#11 purpleと神隠し
2010年「行くぞ光輝」夜中の9時 海佐中央駅まで電車で行き、新しいpurpleの店に行く。purpleが新型の携帯出すと言うので各地から集まっている。俺らは5番目。「ねむ」「あ、光輝と晴哉じゃん」振り向くともう、おっさんになった大和とハルトがいる。ハルヤマのコンビは寝袋を道路に引き、朝を待つようだ。俺らはブランケットをもらい、ごろ寝をする。
朝五時、鳥のさえずりが聞こえる。大和とハルトは起きて携帯をポチポチしている。もう一度寝る。光輝はずーっと寝ている。「ふご」「もー大和、酸欠で倒れちゃうよー」前を見ろと言うことで目を覚ますと、開店準備が着々進んでいる。俺らはブランケットと寝袋を仕舞い、立ち上がって開店を待った。「こちらがpurple4の発売日です、長蛇の列ができています」10番までの人が店内に入る。俺らが続々と入り、スマホを受け取り、料金を払い退出した。そのノリで俺と光輝の家で開封式を執り行う。
purpleの袋を持って、元口駅に向かう。みんなこっちを見ている。アパートの鍵を開け、中に入る。簡易テーブルの前でみんなは座り、purpleの箱を開ける。プラスティックレスのようだ。purple4がそれぞれ目の前に出てきた。携帯で写メをモフッターに乗せる。早速ハルトと大和が自撮りをしている。なんなんこいつら、光輝はSIMカードを交換する。それぞれ、purpleの使い道教室に通う。おじさんにはわからねー。それぞれ延長コードに電源タップを差し込み、思い思いのことをしている。まず連絡先を登録する前に二人は自撮りしていた。光輝が俺も、と言うので仕方なく自撮りに映った。記念だし4人の写真を撮ろうとのことで、四人はテレビの前にpurpleをおいて撮る。「カメラ屋に行って現像してもらうね」とハルトが言う。
光輝はコーラをコップに注ぎ、みんなの前に出す。「次の連休はみんなで餅鍋温泉行くよ、休みわかったら教えてね」「ありがと」ハルトが受け取る。「俺は八雲行きたいな」と俺が言う。「八雲って何があるの?」古い町並み。と答えた。八雲から山田川を通って、餅鍋温泉まで行く道が、古き良き、八餅街道。俺らの国に、二ホンの国の人が初めてきて、山間に雲がかかってて、海岸沿いに歩いて、平地がたくさんある街並みを山へ登って、たまたま地中を掘ったら温泉が湧き出たっていう。それで八餅街道。「海浜鉄道はそこが終点だよ」「電化完了で、キハ150系が海浜鉄道の連絡非電化区間を通過する以外で、ちょk」はいはい、晴哉鉄道語りはそこまで。コーラのも?
来る10月の連休。俺が無理行って八雲駅のそばの古き良き旅館を予約した。温泉風呂はないが、部屋は広いらしい。「で、俺たちどう行けばいいの?」光輝が言う。ちょっと駅員さん。「え?」ハルトがびっくりする。「あー、2時間に一本の快速八雲行きが新設されたね。列車名は八餅街道らしいけど。」
神殿駅にハルトと大和に会いに行く。「お待たせ。なんで快速八雲行きに乗って、降りるんだよ」だって、ハルトたちどこにいるんだかわからなかったよ。いったん駅から出る。だって、俺らが何も言わずに乗り込んだら同じ扉の前で待ってるとかわからないよ!「とりあえず、山田川まで行こう?」俺が提案する。
「これが海浜鉄道か、近未来的」光輝がこぼす。「棒読みになってない?」俺が聞く、そうではないようだ。俺らは山田川駅で乗換改札で切符を清算し、払う。「お、ハルトとやまちゃんじゃん」なんか顔見知りの人たちが二人を囲んでいる。「えー、休みの日くらい仕事の話したくないんだけど」とハルトが「やまちゃんって呼ばないで。」と大和が言う。彼氏さえ、やまちゃんって呼ばれたくないんだからって言ってる。
「3番線にまいります電車は、快速八雲行きです。途中新発田、あつみ、大鰐、北港、野辺所、八雲の順に停車します。空港方面は途中北港にて接続します各駅停車新町行きにお乗り換えください。」
快速で3扉、妥当だな。「お、列車来た」二人は列車乗車位置に立つ。「715と書かれた乗車位置でお待ちください」俺らはそれぞれの扉の前で待つ。いっぱい降りてきた。「コーラ飲む?」あ、ありがと。転換クロスシートを4人の顔が見えるほうに動かす。「ねー晴哉、寝ちゃうの?知らない鉄道で。」大和が言う、そういう大和はどうなんだ。俺はこの鉄道何回か乗ったし。列車は石野川鉄橋を渡る。そろって外を見ると運河に相当するような川幅だ。すると速度を落とし、熱海駅に到着する。列車はあつみ駅をこえ、速度を上げる、大和がポテチを顔の前で振る。「やめや」そのまま大和にかぶりついた。「ドラゴンいって―」ただ、手を顔の前でふった大和も悪い。列車は大鰐駅に到着。そしてなぜか車内販売が来る。「おーい、グリーンくれー」大和、迷惑だよ。客室乗務員が大和にグリーンと言う名のビールを渡した。それで、お金を払い、一人で飲む。俺らはえ?って顔をして、大和を見る。「なんだよ、俺に惚れちゃったのか?」「ばか、俺らにも買ってくれよ」回し飲みなら、と腕を振る。それぞれ回し飲みをして、大和が全部飲む。まて、全部飲むな。「え?」えじゃねえよ。俺だって飲みたいんだよ。
