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十二 乱暴な入居者


 右隣りの部屋に誰か入居したようだった。


母親の話だと水商売風の派手な女が挨拶に来たらしい。


隣に強い魔気を感じて意識を飛ばした。生活用品が少ない。


それにおじさんが4人もいた、一人は50代の体の大きい男でリーダー格だった。


後の3人は30代で子分のようだった。


特にリーダー格の男の欲は強く、金、名誉、出世欲だった。


凶暴度も高くレベル8だった。人間ではレベル10が最高だった。


凶暴度は大物との戦いには欠かせないものだ。


取れる機会を待とう。和夫が夜7時頃帰って来た。


祖父の会社で仕事を真面目にしているようで、心境の変化が分からなかった。


早速風呂に入った。


母が夕食の支度をして私は食堂の椅子に座っていた。


暫くすると和夫は風呂から出て来て椅子に座った。


まだ頭が濡れているようでタオルを首に巻いていた。


母は瓶麦酒を冷蔵庫から出して、栓を抜きコップと一緒に和夫の前に置いた。


和夫は麦酒をコップに注いで一口飲んだ。


「琢魔、学校はどうだ?」と珍しく私に声を掛けて来た。


「うん、楽しいよ」


「そうか、真面目に働いているので、親父が給料上げてくれるらしい。

だから此処を出ようかと思う」


「何処にいくの?」


「○○町の中古の一戸建の住宅」


「えっ、そこはセレブの町でしょう。お金は大丈夫?」


「親父が出してくれる、ただ無利子で毎月返済する。まだ決まっていないが?」


「でも、お父さんとお母さんが私のこと許してくれたの?」


「うーん、分からない?」と返事に困っていた。


すると隣から大きな笑い声が聞こえて来て、ジャカ、ジャカと麻雀のパイを

掻き混ぜる音が聞こえて来た。


そして益々大きな声で騒いでいた。


「隣に誰か越して来たのか?」


「はい、昼間に水商売風の女の人が挨拶に」


「安普請のアパートで音が筒抜けだ、ちょっと注意してくる」


「止めた方がいいわ?」と母の言葉を無視して出て行った。


奴らの常套手段だ、文句を言わせ、それに因縁を付けて金をむしり取る。


和夫も長年雀荘に出入していて、そんな事も分からないのかと感じた。


様子を見てみよう。和夫が玄関を出ると右隣の玄関の前に同じくアパートの住人

のおじさんがお腹を押えて座り込んでいた。


「如何したのですか?」


「隣が騒ぐので注意したらお腹が急に痛くなって」


「殴られたのですか?」


「面と向かって話しをしていたので殴られたかは分かりません」


「それじゃ警察は呼べませんね」


「私が注意してみます」と玄関のドアを叩いた。


「まだ、なにか用があるのか!」と30代の男がドアを開けて来た。


「このアパートは壁が薄く防音仕様になっていないので、

少し静かにしてもらえませんか?」


「えっ、静かにしろ? 騒いでいないけど」


「麻雀の音が聞こえましたが?」


「えー 麻雀をしてはいけないのか? おーい、麻雀禁止だって」

と奥に声を掛けた。


「麻雀が駄目だとは言っていません」


「誰が禁止だって!」奥から男3人出て来た。


「禁止なんて言っていません! ただ静かにして欲しいだけです」


前にいた男が和夫の首に巻いてあったタオルを閉めた。


「苦しい・・・・」と和夫が顔を赤くしたので手を離した。


一瞬お腹に痛みが走り和夫は蹲った。


素早くお腹に拳を入れられていた。


「警察を・・・・」


「警察を呼ぶ? 暴力は振るって居ないし、証拠もない、あまり因縁を付ける

と此方にも考えがある。綺麗な奥さんや可愛い子供もいて、お互い事を大きく

したくはないでしょう? また何時か挨拶に窺います」


リーダー格の男に威嚇されて追い出された。


和夫は憔悴して帰って来た。


「大丈夫だった? 何かされなかった?」


「うん、大丈夫だ、静かにしてくれと言って来た」

と言いパジャマに着替え寝てしまった。


私は七歳になったので能力が少し上がった。


今までは離れていると欲が取れなかったが、軽い欲は遠くても

取れるようになった。


10時位まで騒いで麻雀をしていたが、私の寝る時間なので、リーダー格より

麻雀をやりたい欲を奪った。


もう止めたと男はパイの山を崩した。


えーと他の3人はがっかりしていた。


11時に出掛けるから支度をしておけと言ってリーダー格の男は横になった。


私の体は眠りに入った。


暫くして隣がバタバタし始めた、出掛けるらしい、玄関のドアを開けて鍵

を閉める音が聞こえた。

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