表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/28

プロローグ

 その少女の前では、誰もが跪き頭を垂れる。

 崇拝や、敬愛。そのような気持ちからではない。ただ少女の前では魔力が保たず、立っていられなくなるからだ。


 魔力を全て失ってしまうと、体の力が抜けたように地に伏してしまう。少女が魔法を使うと、成否を問わず皆が同様になった。


 そして、現女王からの命で少女の調査に来た男も……力が及ばずに彼女の前にひれ伏した。


 ──アイリス様。


 男が顔を上げると少女は怯えていた。

 それは男が少女を見る目が変わったからか。

 男が膝をついたせいで、父からひどく叱責されてしまうからか。

 あるいはそのどちらでもあるのか。


 先程までは輝くようだった深緑を思わせる瞳にも、今は深い悲しみが宿っている。肩で揃えられた銀の髪は、何者からも穢されない真っ直ぐな意志を感じるというのに。

 少しでも触れてしまえば消えてしまうような、儚げな危うさが少女にはあった。


 ──このお方の力は……まさか。


 男は愕然として少女を見遣る。彼女の胸元には、無色透明な大きな(クリスタル)があり、まるで男を見下すかのように鈍く光っている。

全てを奪い尽くしてもまだ足りないと、石自体が魔力を欲しているかのようにも見えた。


 ──早く女王様へ報告を……。


 男は魔力を振り絞り、光を空へと放つ。青空へ軌跡を描くように飛ぶ白光は、さながら鳥のようだった。

 男の意思を引き継ぐように、真っ直ぐ女王の元へと飛んでいく。


 地を見限り、天を選んだ──選ばざるを得なかった小さな国。その天空都市ノルノワール国を治める、現女王の元へ。

(クリスタル)が王を選び、王の力によって繁栄してきた魔法の国。


 その国の女王候補の一人、アイリスは──。

 幼くも人々から恐れられ──そして、実の親から疎まれている異質な存在だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