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7話 商人ギルドに登録

「それではまずギルドへ行ってカードを作ってから、今日は休むとしよう。

 コトブキは泊まる所は決まっていないのだろ?

 なら是非ともうちに泊まって行ってくれ、家族にも紹介したい。」


「ありがとうマルス、お言葉に甘えさせてもらうよ。」


そうして馬車は王都を走っていく。

窓から外を見ればそこは正に中世のヨーロッパという佇まいで、

石畳の大通りは広く、石と赤レンガ造りの家々が並び、

様々な商店が軒を連ね、等間隔に配置された魔道具らしき街灯が

ほんのり異世界の雰囲気を醸し出していた。

そして遥か正面には王城がそびえ、その威風堂々とした趣は

感動すら覚えるものだった。


「すげぇ…」


思わず唸る俺に、マルスが嬉しそうに


「凄いだろう。これがこの大陸一番の国で一番でかい街だ。」


と自慢げに話すのだった。


「着いたぞ、ここが我が商人ギルドだ!」


不意に馬車が止まるとマルスが嬉しそうに話しかけてきた、ダメになる

クッションをボックスに収納して、「あぁ・・」とダメにされかけてる

マルスを横目に馬車を降りる。

すると目の前には周りの建物より一際大きな建物がそびえ建っていた。


「お~でけぇなぁ~。」


「どうだ凄いだろう!早速中に入って登録を済ませようじゃないか!」


マルスに促され俺はちょっとドキドキしながら扉をくぐる。


「「「「「お帰りなさいませマスター」」」」」


と一緒に入ってきたマルスを見た職員さん達が一斉に立ち上がり

挨拶をする。


「うむ、ご苦労。変わりはないか?」


「はい、通常通り何も問題はありませんでしたマスター。」


一目で秘書!ってのが伝わる感じのキツめ美女が答える。

大好物です。


「そうか、ここに居るのはコトブキと言ってな、ワシの命の恩人にして

 心の友だ、新しくギルドカードを作るので手続きをしてやってくれ。」


「かしこまりました。しかしその前に命の恩人とはどういう意味か

 詳しくお聞かせ願えますね?マスター」


「え?あ、いや、その・・だななんと言うかそのぉ~…」


「だからあれ程護衛を増やすようにと申し上げたではありませんか!!」



うん、流石有能そうな秘書(だと思う)だな、

一を聞いて十を知ったらしい。

正に雷だな。おっかねぇ…良かった俺助けた方で…いやマルスさん、

そんな助けを求めるような眼をしても俺は知りませんよ?

ギルドマスターの威厳(笑)でなんとか乗り切ってくださいね?


「マスターには後でしっかりとお話しさせてもらいます。

 よろしいですね?」


うわぁ…マルスどんまい…周りの職員さんまで震えてるじゃない…


「お待たせして申し訳ございませんでしたコトブキ様、

 このたびはうちのギルドマスターの命を救って下さり

 誠にありがとうございました。

 コトブキ様のカード作成はわたくし、エレナが担当させていただきます。」


と惚れ惚れするような笑顔とお辞儀を見せるエレナさん。

お辞儀の際その見事な双丘が押しつぶされるのを凝視してしまうのは

仕方のない事だろう。うん仕方ない。


「あ、はい、お願いします。」


見とれてた俺はそう答えるので精一杯だった。


「それではこちらに必要事項をお書きの上、こちらの水晶に

 手を当ててください。」


俺は言われた通り必要事項を書いていく、でも文字も書けるみたいで

良かったわ、商人になるのに文字が書けませんじゃ

話にならんとこだった…

それにしても業務形態?とかってなんて書けばいいんだ?


「マルス、ここはなんて書けばいいんだ?」(小声)


「そこは適当で良いぞ、どうせ表には出さんからな、

 特殊とでも書いとけ」(小声)


特殊っと、これで良いかな?んじゃこれを渡して水晶にポン!


「はい、確認できました。ではギルドカードが出来るまで当ギルドの

 説明をさせて頂きます。」


「いや、コトブキにはワシが伝えるから必要ない。ギルドマスター室に

 居るから出来たらエレナが持ってきてくれ。

 ここに来たのも身分証明書の作成が主な理由だしな。」


「かしこまりました。」


そう言うとツカツカ歩き出したので周りの職員さんや商人だろう人達の

好奇の目を受けながら後ろを着いて行った。


そして行った先には他より重厚感溢れる扉があり、その扉を開くと

とても豪華だが落ち着いた雰囲気の30畳はあろうかという部屋だった。


「広っ!」


「どうだ凄いだろう。」


と自慢げなマルスだが、何故か座ろうとしない。俺が座るの待ってる?

