~帝国軍 ピスケス・アウストリヌス・フォーマルハウト 登場~
「お前たちか、封印を破り、無断で迷宮に入った者は?」
声をかけたのは馬に乗った騎士で、ピクトグラム兵士とは違い兜を被っていて顔は伺えなかったが、声の感じからして人間のようだった。
機械式だが、精密に作られた戦闘馬、馬上の人物は中世の騎士のような格好をしていた。
「封印が破れたのなら、解るでしょう。まずは、お名前をお聞かせ願いますか?」
騎士は兜のを脱ぎ素顔を見せ馬上ではあるが一礼し礼儀を見せた。
「・・・失礼した。某はビックホーン帝国、炎壁騎士の1人 フォーマルハウト・ピスケス・アウストリヌスと申す。そなたの名は?」兜を外した男は、少し癖ッ毛の黒髪で日本人に見えた。
ビックホーン?どこかで・・・・あ、お知らせメールで読んだ。4年前、元の運営のアスカが買収されてビックホーンに名前が変わったんだ。それで、王国から帝国に呼び名が変わったのか。
「僕の名は、凜 登録者です」
少し間が空いた。騎士の男は、ウインドウを開き何か操作してるようだった。
ん?騎士が溜息をついて、兜をかぶったぞ。え?剣を抜いた?
「確認したが…やはり!違反者か!!!凜などと言う登録者は我々の名簿にはない!」
ピクトグラム兵が動き始めた!やばい。
あ、そっちの名前か!
「まって、まって、登録名は、鬼麟燐凜鈴です!」
動きが止まった。ホッとしたが・・・
「ぎゃはははははは!!! キリンリンリンリンって何て名前だじょ。主、腹が捩れる。ぎゃはははは」おいおい、笑い過ぎだよ。ミレーニア
「素敵な、お名前です」あ、ありがとう。アドミス
「・・・・確認した。登録者、鬼麟燐凜鈴殿」ほ、剣を納めてくれた。
「フォーマルハウトさん ごめんなさい。リンでお願いします」もう、このやり取りやだ。
「ん、ところでリン殿、何故ここへ」何故って、ダンジョン攻略の他に何があるのさ。
「ダンジョン攻略ですが?何か?」
「もう、100年以上も登録者など来た履歴がないのでな、封印を破るチート風情が現れたかと思い調査しにきた次第だ」
「誤解が解けたようですね。僕は純粋にダンジョンを攻略したいだけなので、失礼させてもらいます。ミレーニア、いつまで笑っていないで行くよ」今、帝国と揉めるのは控えたい。ただのゲーム人と偽ろう。
そそくさとその場を離れようとしたが、やはり止められてしまった。
「リン殿、その お連れは異世界の住人だな。我々の物を奪い去る卑劣なる行為を行うチート住人だな?」
「なんじゃ、我らを泥棒扱いするのか?」
「リン殿、やはりチート登録者だったのな。登録者や従者以外はパーティを組む事が出来ない。異世界の住人達はゲーム上、ただ動き回るNCP化しているに過ぎないから連れて歩くなど出来ない。その住人と組めるなぞ、改ざんして入って来たとしか思えん!!!」再び剣を抜き、ピクトグラム兵が動きだした!
「アドミス!ミレーニア!離れていて!」 まだ戦いたくなかったが仕方ない。ダンジョンの中じゃないから魔法は使えない。魔力とマジックアイテムで切り抜けないと。
アイテムボックスから『ボルダリングの壁』を取り出し発動させた。
(ボルダリング壁~リフォームしよう~ホームの壁を変更するインテリアアイテム 発動者が決めたレベルのストーンを使って上らないと強制的に落とされる障壁 所持数4 ゲーム内 だた、ホームの壁を変えるだけのアイテム)
帝国兵を囲うように巨大なボルダリングの壁が現れた。ピクトグラム兵は障壁に手足を刺してたりして上ろうとするが強制的に弾かれて落ちていく。
「すごいの、すごいの。ざまぁねぇな」僕が発動したせいだろう。こっち側からは向こうの状態が透けて見える。
「こしゃくな!帝国を甘く見るなよ!『Climbing a carp waterfall!』(鯉の滝登り)」
なんだ!フォーマルハウトがマジックアイテムらしき巻き物を出し唱えると障壁の上部から滝が現れ巨大な鯉が滝を上り始めた。
滝を登った鯉は、竜へと変化し、口から高圧の水を発射した。
「!」
アイテムボックスから『U字パイプ』と取り出すと魔力を注ぎ大きくして高圧の水をパイプを返して竜に戻した。
(U字パイプ~DYIしよう~作業着コスチューム 変哲もないキャラクターに付いてくるパーツの1つ、作業着タイプは、他にヘルメット、軍手、安全靴、工具一式などがあり、 ゲーム内 ジェムを払うと使用キャラクターが変更できる。土木、整備、電気、水道、その他)
自分の水圧で竜が怯んだが、脇からフォーマルハウトが馬と一緒に上から来ていた。
なぜ!あのボルダリングの壁はV16の最高レベルの難しさだぞ!プロだって簡単に登れる設定じゃないのに!
「はははは、壁で囲ったのが失敗だったな。攻略する石の色さえわかれば、その石を足場にしてジグザグに飛べば簡単に越えられる」
なんと、それを馬でやっちゃうのかよ!
