案内
「おらー!魔物処理するぞー!」
騎士団の人達が魔物の方に集まって解体していく。魔物には採れるものがいっぱいあるらしくて、あんな状態になっても中の骨やクローベア最大の特徴である爪なんかは加工して武器にするらしい。
「すげーよな。みるみる解体されてくぜ。」
「こういうのも騎士団の仕事なんだよね。」
私もアレをしないといけないのか…。中身とか見て気を失いそうで怖い。だってすごいグロい。遠目で見ててもグロい。
ちなみに、魔物は斃したらアージェイまで持って帰ってこなければいけないらしい。
そのままにしておくと他の魔物が寄ってきてしまうし、なにより討伐証明と使えるものがあるなら使うスタンスだからだそうだ。
「お、そろそろ片付くな~。」
「見習い達~!集まってるよねー!こっちに集合してねー!」
一際大きな声でさっき部屋に呼びに来てくれたライアンさんが手を振りながら叫んでいる。
「お、集合だってよ!行こうぜ!」
「う、うん!」
思ってたより見習いの人がたくさんいるなあ。ぱっと見て20人以上だろうか。
「よし!30人全員いるな!さっきも全員と会ったけど、仕切り役のライアンだ!よろしくなー!」
「とりあえず予定通り、今日はアージェイの中を案内していくからしっかり覚えろよ!じゃ行くか!」
結構適当な挨拶をしてすぐに歩き出すライアンさん。ゾロゾロとその後をみんなでついていく。
ここ騎士団の本拠地アージェイは国直属なだけあってとにかく広い。昔一度だけ空から隠蔽魔法を使って見たことがあるが広すぎて諦めた。
そこからしばらく移動していくと、研究室みたいな部屋があった。
「ここはポーションの調合とか色々する科学研究室だよー。」
中を覗くとなにやら不思議な色をしている液体を掛け合わせている人たちがいる。
「あー、ちなみに普段から用事がないとき以外あんまり近寄らないほうがいいよ。実験体にされちゃうから!」
…ライアンさんが何やら物騒なことを言っている。絶対に近寄らないでおこう。
そのあとも食堂やらお風呂やら色々な場所に案内されていく。広いだけあってとにかく移動する。
「そして最後はここ、獣舎!獣舎って言ってもテイムされた魔物しかいないんだけどね。」
そこは今までに見たどこの部屋より広く、のびのびとしている魔物たちがいた。
「主に飛行手段として使ったり、相棒として一緒に行動したりすることが多いかな。皆もしばらくしたら少しずつテイムしてもらうよ。」
中をよく見ると、スライムからドラゴンまで様々な魔物たちがいる。
テイムとは、意思疎通ができる魔物にだけできる契約魔法だ。魔物が相手を認めたらそれに応えてテイムを了承してくれる。スライムとかどうやって意思疎通したんだろうか…。
そして、言葉を理解できるドラゴンもいるとは聞いていたけど、何をすればドラゴンに認められたんだろう。
「見ろよソフィア!ドラゴンだぜあれ。すげえ!でけえ!かっけえ!」
横で少年のようにキラキラとさせた目でリューが遠くのここからでも見える、巨大な青いドラゴンを食い入るように見ている。
「ここで案内は最後だから少し自由時間にするか~!各自見たい魔物のところ行っていいぞ!将来自分がテイムするときの参考にしてくれ!」
ワッ!と歓声があがる。たしかに一番みんなの興味を引く場所だ。
「あ、それと、ここに居るのは全部テイムされてる魔物だから襲いかかったりはしないけど気をつけろよ!魔力は使うなよ!むやみに触るのは禁止な!何かあっても責任取らないぞ!」
最後に放たれた恐ろしい言葉で全員の顔が引き攣った。