失踪少女の霊 part1
校門近くに広がる桜。この桜は新入生の学校入学を祝っているかのようだ。星ノ宮高校は県内で有数の進学校である。この高校に入るために1年間頑張ったんだとひしひしと感じていた。この学校での生活が始まると思うとドキドキする。周りも学校生活が楽しみなのか新入生達の声で溢れかえっている。
「あのっ……聞こえないんですか?」
多くの会話の中に一人の女性の不安そうな声聞こえる。しかしながら誰も反応をしない。話し声でかき消されていて聞こえていないかのように、いや正確には聞こえていないのだ。その事が何かは僕は今までに何回も見てきたから知っている。結論を言うと彼女は幽霊なのである。
華奢な姿そしてロングヘアーのいわゆるお嬢様的な幽霊だった。
「私の名前は中野です!担任として1年7組を持つことになりました。担当は数学です。数学を楽しんでいきましょう!」
元気きそうな女性担任に少し驚いたが楽しんで生活していけそうだと感じる。少し気がかりなのはあの幽霊がなぜ校門の近くで叫んでいたのかということだ。僕は1度幽霊関連で悪夢を見たことがあったからそういうことはだいたい無視をするのだが、学校でしかも制服で叫んでいたのかということは気になる。
というのも幽霊は亡くなった場所からは動けない、そして来ている服もそのままだ。
ということは誰かが学校の中で人を殺したって言うことか?いやいやまさかね、もうこのことは忘れよう。僕にできることなんて何にもないし。
結局入学式をして僕の学校生活の一日目は終わった。帰る時にあの幽霊は地面に座って俯いていたが僕には関係ないことだと言い聞かせ家に帰った。
やはり少し気になるがもう寝よう。