第8話 永遠の契約
「大きいお城だねー」
目の前は漆黒城が立ちはだかっていた。
期待を膨らませている詩優とは違い
弥夢は冷ややかな表情で 強く拳を握っていた。
「緊張・・・しないのですか?」
弥夢は聞いた。
詩優はにっこり微笑んで
「緊張はね するよ。
だけどね これは 私の望んだ使命なんだ。
出来る限りの事 精一杯したいな。」
「それに 弥夢がいるから・・・頑張れるよ。」
小さく詩優は呟いた。
「・・・。」
弥夢は顔を赤くして 下をうつ向いた。
「私・・・中に入ってみます・・・」
黒く短い髪をなびかせ フッと前へ進んだ。
白と黒の長い階段を 弥夢は一段一段上った。
螺旋状の階段で 一つ一つの階段に汚れ1つ無かった。
頂上に着くまで 弥夢は息を乱すことは無く、
1つ呟いた
「6千6百6十6段・・・」
階段に仕掛けの魔術はかけられてない・・・
けど 相手は幻師だ
どんな幻術をかけられているか分からない
「詩優様! 魔術で体力向上しますか・・・?」
弥夢はいつもより 大きな声を出した。
「大丈夫ーだよー!」
返事が聞こえると同時に 多数の光が宙に舞った
ポワポワ シュンツ
「・・・よっと」
詩優は 階段に足を掛けた。
一瞬の出来事だった。
光が詩優を包み 体を縮めて飛び上がったように
弥夢は見えた。
常人には 瞬間移動をしたように見える速さだった。
弥夢は 幻術に魔術は超えられない事はわかっていた
わかっていたが その凄さに驚きを隠せなかった。
「凄い・・・です。」
「えへへ ありがとー。」
【・・・】
【・・・もう来たんだ】
【・・・疾風幻師以来だよ。
その速さで 来たのは 】
詩優は扉の取っ手を引いた
「んー。開かないな。」
「封印でもしてあるのでしょうか・・・」
「弥夢って解除の呪文 知ってるかな?」
「鍵開けと 毒・呪い・混乱解除の術
警報機解除 爆弾解除しか・・・知りません」
「そっかー。」
2人は沈黙し 方法を考えた。
「・・・」
「あ!」
突然 詩優が声を上げた。
「ごめん弥夢。 この言葉忘れてた。」
詩優は扉に手を当てた。
「・・・我が名において共鳴せよ
六つの魂が揃う時 神の力が解放される・・・」
ジュウウウウウウウウンンンツツツツ
急に地面が激しく揺れた。
扉は溶け始め 固まり出した。
固まった部分は石と化した。
「詩優様・・・そのままでは 手が・・・っ」
弥夢は立つことで精一杯だった。
手の寸前まで石化は進んでいる。
「・・・離して下さい!」
床はほとんど崩れ落ちていた。
詩優何一つ変わらない表情だった。
・・・!
指先は石化してしまった。
「心配してくれて・・・ありがと弥夢。
痛・・・っ でも思い出した・・・の」
『ここで僕等は創めよう』
約束という言葉では 優しすぎる
忠誠という言葉では 憂鬱になる
束縛という言葉では 意味が無い
絆 という言葉では 綺麗すぎる
信頼という言葉では 偽善になる
たとえ全身が砕け散って舞おうが
切れない 薄れない 消えないもの
永遠に僕等は 共に生きる事を願おう
想い 祈り 叶えよう
神の力を与えられた者として
使命を果たそう
ここで僕等は創めよう
永遠の誓い 魂で結ばれた契約
異なる者達 同じ魂の繋がり
永遠の魂の契約
読んで下さってありがとうございます。
次は、雪の話の続きを書こうと思います。
次回も宜しくお願いします。