と思っていると…


「ではクッションを頼む。」


「は?」


「あの馬車で出してくれたクッションだ!ワシはもうあのクッション

 以外には座りたくない!あれに比べればここの椅子など石も同然!!」


あ、ダメになってたわ。仕方ない出してやるか。


「うひょーこれだこれだ!あ”~ワシもうここに住む。」


「何言ってんのこの人。」(何言ってんのこの人)


「心の友よ、言っとくがこのクッションだけで100万zや200万z

 出す奴なんていくらでもおるぞ。これを売ったりはせんのか?」


「あ~売っても良いけど…これ売ると王都が混乱しないか?

 仕事行きたくない!って人が増えたりして。それになんか足が付きそう

 じゃない?いわゆる現物があるとさ、これをどこで手に入れたんだ!

 ってやっきになって調べる奴とかいっぱいいそう。」


「確かに調べる奴は多いだろうな。仕事に行かなくなるのは~・・・

 ヤバいあるな。」

(それにやっぱり売るほどあるんだな、

 って事はやはりあの光は召喚の類か…)ブツブツ


「オーシット!まんまと誘導尋問に引っかかっちまった!

 人の秘密を探ろうとする奴なんて心の友とは……短い付き合いだったね、

 もう十分夢は見れたよね?」


「すんませんでしたぁぁぁぁぁぁ!つい商人としての性が!

 悪気は無いんだぁ!」or2


「はぁ、全く、ちょっとは控えてもらわないと・・・

 あんまり酷いと…全部いくよ?」


「ひっ…ひぃぃぃぃい」ガクガクブルブル


「これは一体何の茶番ですか?」


いつの間にかエレナさんが入ってきてた。肝心なとこは聞かれてないよね?

手には茶色いカードを持っている。あれがギルドカードかな?


「コトブキ様、お待たせいたしました、こちらがギルドカードになります。

 説明は既にギルドマスターからお聞きかと思いますが、何かご不明な点は

 ございませんでしょうか?」


「エレナさんありがとうございます。でもまだ説明してもらってないので

 簡単な事だけでも教えていただけると幸いです。」


そう言うな否やエレナさんが鬼の眼光をマルスに向ける。


「マスター?これはどういうことでしょうか?新しいギルド員にはきちんと

 説明をしなければならないのはご存じのはずです。そんな最低限の事も

 せず、ご自身の椅子に座りもせず…納得のいくご説明がない場合・・・

 わたくしは一週間ほど休みを取りますよ?」


「エエエエエエエレナ!それだけは!それだけはご勘弁を!

 エレナさんに一週間も休みを取られてはこのギルドが回らなくなって

 しまいますぅぅぅぅ!ちゃんと説明はしますのでどうかご容赦を!」


あーやっぱエレナさん超有能だったのね


「それでは最初から、順を追ってお願いします。それからその妙に精巧な

 カツラの事と、今マスターが座ってらっしゃる変わったクッションの

 事も合わせてお願いしますね?」


「カツラじゃない!!!よく見てみろ!引っ張ってみろ!地毛だろう!!」


「は?何を世迷い事を・・・「イテッ」なっ…嘘でしょ?!」


「本当ですぅ!ワシの頭皮はあの日の栄光を取り戻したんですぅ!」


「よろしい。ではその事も踏まえてご説明ください。」


「え?あ!その…それはぁ…」


「わたくし、おやすm「コトブキィィィ!彼女なら大丈夫だから!絶対

 大丈夫だから!おねがぁぁぁい!」」


「はぁ・・・仕方ない。セレナさん、今から言う話には俺の個人的な

 秘密が多々出てきますが、あなたはその秘密を一生涯守り抜くと

 誓えますか?」


「なるほど、そういう事情がありましたか。分かりました。わたくしも

 ギルド職員として守秘義務を遵守することを誓います。」


「出来れば職員としてではなくエレナさんとして誓ってもらえませんか?」


「・・・分かりました。わたくしエレナ=スタシアは今からこの場で

 見聞きする秘密を生涯守ると神に誓います。」


「ありがとうございます。ではマルス、どうぞ。」

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