第14話 蒼空と紅海
(詩優)
・・・
私と弥夢は長い長い時間を旅していた。
樹木の力 火炎の力 氷水の力 暗黒の力 疾風の力
私は 幻師様から5つの力 大幻術を手に入れた
そう
これで全て揃った
後はこの力を解放すればいいだけ
その時に
私の魂は消滅する
・・・
けれど 後悔してないよ
だって 夢ちゃんとの約束だから
最後までやり遂げる
詩優として
生まれたときから
この約束を守る為に 生きていたから―――
――――
青い空 白い雲
吹き渡る心地よい風
詩優と弥夢は空に浮かんでいた。
目の前には、詩優と同い年位の少年がいた。
髪は空色の青 瞳は草の葉のような綺麗な緑だった。
「・・・よくここにこれたね ご苦労様。」
少年は穏やかに笑いながら、一礼した。
見た目は大人しそうな少年。
空色の髪が風に靡いていた。
彼は疾風幻師だった。
「久しぶり 空相変わらず・・・だね。」
詩優は苦笑いしながら答えた。
「?」
弥夢はそんな2人を眺めている。
・・・
「・・・ははは!やっぱそうだよなー。」
少年は満面の笑みを浮かべた。
「久しぶり!詩優。」
「久しぶり!そら。」
2人はハイタッチした。
詩優は今までに無いくらい笑顔だった。
少年・・・空も幸せに笑っていた。
「よくここまでこれたよな。
詩優は幻術だとしても そっちの子はどうやってきたの?」
人見知りのない 人懐っこい笑顔で
そらは弥夢に目を向けた。
「・・・魔法です。 浮遊術です。」
弥夢はそらをまじまじと見て、
サラサラの綺麗な空色の髪
深く澄んだ緑色の瞳 を見つめた
こんなに整った顔立ちの人は
永遠の契約以外で見たことが無かった。
「・・・永遠の契約の方々って
美男美女ですね。」
そらは少し驚いて 笑って言った
「え!マジで。 ありがと。」
今度は そらが弥夢をまじまじと見て
弥夢に近づいた。
「・・・」
「君も 可愛いんだから顔だせばいいのに」
そらは空から水色のピンを取り出して、弥夢の長い前髪を分けて
ピンでとめた。
「よっ・・・と。」
ぱちん
「弥夢 可愛いー♪」
詩優は嬉しそうに言った。
弥夢は照れながら 詩優に言った。
「・・・ありがとう・・・ございます。」
「あの・・・そらさん。 ピン もらって良いのでしょうか?」
「もちろんっすよ 弥夢。」
「ありがとうございます・・・」
弥夢は嬉しそうに笑った。
「ん?そのブレスレット
もしかして 瑠雨先輩からもらった?」
弥夢の腕には黒い十字架の
ブレスレットがついている
そらには暗黒の邪気が見えた。
「はい。瑠雨さんから頂きました。」
「へー! 瑠雨先輩から物がもらえるって
よほど君の事が気になったんだね。」
「?」
「詩優はもらった事あるの?」
「ないかなー。」
「ただでさえ瑠雨先輩って
近づきにくい所あるからさー。」
「瑠雨の力は凄いよねー。」
「俺が幻術士だった頃さ。
瑠雨先輩の力・・・というか気がすごくてさー
大幻術もらう時 俺ふっとんだんだぜ。」
「あはは。そうだったんだ。」
2人が笑って話している時
弥夢は疑問と驚きを
心に抱いていた。
(あの2人が凄いというけれど
瑠雨さんの力・・・私にはなんとも感じなかった。
私が闇属性だから・・・?
・・・
あぁ。
あれだからか・・・)
「あの・・・そらさんも幻術士だったんですか?」
「ああ。・・・っていうか知らなかったんだ。
幻師はみんな元々幻術士だったんだぜ。」
「え・・・」
「あ 弥夢。言ってなかった・・・よね。」
「いえ。・・・平気です。」
弥夢は心を悟られないように
静かに笑った。
――詩優は疾風の力を手に入れ
大幻術 全てを手に入れた
後は力を解放するだけだった。
「・・・今日は近くの町に泊まりましょう。」
詩優は大幻術を手に入れると
ものすごい疲労がかかるので、すぐに町に向かった。
自然に恵まれた町―フィレスト―で
食事もせずに 詩優は宿屋で寝てしまった。
◆夜◆
詩優は深く寝入っていた。
キイイ―――
弥夢は宿屋の扉を開けた。
颯爽とした歩き方で
近くの海辺に向かった。
海辺には誰も人はいないで
海辺には 静けさと潮の香りが漂い
波立つ音が微かに聞こえた
弥夢は足を
海面に浸して、
弥夢が呪文を唱えると
海が紅黒く染まり 弥夢が海へ沈んだ。
「まってたよ・・・ 未無」
そこには
暗い海の底で光る 紅い瞳の
未無の仲間が 待っていた―――
読んで下さってありがとうございます!
次回は弥夢・・・未無を中心に書きたいと思います。
宜しければ見て下さい。