……取り敢えず寝よう。
「めんどくさい事になった」
2階の1室をあてがわれた俺は1人部屋にしては立派すぎるベッドにぶっ倒れた。
「イケメンのカルーに捕まったのが運のつきか?」
カルーはあのイケメンの名前だ。お坊っちゃま何て呼ばれてんだぜ? ……て事は本当に良いとこの坊っちゃんだよな。
カルーは社交的で話もうまい。飯時にしゃべる話は多岐にわたり退屈はしなかった。
サーシャさんの作る料理は前の宿より良い食材を使っているのかむちゃくちゃ旨かった。採算合わないよね絶対。
マキチフさんは得たいが知れない。カルーの後ろに控えているかと思うと、いつの間にか俺のそばにいてほしいものをとってくれる。サーシャさんもやってくれるが、マキチフさんはその動きが見えない。忍者かあんたは! と言いたい。
気を取り直して、何か今日増えたキグルミ鑑定の事を考えてみよう。
キグルミタンスからバロックウルフのキグルミを出してみる。
バロックウルフ ★☆☆☆☆ 速度上昇(微)
うん。よくわからない。今着ているエコーバッドのキグルミも見てみたいので着替える。
前に一日は脱げないとなっていたが、キグルミになら着替えができる。できれば普通の服が着たい。それじゃ、キグルミ鑑定!
エコーバッド ★★☆☆☆ 聴覚上昇、超音波
耳が良くなって回りの音をよく拾えるのはこのせいか。そうなると、超音波が3人組のリーダーを倒したやつか? あれ? そういや、エコーバッドが勝手に落ちたのってそれもこれのせいか。
バロックウルフが星1つ、エコーバッドが星2つ。これが何かわからない。使用頻度? ここ来てよく着てるのはエコーバッドだけど。長く着てると星増えるのか?
「う~ん、わからん」
こんな時は寝るに限る。寝れば少しは違うことも考え付くだろう。俺はエコーバッドのキグルミに着替えベッドで横になった。バロックウルフは暑苦しいのだ!
世界を闇が支配する時間。今宵も天空より美しき女神の横顔が見える。その美しさは光となり地上へと降り注ぐ。俺は女神に届けと声を張り上げる。
「バッド〇ーン!!」
今日は喉の調子も良いぞ! もう一度、
「バッーー」
「うるさいです!」
後頭部に衝撃を受け、屋根から転げ落ちた。