#203ー23 ちょっとリッチなお出かけ
俺らの前に寝台列車が現れた。俺らは運よく一番列車の全区間の切符が取れた。ま、10時打ちの一斉押しに勝った。俺らは一番列車の乗車駅、上原北港駅まで移動した。テレビカメラや、野次馬が八雲ラウンジの前に集結した。俺ら五人組は切符が取れて、野次馬たちがラウンジの前でがやがやしてるので、4番線側の喫煙所でタバコをふかす。
ディーゼルエンジンをふかしながら列車は入線。俺らは10時ころラウンジに移動し、切符を見せて中に入る。ラウンジには寝台のお供の食い物、飲み物、運行する路線の停車駅などが書いてある。「まもなく1番線に、寝台列車やくも号、海浜八雲行きが参ります」
俺らはポテチ200gと、ちいさなウイスキーのボトルを一人ずつ持ち、乗車位置に並んだ。各車両一番前、南側の扉が開く。それぞれ乗り込む。あのクソトカゲ以外ツインだ。クソトカゲって、まーカナヘビ君もクソトカゲって言われても、ちょっとーって返事するくらいだ。
俺はベットに荷物を置き、タオルを持ってラウンジ車両に向かう。のんびり酒を煽ってる人もいれば、観光客もいたり、それぞれみんな思い思いなことをしている。俺はシャワーを浴びに、ラウンジ車両の脇にあるシャワールームに入る。蛇口をひねれば機械設定温度が出てくる。
風呂でほかほかになり、ラウンジに出ると、みんなが夜景を楽しんでいる。感傷に浸るのもいいが、俺はとっとと部屋に戻る。
「晴哉、シャワールーム開いてた?」今行けば空いてるよ。メビアースに火をつけタバコを吸う。
「晴哉んとこどう?」写真を撮り、クソトカゲに送る。ちなみにカナヘビ君のチャットアプリの名前もクソトカゲ。一人さみしくソロで横になっている。俺はポテチを食べる。
備え付けの灰皿に火を消して、横になる。ほかほかになったニホンカナヘビが帰ってきた。「おーニホンカナヘビおかえり」俺はルームランプを消して、横になった。キハ200系のディーゼルエンジンが床下から響いている。
どんどんどん。俺ら寝てんのに。「だれー?」大和!だって。「おまいらの部屋どんな感じ?」修学旅行かよ。たまにはハルトと寝てみたいな。強く扉が閉まる。体力バカめ。俺は、再度ルームランプを消し、今度こそ眠りについた。
「晴哉晴哉、飯食いに行こう?」電車のブラインドを開けると日が差し込んできた。ラウンジ車両に移動し、軽食のサービスを受ける。大和たちは来ないようなので、俺らはサンドイッチをかじる。味はフツー。
光輝と部屋に戻るついでに大和たちの部屋にノックしに行く。「おーい、飯だぞ」ん、って顔をしている。あとクソトカゲだな。光輝がおはよーカナヘビくんと言い、3人はラウンジに移動する。
この列車はキハが4両キサハが1両 キサハはA寝台の専用になってる。通り抜けする時は静かに、と書かれている。俺は部屋で光輝が見てる目の前で、じぶんなぐさめをする。「ちょっ、晴哉、あ、じゃあ俺も」光輝までし始めた。俺は見てる光輝を夕飯の材料にし、果てた。
「(おんがく)おはようございます。この先海浜鉄道に入り、北港、八雲の順に停車して参ります。到着見込み時間はーーー」
部屋が臭い。オス二匹なのでそりゃあ臭いかな。「おーい晴哉」カナヘビくんがきた。「あ、」と言い、お幸せにとだけ言い放ち、廊下に歩いて行く。
八雲駅で乗客は下車。忘れ物がないか車掌が全部屋を確認しに行く。車掌が閉扉の合図だし、列車は北港方面に出発した。八雲駅前のスタミナバーガーで本格的な朝食。喫煙席で5人で座り、わちゃわちゃする。
コーヒーを飲みながらみんなで会話。こんな毎日続いてくれてありがとう。
飯を食ったので、9時8分発の八餅街道に乗り、俺らの家まで?「じゃーこの後ハルトんちね」光輝、勝手に話盛り上げないで。
流れでハルトんちにあがる。大和の部屋は相変わらずの荒れ模様。「あー見ないで!」大和が言う。「見ちゃダメならハルトにも見せんな」「ハルトはいいもん」(小声) どう言うことだよ。「ウイスキーあるよーのもーぜ」と光輝が。しかも業務用ボトル。それぞれコップに入れ替え、みんなで飲んだ。