北港駅に到着した。反対側に新町行きの2両編成が待機してる。「そろそろ着くか」野辺所で列車の行き違い。5分程度停車。駅では北港方面行の列車がまいりますとか言ってる。「あ、キハ150」こんどはハルトが俺の前でポテチを振り振りしてる。「なんなのおまえら」手から奪い取る。「何でハルトの時は手から取って、俺は噛みつくの?」いや、その時の気分。
列車は終点の八雲に到着。北改札で自動改札に切符を吸い込ませ、出る。俺らは空を見上げた。連峰に雲が掛かってる。だから八雲か、と俺以外がうなずく。古き良き、石畳を進む。「こんな車が通れないような場所に旅館なんてあるの?」と光輝が。店先ではお土産や、お菓子、夕食のおかず、さらにはお酒も売っている。「どれも高いなー」買ってやれよ、光輝。っていうか旅館どこ?。やべ、地図が機能しない。だから紙マップは正義なんだよ。「あれ、静かだな」俺は、なんで?周りに白い雲がまとってる。おーいみんなー!「やばいな、みんなに合流しないと」「晴哉」「え?おじいちゃん?」「ドラゴンのおじいちゃん!」おれ、仲間とはぐれちゃって、仲間のところに集合しないと、きっと迷ってる。「落ち着くのだ、晴哉。落ち着いてれば、そのうち、道が開けるだろう。お盆の時は、墓参りに来いよ。元口墓地に君の両親と、俺の墓がある」涙を流し、その場でうずくまる。
「晴哉」「おーい、そんなところで突っ立って、お客の邪魔になるぞ!」「おいおい」
え?ここは?おじいちゃん、「はあ、晴哉が行きたいっていうからついてきたんだが、何寝ぼけてんだよ」「あーここって神隠しの話あったっけ」「なんだ?お前神隠しにあったんかよ?」purpleの角で叩かれる「やったなぁー!」光輝ぃ!
「すみません、販売中失礼します。ここって俺は聞いたことないんですが、神隠しの伝説ってあります?」「フツーにあるよ、特にあったことのないおじいさんとか、死んだ父母とかに遭遇したっていう話は多いよ、君は誰にあったんだい?」「えーっと、見たこともないおじいちゃんです。後ろにいる仲間と地図を見てると急に。」君は長生きするよ。そういう時は好きな子を大事にね。とアメちゃんを売っているおばちゃんから真実を聞けた。「何話し込んでんだよ。旅館行くんじゃないの?さっきから寄り道ばっかだな」光輝が文句を言う
旅館に到着。最終確認。ここであってる。さっきから俺の体が心配だから背中に乗れよと大和が尻尾を振り振りしている。「電話で聞いたらいいと言われたのですが、大浴場に入れ墨の人って入れるのでしょうか?」「はい、大丈夫です。」やったな大和!
部屋に行く。イグサのにおいがぷんぷんする。リュックサックをおろし、野外に出て手ごろな店先で、ビールを買い込み、飲み空かす。一泊二日の仲間たちのお出かけ。「なあ晴哉、なんであの時俺に必死に薬止めろって言ったの?」友達として、君の体を守りたいからだよ。酔いが回って何言ってるのかお互いわからない。
そのまま寝た。
「晴哉、お母さんとお父さんだよ。育てられなくてごめんね。いつでも君を見てるよ。でも覚せい剤を使ったのは親として許さないけど、元気に生きてね。光輝君のこと、晴哉好きだよね。自分に自信を持て。そうすれば道は開けてくる。同性愛だって、誰も怒らないし、生き別れた晴哉の兄、直矢だって元気にしてるよ。」「今更遅いんだよ!なんで今更俺の夢に出てくるんだよ!場所考えろ!生き別れの兄弟の話は受け取っておく。あばよ」「元気でね。晴哉」目を覚ますと4時ちょうどだ。そろそろ起きるか。「国鉄唱歌」びっくりした。
「おいおい、俺を起こすだけにアラーム設定すんなや」「寝言言ってたよ、誰かと喧嘩でもしたん?けっこう大声だったよ」俺の死んだ両親。「え?もふもふじゃないほう?」そう。大和がおっふろーって言いながら尻尾を振る。旅館備え付けのタオルと上着とズボンを持って風呂場に行く。「先入ってて。トイレ行ってくる」俺は、兄貴は何してるんだろう。元気にやってるかな。トイレから出ると、みんながこっちを見てる。ベルトを外した瞬間、光輝にズボンを降ろされる。「びっくりするからやめや!」タオルを投げられ、受け取る。お風呂に入る。
お風呂。シャワー台が2つ、大きなお風呂が一つ、外に連峰が見れる。「大和、また開けや」「ハルトこそなんで開かなきゃいけないんだよ。おうちの風呂じゃないし」「晴哉も、」やーだね!お湯をバシャバシャさせる。「大和の背中、前より絵、増えてない?」そんなことないよ。「こら、晴哉と光輝。丸聞こえだぞ」「そういう晴哉と、光輝のちんぽ見てねえや」見なくていい!と、二人で言った。ぶぅ?!「あ、屁こいちゃった」大和―!
