ギルドへ戻ると……
結局、連れて帰ることになった。剣も何も持ってないんだ。仕方ないだろ?
「1人だったんで、仲間を募ったんだ。そしたらそいつらに後ろから切られて、剣を投げつけて逃げたんだ」
始めから物取り目的の奴等に捕まったのか。そんな奴等がいるのは聞いていたが、よく見るとこいつも良い装備着てるみたいだし金持ちのボンボンと思われて声かけられたんだろ?
「剣を投げつけたのは後悔していないが、あの剣を持ってればこんな所から簡単に出れたのにとそれだけが不満だ!」
よーするに俺は強いんだって言いたいのか? 知らん! こんなくだらない話できるのも襲ってくるモンスターがいないからだ。モンスターがいれば蹴りだしてやるのに。
ギルドに着くと受付が騒がしい。いつもの受付嬢が3人の冒険者に絡まれているようだ。
「だから、言ってんだろう! アイツの死亡を親に知らせてやりたいんだよ! 早く教えろよ!」
「ですから、それはこちらで行いますので、剣を預けてください」
「そういう訳にはいかないんだよ! こっちはどんなふうに死んだか教えてやらなきゃならねえからな! アイツのせいで危ない目にあったんだ。さっさと教えろ!」
「……その必要も無くなったようですね」
受付嬢がこっちを見ている。3人組が振り返ると驚いた顔をしてかたまった。
「お前達! 僕の剣を返せ! そうすれば、僕を後ろから襲ったことは許してやる」
あっ、そうか。隣のこいつを見て驚いたのか。そういう事は、こいつらが仲間になって襲ったやつらだな。
「何言ってやがる! お前がモンスターにパニクって、俺達に襲いかかったくせに!」
残りの2人も同じ様に言い始めた。
「ふざけるな! 僕の背後から斬りかかって来たくせに!」
「そうですね。先程のモンスターに殺されたと言うのと話が違いますし、きちんと話を聞かせて貰いましょうか?」
受付嬢さんの声に怖いものが混じる。
「くっ! こうなったら……」
リーダーらしき男が剣に手をかける。危ないと思い、イケメンの前に出る。
「退け!」
「うるさい!『止まれ!』」
剣に手をかけたまま、男は白目をむいてひっくり返った。それを見て、後の2人は慌てている。
そうこうしているうちに、ギルドのマッスル職員に奥に3人は連れていかれた。
「はい、剣はお返ししますね」
イケメンが受付嬢から剣を返してもらうまで俺はポカーンとしていた。いったい何があったんだ?