こえる。
……不思議だ。僕は彼女を見た事がある。さらにこの流れもやったような記憶がある。
するといきなり頭に激痛が走った。僕の頭の中に記憶が無理やり押し詰められているような、なんとも言えない感覚だ。
完全に思い出した。彼女を見るのは2回目だ。
僕にとってループというのは初めての体験である。だが、多分彼女が原因なのは分かった。なぜなら、周りの人は昨日と同じように行動をしているが、彼女だけは1回目とは別の行動をしているからである。そう、1回目のループでは何度も何度も叫んでいたのに、2回目では1回でやめてしまった。
これはまずいおそらく彼女を成仏させないとこのループは終わらない。幽霊はやりたいことをやってあげると成仏する。しかしながら今話しかけたら、周りから変人扱いされてしまう。放課後人が少ない時に話しかけよう。ややこしい願いではないことを祈るばかりだ。
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教室に上がってからも僕は彼女のことで悩んでいた。なぜなら校門でややこしい願いでないことを祈るばかりと思ったが、だいたいは自分を殺したやつを痛い目に見させたいとか、両親に会いたいとかで、ややめんどくさいからだ。そしてそれだけだったらいいんだけど、だいたい記憶のどこかがかけていたりしてるから厄介なのだ。
幽霊っていうのは人に迷惑をかけめんどくさいやつだ。小学生の時に僕が体験したように。
「はーい 遅れてすいません!私の名前は中野です!担任として1年7組を持つことになりました。担当は数学です。数学を楽しんでいきましょう!」
僕が考え事をしているといつの間にか先生が自己紹介をしていた。相変わらず元気そうな先生だ。この先生なら授業が楽しくなりそうだな部活とかも。
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時間は経って放課後、久しぶりに幽霊と会話するから若干緊張している。手は少し汗で湿って額からは冷や汗が出ている。
しかしこれは俺がやらなきゃいけないことだからと腹を括る。そして僕がループをおわらせてみせると心に誓う。
だが、そう思って下駄箱から校門を見ると、そこには彼女の姿はなかった。