その後貸し切り状態な風呂で、おっさんが遊びつくし、みんなへとへとで風呂を出た。その後は流れるように夕食だ。
「八雲周辺で神隠しにあったことがあるか、調査をしています。」別組の人が、神隠しなんてあるわけないと言った。「なあ、俺」。「会ったってどう証明する?」「だって、石橋の上に直立不動してたんだろ、俺」「そうだけど、それが何の証明?」ちょっと、数学の証明みたいに言わないでよ!
ウィスキーをみんなで煽りながらタバコを吸う。「この縁が、長く続いてくれるといいね」と誰かが言う。上着が暖房のせいで暑いので俺らは脱いだ。その瞬間を狙ってシャッターチャンス。みんなのまな板を観察する。よるのおかずとしていただいます。きっとおいしい。「ちょっと、晴哉、何撮ってんの」
「わぅーっ」夜、目を覚ましたらみんながタバコ吸っている。「なんや、おまいら起きてんのかよ。ちょっと聞こえてんのか?」みんなの姿をしたものは、しだいに夜の闇に消えていった。え?と困惑する晴哉を横目に、空間は変わっていく。またもや俺は石橋の上に居た。「ちょっと晴哉、そんなところで突っ立って、お客の邪魔になるぞ!」俺は俺を見ている。仲いいな。「これって臨死体験?」俺の言葉は空に飛んでいった。空に飛んでいった言葉は晴哉めがけて一直線に落ちてきた。「これって臨死体験?」誰かに起こしてもらわないと。
「はっ!」時計を見る。4時1分前。「なんや、みんなが起きる時間じゃん。」アラームがハルトと大和の携帯から鳴る。「ふご」「なんだ朝か」「ちょっとハルトにいたずらしちゃお」むに「おわぁ!」「あ、大和おはよう。誰かが俺のウィンナーつまんでくるからびっくりしちゃった」俺はトイレにこもっていたのでわかりません。俺は、トイレから戻り、水道の水を一杯飲んだ。
「だから俺、神隠しにあったつーってんだろ!」「QED」「それ、証明おしまい!お前ら話聞けよ」「は、晴哉病院でも紹介しようか?」「朝食まずそうに食ってない?晴哉」「なっ、まずくねーよ」
あのまま誰にも信じてもらえず、八雲駅に戻ってきた。「なんか、言い出しっぺが楽しんでないよな。なんで俺たちここに来たんだろう」ハルトが言う。「な、まあそうだけど」
山田川海浜鉄道の八雲駅に到着。「さよなら、おじいちゃん」駅の発車案内は次発が快速餅鍋温泉と、3色LEDの電光掲示板が言っている。「まもなく、2番線に快速餅鍋温泉行き4両2扉で参ります。乗車位置150でお待ちください。熱海から山田川鉄道に入り、餅鍋温泉へ参ります」ふと、「君なら大丈夫、これからも頑張れる」と誰かが言った気がした。
「なーんでこの車両残ってるかなぁ、完全引退したはずじゃないの?」とハルトが、「海浜鉄道に直通するから捨てられなかったんじゃね?」と聞き返す。誰も気づいてないんで言う。ハルト、お前のカバンに715系電車のストラップついてんね、いつ買ったの。「北港、大鰐、熱海、橋本、八戸、神殿、川口、元口、八川、川越、海佐中央。橋元口、西口、餅鍋口、終点餅鍋温泉の各駅に停車します」
「なーハルト、これでしばらくはみんなと会えないだな」「そーね。悲しい」いつだって会えるんだよ。ま、元気出せや。「俺も君たちに会えなくてかなc」ハルトたちがうなずく。俺たちは寝落ちした。
「じゃあねー!」とハルトと大和が離れていく。「楽しかったね光輝。」「楽しんでないのだ誰だよ、寝言うるせーし」「ごめんって」光輝、お財布の中身と相談だけど、温泉行かない?「給料日来たばっかだぞ」「それもそうね、かえろっか」
元口に置いてあったバイクに乗り込む。「帰るぞ」俺らは家に向かっていった
ーーー「君なら大丈夫、これからも頑張れる」
ーーーそう、俺も願ってる。