急に鍛えたからって……ねえ。
バルクをボルクに修正。
「ボルクさん、何してんの?」
「決まっている。こいつらを鍛えとるんじゃ!」
なぜか襲って来た奴等をしごいている。
「お前らの実力も測れんとは思って無かったからの」
そんな奴等で測って欲しく無かったんだが……。
「少し位ましになるから待っとけ」
そう言われて、2人して隅の方に行き、体育座りでその光景を見ている。
「何でか兵士の方もいるよね」
「ボルクさんの弟子でここの騎士団所属の人達とか」
お茶を用意しながらサーシャさんが答える。あなたも来てたんですね。
「本当ならカルー様とキロウさんが程よく痛め付けてから捕縛するのを待っていたんですが……」
あの鬼が暴走したと。騎士団の人達も頑張って教えている。
「ある意味、理想的な訓練だと思うけど……」
「どっちにしても奴隷落ちですから意味はないですね。いえ、少しだけ生き残れる確率が上がるでしょうか?」
奴隷になってどこ行くのか知らないが、こいつらの今後なんてどうでもいい。早く帰りたい。
「で、どうだった?」
「はい、ダメです!」
「はい、見込みないです」
「産まれる時からやり直した方がいいです」
言われるままのあいつらはというと、死屍累々という感じで転がっている。よく見ると一番威張っていたあいつが隅の方に転がっている。最初にやられてから起きてないのだろう。……他の奴等より根性がなかったようだ。
「はぁ~。これじゃやるだけ無駄だったな」
後頭部を掻きながら、ボルクは溜め息をついた。
「よし、そいつら逃げられないように縛って転がしとけ。そんで、ニジスとゴウバが二人の相手をしろ」
「えー? ボルクさん、そりゃないですよ」
「痛たた……、急に腹が……」
他の兵士より力が抜けた感じで立っている男が気の抜けたような声で最初に答えて、その後に答えたがたいのいい兵士が横腹を鎧の上から押さえてうずくまっている。どうみても仮病だろう。
「わかった。今度、狩りに連れって鍛え治してやる」
「誠心誠意やらせていただきます!」
「あれ? やっぱり痛くないです。それどころか調子がうなぎ登り!」
気の抜けた声から一転、腹の底からの大声に近くにいた兵士達が耳を塞ぐ。
がたいのいい方は屈伸して笑顔でアピールしてる。……そんなに嫌なのか?
「ニジスとゴウバって……」
「知ってるの?」
「今の騎士団でいきなり小隊長に抜擢された人達だ。強いよ」
「さっきの話からするとボルクさんの弟子みたいだな」
「そうなんだよ。それで無茶に付き合わされてな……」
「……うん。気持ちは分かる」
「わかってくれるか。弟弟子!」
ボルクさんにしごかれた時の事を思い出してそばに来た二人が泣いている。それに覚えのある俺達も涙を流している……って、いつの間に!
「遊んどらんで、さっさとせんか!」
ボルクさんの怒鳴り声が響く。襲ってきた奴等も今の声で起きたみたいだ。
「それじゃ、先生の要望なんでさっさとしますか」
「真ん中でやる。……手加減しろよ」
そう言って歩き去る後を着いていく。こうして兵士との対戦が始まった。




