お金が右から左に流れました。(泣)
パープルビードルはカルー君の事を考えて非常時用にキグルミタンスに入れておく。カルー君はそれを見て安堵した。
「昔、寝ている時に顔の上に落ちてきてパニックになったんだ。それから見るのも嫌だ!」
そうなのか? 俺の所じゃ芋虫ならご馳走だったがな? それを伝えるとひいてた。
その後、カルー君が調子悪くなったので、戻ることにした。
「『帰還』!」
カルー君が首にかけてある水晶のネックレスを握りしめ呟く。すると迷宮の入り口に一瞬でついた。
これはギルドが貸し出している転移の首輪だ。迷宮に入る人にギルドが貸し出している。低層に行く冒険者は基本着けない。結構高いのよ。
「首輪を回収します」
フードを目深にかぶったギルドの回収係に首輪をはずしてもらう。もし、はずして貰わなければどうなるか……。聞いた話では、持ち逃げした人が翌日、首輪を首に食い込ませて絶命していたと言う。無論、カルー君調べ!
ギルドに魔石の換金をすると変な視線がまとわり着いてくる。キグルミにも毎日見ていると飽きたのかこの頃はガン見してくる者も減ったが、その視線とは違う。それに俺だけではなくカルー君にもその視線が着いてくる。
あくまで然り気無く視線を向けると似たり寄ったりの柄の悪い冒険者が数人集まっている。回りにいる冒険者も嫌そうにしている。
変に視線を会わせないようにしてギルドを後にする。嫌な予感がする。
宿に戻ると、
「お坊っちゃま、ギルドから賠償金としてお金が入って来ましたので、1月分の宿代として納めさせていただきました」
……ハイ?
「いいーー」
「ちょっと待て、俺達のもらった金だろ? 何でそんな勝手に」
カルーの声に被せて叫ぶと、
「客が来なくて経営が苦しいのです」
マキチフさんが疲れた顔で言ってきた。サーシャさんが隣でため息をついてる。よく見ると服が少し汚れているような? 継ぎ接ぎまで付いてる。
「サーシャも食事を楽しんでもらおうと毎回張り切るので……」
サーシャさん泣かないで下さい。
「いいよね?」
カルーが悲しげなイケメンフェイスでこっちを見る。いや、何か知らんが罪悪感が……。
「わかった! わかりました!」
これは折れたんじゃない。ちょっと歩み寄っただけだ。ここの食事は美味しいし! ベッドも上等だし!
「そうですか! ありがとうございます」
万勉の笑みですね、マキチフさん。サーシャさんの服も綺麗な物と変わっています! はめられたんですね。
「ところで、話は変わりますが」
落ち込んでいる所にマキチフさんの声がする。もうどうにでもしてくれ!
「私の友人で冒険者をしていた人を泊めよう思うんですけど」
いや、あなたの宿でしょ? そんなの断らなくても……。
「そいつは新人育成にこってまして……」
「マキチフ! まどろっこしい! ここに泊めてもらう代わりにお前らを鍛えてやる!」
現れたのは、赤い短髪のごついじいさんだ。マキチフさんと対称的に荒々し雰囲気を持っている。
「俺の名はボルク。ボルク・ハーランド。今日は挨拶がわりに宴会だ!」
この日、俺達はこの元気なじいさんに夜中まで付き合わされひっくり返ることになる。




