試験番外編 実戦4.5 side-アンドリュー-
リュー(アンドリュー)視点になります。
「すまん、寮にソフィアを置いてくる。それまで待機だ。」
ソフィアが団長に抱きかかえられ運ばれていった。ドラゴンがグルルと鳴き声を上げると団長は何かを呟き、ドラゴンもそのまま飛び去ってしまった。
俺達は一言も言葉を交わすことなく呆然としていた。なんだよ、あの試合。本当にあれは人間なのか…?そんな疑問さえ浮かんでくるほどの魔法の数々。
ソフィアに最初に会った時は、騎士団で女の子は珍しいなと思って声をかけた。遠目からみても赤く長い綺麗な髪の女の子。
顔を見て、その瞬間心を鷲掴みにされた。
髪と同じ、ぱっちりとした赤い目、白い肌、ぽってりとした唇。なんでこんな可愛い女の子が騎士団に、と思ったほどに。
ソフィアはちょっと抜けているところがあってそこも可愛い。スライムを見に行ったはずが、ドラゴンを見てたし、あれはびっくりした。
今日の試験では、正直驚いた。俺はライアンさんが無意識にぼそっと呟いた言葉を聞いていた。
「的は強化魔法で頑丈に作って、今まで一度も壊れたことがなかった。剣は特注品で折れたことなんてなかった。なのになんで今日は2つとも壊れたんだろうな。」と。
あの華奢で可愛い女の子にそんな力があると思わなかった。魔力は見た目では判断できないからまだいいとしても、剣の方は明らかにおかしい。あの体のどこにあんな力があるのか。
今の試合にしたってそうだ。
いくら魔力があると言え、あの威力はおかしい。
吹雪砲は上級魔法だが、雷光砲も同じ上級魔法。ドラゴンとの同じ上級魔法の打ち合いで相殺することでさえ普通の人間にはできない。なのにソフィアはドラゴンの雷光砲を押し負かし、辺りに雪の結晶を降り積もせた。
普通ならありえない威力だ。ただの人間が死ぬまでにも到底到達できる域ではない。このフラン騎士団の中でもあれ程の魔法が使えるものは限られるだろう。
そしてあの、捨て身の魔法。あんなことがただの女の子にできるのか?
俺は堪らずにオーウェンに話しかける。
「なあ、オーウェン。ソフィアって何者なんだろうな。」
「同じ志を持つ者、何者だって構わないさ。」
少し悔しそうな表情をしながら答えるオーウェン。そりゃあ悔しいよな、俺も正直者悔しい。男なら誰でも好きな子より強くいたい。
団長にも勝てるくらい強くなりたい。ソフィアがこうなった時に俺がソフィアを抱きかかえられるくらいには。
「ああ、俺らも頑張って強くなろうな。」
「言われなくとも。」
「うん、頑張ろうな。」
「ソフィアと遜色のないくらいになってやるさ。」
俺らは話しながら心に決めた。あの子と並んだときに、足手まといにならないくらいに強くなる、と。
ありがとうございます。改行を抑えめにしたのですが、見にくいですかね…。暗中模索しながら書いていきたいと思うので、少し読みづらくなることがあるかもしれません。




