回復魔法
その瞬間世界が輝いて見えた。キラキラと何かの粒子が舞い、地上に降り注いだ。
少ししてから沢山の声が耳を劈いた。
「どうなってやがる!?」
「神様のお導きか!?」
「なんだよこの奇跡!」
下で何かが起こっている。私にもよく分かっていない私がおこした何かのせいで。ふと自分の体がなんともないことに気づいた。
あれ、魔力暴走してない…?けれど魔力暴走をしたら周りが燃えるように熱くなり、被害を出すというのに燃えた感じもしない。とりあえず状況確認のために地上に降り、音が一番大きいところまで行った。
ーそこでは先程まで瀕死だった彼らが五体満足、傷一つない体で泣きながらお互いの体を抱き合い喜んでいるところだった。
「え…?」
私は呆然と立ち尽くす。足や腕を生やす魔法はこの時代にはない。なのに彼らは完全に綺麗な体だった。
「無理もないさ、そう思うのは。きっとこれは神様からの贈り物だよ。」
ふと声をかけられたほうに目をやると、第六騎士団、副隊長が泣きながら祈っている。
「お前さんは、今日から入るソフィアだろう?いや、運がいい。俺も初めて見た、神様の慈悲を。」
「はい…。」
これは本当に神様の慈悲なのか…?私がさっき放った知らない魔法なのではないか…?けれどその確証も現実も呆然と受け止めるしかなかった。
『聖女よ、あなたは16歳になりました。私は時期を迎えた貴女の夢の中でそのことを伝えます。』
ふと、今朝見た夢を思い出した。私が聖女になったとの夢を。
もし、これが本当に私の力だったら…?
いきなり突きつけられた現実に私は恐怖しか抱かなかった。突然こんな力を授けられて、私にどうしろと言うのだろう。
今更、神様の言葉が身体に突き刺さった気がした。