無聊
昼なお暗い森の中で、草に埋もれたラジヲからDJの声が響いていた。
『はい、真夏に怪談を語ろうのお時間がやってまいりました。
え? リスナーさんからハガキが来ているって?
えーと、なになに、怪談は昼じゃ無く夜やるもんだ、って?
毎回この質問されてるなぁー。
まあいいか。
それはね、私が受け持っている放送時間がこの時間だってのと、私自身が怪談などのホラーが駄目だからですー〜』
DJの喋りに私は入歯をカタカタ鳴らしながら笑う。
でも不思議なラジヲだよ、コードは繋がっておらず乾電池も入って無いラジヲが放送を受信してDJの声を流しているんだから。
ま、そのお蔭で、此処から動けず風に揺られるだけの首吊自殺した私の無聊が慰められているのだけどね。