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別れ



「はいお嬢様できましたよ。それに、はやくご飯を食べないと本当に遅刻してしまいますよ?」


「うん、ごめんねありがとう!」


こうして、騎士団見習い1日目としての朝はドタバタですぎていった。


私は伯爵令嬢として産まれた。

お母さんは幼い頃に亡くなってしまったが、本当に優しい人だった。伯爵令嬢として縁談や取り入ろうとしてくる人達もいるが、私のお父さんが極力関わらせないようにしてくれた。

本来なら令嬢としてどこかに嫁ぐのが普通だけど、私の好きなことをしていいってお父さんが言ってくれた。


遠い遠い過去に攫われたことがある。朧げな記憶はひどく曖昧だが、その時騎士団の人に助けてもらったのは憶えている。

その時に、私はこんな風に人々を助けたいって思った。ありきたりだけど、それでも私はそれが夢になった。

小さい頃からお茶会より剣と魔法が好きだった。

誘拐されてから、騎士になるためにもっと剣と魔法を学んだ。

両親は怒ることもなく、剣と魔法の教師をつけてくれたおかげで私の剣と魔法のレベルは騎士団に入っても遜色のない物になった。


私の住む国は差別の少ない豊かな国だ。

この世界に住んでるのは精霊、エルフ、獣人、人間、魔物。

精霊は特別な眼がない限り普通の人には見えない。

エルフは森に引き篭もっているらしいのでほぼ見たことがない。

獣人と人間は共に暮らしているが、差別がひどい国だと獣人を奴隷として扱うところもある。フランは差別もなく比較的仲良く2種族が暮らしている。


それでも国同士の争い、魔物などの危険性から騎士団が出来た。それがフラン騎士団。みんなの憧れであり、入るのも簡単なものではない。その為に必死に剣も、魔法も、座学も勉強した。そして、入ることができた。

騎士団は全員が寮に入り、そして家柄も関係ない。名字を捨て、国の為に生きるものだけが騎士になれる。

だから私もソフィア・ペンダルではなく、ただのソフィアとして騎士となるために今日から騎士団に行く。



「お嬢様、気をつけて。どうか私よりも先に逝く事はやめてください。」


「うん、わかってるよナーラ。」


騎士団の死亡率は低くはない。明日にその身を散らすことも少なくない。


「ソフィア、元気でな。」


「お父さんも仕事多いんだから、体壊さないようにね。」


私のお父さん、ダーシャ・ペンダルも態々お見送りに来てくれた。騎士団が家に帰ることができるのは一年に一回。次に帰ってくるのも一年後だろう。最低限の荷物を魔法鞄(マジックバック)に入れ、家を後にした。


―そして私はあの夢のことを忘れていた。




ありがとうございます。

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