出会い
僕は16歳の特に特技もない高校一年生、長所といえば身長が2m10cmと周りより高いくらいだ。この長所のおかげで僕は何不自由のない生活を送っていた…
今日は入学式、新しい制服を来て、ゆっくりと家から出て行った。少し歩くと頂二が見た通学路は奇妙な光景であった。女子高生はマスクとサングラスで登校してる人や、ハイヒールを履いている人、着ぐるみを着ている人もいる。男子はおどおどして俯いている人もいれば、同じ身長くらいの人達ではしゃいでる人達もいる。身長が全てであるこの世界で身長をハイヒールで誤魔化すことは当然であり、10cmの差がない人達でないと友好な関係が築けないこともごく当たり前の話だ。
しばらく歩いていると近くで鈍い音が聞こえた。頂二は走るとそこには口から出血している140cmくらいの男と180cmくらいの男3人がいた。『チビのくせにポケットに手ぇ突っ込んで生意気なんだよ、その手いらないよね?』『ちょうど良いもの持ってますよ。ほら、カッターナイフ』
『うぅ、興奮してキタァ』、ポケットから取り出したカッターナイフをチビに突き出した。頂二はためらいなくすぐにチビの前に立った。『危ないですよ…やめましょうよ…』男たちは自分たちと別次元の身長を持った男の弱々しい言葉に震え、すぐに逃げていった。
頂二はチビの腫れ上がった顔をじっと見ている。『お前は何もしねえのか?かかってこいよ。』そうチビが殺意に満ちた目で言うと、『んー、じゃあ自己紹介しようよ、僕の名前は高山頂二、身長くらいしか長所ないんだけどよろしくね。君の名前は?』頂二はとても笑顔だった。『は?ふざけんな。俺は背が高い人間が、この世界が大嫌いなんだ。』『よかった。実は僕も背の高い人間とこの世界は大嫌いなんだ。』とても真っ直ぐな目でチビに言うと、『小山仁…俺の名前だ』
これが2人の初めての出会いだった。