定年延長はごまかしだった
検察官の定年延長と言って、はぐらかしていたものが単なる勤務延長に基づいていることが、内部メモによって明確になった。もっとも検察法は検察官にしか適用されないので、解釈変更の影響は少ない。しかし、国家公務員法の解釈まで変えたとすると、これに準じた地方公務員や一般企業の勤務延長制度にまで影響が出てくる。まさかいままで、運用していたことが実は違ってましたなんていえない。
定年退職日を過ぎて職務を延長した。
つまり、定年日は変わっていない。誕生日であればそれは変わっていない。もし、一般の国家公務員に準じても3月末である。どういい逃れても4月からは定年を過ぎたことになる。なので、定年時の職務の延長しかできない。いままで、多くの人々が実際、勤務延長なので昇進不可となっている。その時期の昇進というのはそれほど重いものなのだ。
検事長と検事総長が同一職務とはどうやってもいえない。昇進が可能かといえば、1%でも可能性があれば可能とは言える。しかし、今回の理由でそれが言えるかである。
さてここで政府は、昇進の可能性を意識して延長したのかが問われる。単なる勤務延長であることが明白になってしまった今、意識して延長したとすると勤務延長制度の趣旨から逸脱する。なので現時点では考えてないとしかいえない。
ここまでで当面の緊急性は回避される。後は、延長理由がなくなった際には退(役)職させるといわせれば、状況が変わらない限り昇進は無くなる。単なる残務処理をしている者を総長に任命するわけにはいかない。
総長にさせたかったのであれば、一旦退官させておくべきだった。退官したものを総長にしてはいけないという法はない。こちらも前例はないが、少なくとも違法ではない。
東京検事長が検事総長に繰り上がる通例に従えというのなら、政府は検察官は勤務延長はしないという通例に従えといいたい。
今回のゴタゴタは、言葉をキチンと使わなかったメディアにも責任がある。正しい言葉を使えば、あやふやな解釈など生まれなった。勤務延長を定年延長と言い換えて流布したメディアの責任は大きい。