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2度目の邂逅


その後各団の団長によって騒ぎは収まった。だけど今日の予定だった、団振り分け試験と入団式は明日に持ち越しになった。今日はとりあえず各自寮で自由に過ごすことになった。



一人一部屋割り当てられている部屋に入り、ベットに体を沈める。


「あの夢は夢じゃなかったのかな…。」


これからの不安が胸をいっぱいにする。意識がうつらうつらしていき、そのまま私は夢の中へ落ちていった。





「ソフィア、大丈夫ですか?」


昨日と違って意識がはっきりしている。ガーベラ様の言葉が理解できる。


「ガーベラ様、ですか…?」


「そうですよ。いきなり力を使ってかなり混乱しているようですね。」


当たり前だ。昨日までなかった力がある。

それと、目が見えているわけではないのに、ガーベラ様の姿がだんだんと見えてきた。無機質で整った人形のような顔、体、床まで伸びた燃えるように赤い真紅の髪。ああ、この人は本当に神様なんだなと腑に落ちた。


「はい、かなり。」


「ごめんなさい、聖女になった方達は力に恐怖せず、喜ぶ方がほとんどだったのです。貴女みたいな人は久しぶりでそうなることも忘れていました。」


…すごいな、今までの聖女は。


「ソフィア、あなたはとても慎重なのですね。」


それはそうだ。私はこんな現実を飲み込めるほど人間出来ていない。


「とても怖いのです、ガーベラ様。」


「それは理解できます、けれどあなたに慣れてもらうしかありません。」


それは理解できてないでしょ…と喉まででかかった言葉を飲み込む。


「聖女のことを教えてくれませんか?あの魔法は何だったのかとか、どんなことができるのかとか。」


「はい、聖女とはこの世界で唯一回復魔法が使える者です。」



それは理解できている。


「回復魔法といっても傷を治すことから、失った四肢を治すこと、そして貴女が必要とあらば、死んだ者を生き返らせることもできます。代償は必要ですが。」


それはもはや回復魔法と言えるのか、ということまでできるのか…。


「分かりました。それで私は何をすればいいのですが?」


「普通に生活してもらって構いません。無理に戦地に赴くこともないです。貴女が必要と思ったときにその力を使ってあげて下さい。」


なるほど、普通の日々の生活は送れるのか。


「聖女というのは隠したほうがいいですか?」



「今はまだ混乱しているようなので、その方がいいですね。必要と思ったときに、お話して下さい。ゆくゆくは大々的に公言した方がいのですが。まあ、普通に生活してたらそうなると思うので大した心配はいりません。」


な、なるほど…。そのうちバレてしまうのか、まあそうだよね。こんな能力喉から手が出るほど欲しいよね。


「また貴女が必要としたときに夢の中に現れるので、その時は強く願って下さい。」


ああそうか、聖女のことを思うばかりに強く願って運良くガーベラ様が来てくれたのか。


「ありがとうございます、ガーベラ様。よろしくお願いします。」


「ああそれと、聖女は私の娘なのでそう堅苦しくならないでも大丈夫ですよ。ガーベラ、と呼んでいただけたら私もフランクに致しますので。」


「はあ…。」



それは何十年かかるかな…ということを言われたが、まあまあ状況を理解できた。



私が本当に聖女になったこと。

この世界で唯一の能力を持ったこと。

身の振り方に気を付けること。


元々は人助けの為に騎士団に入ったんだ。

聖女としても似たようなことじゃないか。

私の夢は聖女であれ騎士であれ変えることはない。この信念だけは変えずにどの立場でもこれからも頑張ろう。


「だいぶ整理がつきました。ありがとうございます。」


「それはよかったです。そろそろ誰か呼びに来ると思うので起きると良いですよ。それではまた。」

 




その言葉と同時に意識が海の底から浮き上がった感覚になった。








ありがとうございます。

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