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0.物語のある世界

0.物語のある世界


 僕の意識の中で誰かの声が聞こえる。


「あなたは、この世界に満足している?」

「どうだろう……。いきなりそんなこと問われてもはっきりとは答えにくいな」

「そう」

 声は無機質に答える。

「じゃあ、この世界を変えてみたくない?」

「さっきと同じような質問だけど、そんな抽象的な質問は答えづらいよ」

 端的に答えた後、声が返事をしないので、僕は少しだけ考え直す。

「世界に100%満足はしていないよ。満足している部分もあるし不満な部分もある。世界を変えられるものなら変えてみたいという願望も少しはあるよ」

「そう」

 相変わらず声の主は、まるでニュースのナレーターのように抑揚のない喋り方をする。

「じゃあ、なんで世界を変えようとしないの?」

「その質問に答えるのは簡単。もし世界を変えたからってそれでよくなるとは限らないからだよ。よかれと思ってやったことでも結果は悪い方向にいってしまったなんていうのはよくある話でしょう」

「そうなの」

「じゃあ、あなたは物語を作りたいとは思わないの?」

「それは思うよ。物語を作れたら楽しいだろうなあって」

 物語に触れたことのある人間なら誰でも一度は持つ欲求だろう。つまり、それはほとんどの人間が一度は夢見る話でもある。でも、それは頭の片隅に引っかかる程度の些細なものであったから、この質問にはっきりと答えられたのは自分でも少し不思議だった。

「そう、じゃあ私についてきて」

 その言葉を合図に僕の体から意識だけが飛び抜ける。その質問の主が僕を引っ張っていくように……。


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