受付嬢の簡単でないお仕事
今日は最悪だわ。目の前で言いたい事をまくし立てる3人組の相手をしなければならないし。
「新人を親切で迷宮に連れてったら、1人で突っ走ってモンスターに殺られちまったんだよ! ほら、そいつの剣を持っていってやりたいから親の居場所を教えろよ!」
その持ってる剣が問題なんですけれど……。
「親御さんにどういう風だったか伝えてやりたいんだよ。なあ、分かるだろ?」
親に会っていちゃもんつけて金せびろうって訳ですね。
「ですから、その剣をこちらに渡してください。ギルドの方で渡しますので」
こちらからの連絡は即、あなた達の捕縛になるんですが。
「だから、言ってんだろう! アイツの死亡を親に知らせてやりたいんだよ! 早く教えろよ!」
「ですから、それはこちらで行いますので、剣を預けてください」
「そういう訳にはいかないんだよ! こっちはどんなふうに死んだか教えてやらなきゃならねえからな! アイツのせいで危ない目にあったんだ。さっさと教えろ!」
さっきと言ってる事が違いますよ。そう言おうと思ったが、
「……その必要も無くなったようですね」
3人組の背後、入り口に今入ってきた少年を見て言った。キグルミの人と一緒にいるのが分からないが……。
その後、ちょっとした騒動があったが、3人組は捕らえられてギルドの窓もない一室にいる。
3人は不貞腐れたようにして椅子に座っている。
「俺達に何しよってんだ?」
リーダーの男が口を開く。
「ギルドランクの降格か? 罰金か? 俺達も暇じゃねえんだ早くしてくれ」
……完全に舐めてますね。それにそんな罰くらいで終わる訳ないですよ。
「あなた達のやった事は殺人未遂、恐喝未遂そして、ギルドに対する不利益です」
私は目線に力を込めて告げる。彼らの体は今、体温が下がっているはずだ。
「いいのか? 俺達に何かしたらーー」
「闇ギルドならあなた達を見限りました」
「ーー何だって!」
「新人食い物にしかできない借金まみれは要らないそうです」
ここでニッコリ笑うのが味噌だ。
「テメエ!」
彼らは体の異常には気づいていない。唇の色も青白くなっているのに。こちらに殴りかかろうとして足をもつれさせ盛大に倒れる。
「その辺でいいでしょう?」
扉の前に老執事が立っていた。扉を開けた音も何もなかった為にいつ入ってきたか解らなかった。
「お嬢様。闇ギルドより隷属の首輪を持ってきました」
そう言ってすぐに3人に首輪をはめる。
「それじゃ、彼らを『紅蓮竜』の人達に受け渡して。今度下の階層に行くのに肉壁が欲しいって言ってたから」
『紅蓮竜』は今、最前線を行く10チームの内の1つだ。奴隷を前面に押し出して力押しでやっている。闇ギルドでも良い商売相手だ。
「な、何でだよ」
「助けてくれ!」
「たかが新人一人殺そうとしただけじゃねえか」
最後に言ったリーダーにいちべつをくれると、
「あなた達の殺そうとした新人の親に会いたいって言ってたわね。この都市の騎士団団長に」
「なっ!」
「団長に引き渡せば、尋問、拷問のフルコースに親兄弟もどうなったかわからないわね。それをやらせる訳にはいかないからギルドは闇ギルドから譲渡を引き出して交渉したって訳。こちらもそれ相当の不利益を被ったわ」
私の力ではなく、出てきた事実に顔を青ざめさせた3人に、
「よかったわね。『紅蓮竜』の中にも団長さんの部下が居るから可愛がってくれるわよ」
そう止めを刺した。
夕暮れ、ダイエットを兼ねて散歩をしていると最近できたメイドさんのいる宿屋モドキにキグルミと剣を取られた団長さんの子がいた。
キグルミさんには幸多からん事を……と祈っとく。