僕たちの前にフォーマルハウトが立ち塞がっる。
「一騎打ちと行こうじゃないか、リン殿」
うぁ、この単細胞的な人じゃ何言ってもダメなんだろうなぁ
さっきの召喚や馬を見るとフォーマルハウトは、この作られたエリアやじゃ強いんだろうな。外にでたらどうかしらんが。
こっちは今、魔法が使えんのに・・・帝国の実力者の力を見るのもいいか。
「フォーマルハウトさん 戦う前に、お願いが・・・」帝国の騎士と言うぐらいだから、登録キャラクターレベルを超えて設定されてるかもしれない。そうなると、いくら僕でも この状態じゃ敵わないだろう。どれだけの力の差があるのかさえ分からないから、データー取りも兼ねて全力でやるか。
「なんだね。リン殿」
「フォーマルハウトさんは、戦闘を考慮してこちらに転送しました。装備満タンです。一方、僕はダンジョン外なので、魔法の使えない裸も同然です。きっと一方的にやられてしまうでしょう。なので、一騎打ちと言うからには、決闘です。フェアに行きましょう。装備する時間をください」
「・・・よかろう」
「ありがとうございます。それで、フォーマルハウトさんは愛馬と一緒での戦闘で、僕は1人 それでよろしいですか?」
「いや、馬を降りよう。リン殿はアイテムを使っても構わないし、私は、この剣のみで構わない」
かかった!ムカっときたようだな。やっぱり単細胞だった。勝手にチート扱いしてる割に紳士だな。そんなにチート嫌いなら さっさと襲えばいいものをw
「ありがとうございます。それでは、フォーマルハウトさん のご期待に添えるか分かりませんが装備させていただきます」
僕は、今あるレアアイテムなど、S級、SS級の装備を施し、指輪、ペンダント、タトゥーシール、ブレスレッド、アンクレット、カチューシャ、コンタクト、化粧、ネイル、エルフの長い耳を利用して、ピアス型、イアリング型などの強化アイテムを付けれるだけつけた。うぅ耳筋が鍛えられるw
「な、なんだ。君は? どれだけのレアアイテムを持っている」
「さぁ?まだ、アイテムを整理した事がないので分かりません」見た目はチャラい成り金 エルフに見えるが、アイテムのスキルを覚えるまでの我慢だ。
「フォーマルハウトさん、お待たせしました。それでは、始めましょうか」フォーマルハウトを見る限りかなり差が生まれてしまったようだ。それならそれで、力の差を知ら占めてやるのもいいか。
「お、おのれ!!!!!!」きっと、馬に乗っても敵わないと分かったのだろう。玉砕覚悟の顔ってこうなんだ。
剣を胸元で水平に構え睨みをきかせてきた。
南魚座の業 剣術突きの型「Marlin tuna horn!!!!」(カジキマグロの角)
「2人とも、離れていて」
僕はもっと挑発するように、わざとアイテムを使わずにダンジョンでドロップする正13角形のコインを出した。そして、そのコインを強化し盾化したのだ。
「ふ、ふざけてやがって!後悔させてやる!」
大理石のような白い床が砕けながら一瞬で僕の間合いに来た。
胸元の剣を伸ばし、僕の喉元に迫る。
僕は、2本指で挟んだ表側のコインで防いで見せた。
ガッキン!!!!と剣とコインがぶつかる。
剣が砕け、猛進してきたフォーマルハウトは、止まれずの僕と衝突してしまった。
「げ、マジ!だだのタックルじゃん」
僕は盾化したコインや強化アイテムのお陰でその場に止まれたが、フォーマルハウトは僕がまるで壁のようになっており、突進したフォーマルハウトは ぶつかり自滅した。
◆
「・・・・生きてるのかや?」
コミカルに うつ伏せで倒れているフォーマルハウトさん に悪戯しないの
「気絶してるだけだよ」
あれだけの一撃が自分に跳ね返ったのに、見た感じは外傷はない。脳震盪で気絶しただけのようだ。やはり強い。回復の魔法は無理だから、回復薬を飲ませるのが1番早いな。
「ミレーニア、これをフォーマルハウトさん に飲ませてあげてくれないか?」飲み回復薬(上)を渡した。案の定ミレーニアは・・・
「いいのか?いいのか?我が飲ませていいのか?」なんて嬉しそうなんだろう。
回復薬を口に含み口移しで・・・・えっ? うがい?おいおい、グチュグチュ、ガラガラってどんだけやんの!!!!
「ミ、ミレーニアさん?」
「ふが(なに)? おううおい(もうすこし)」
口に含んだ回復薬(妖力唾液IN)を躊躇なくフォーマルハウトに口移しで飲ませた。
ゴクゴクと喉が動く・・・・なんで?頬も動いているの?ねぇ、ミレーニア長くない?
「ぷはぁ、意識の無い男の唇もDEEPで いいもんじゃのぉ」
「その手がありましたね。リン様のアドミスに転送しておきます」いや、マジやめて。
◆
フォーマルハウトさん の意識が戻った。
ダメ押しにミレーニアの膝枕させてやった。
「・・・・」見つめ合ってるの2人 おいおい
「ゴホン」咳払いをしてフォーマルハウトさん の意識を僕に向ける。
「あぁ・・・やはり負けたか・・・」
「起き上がらなくてもいいですよ。そのままで」
「・・・すまぬ」 めちゃ、嬉しそう。
「フォーマルハウトさん、もしかしてあなたアスカの運営ではないのですか?」ストレートに聞いてみた。
「・・・・ハウトでいい。」
ミレーニアに視線を送ってみる
「なんじゃ?主も膝枕してほしいのか?」
「違うよ。ミレーニア」
「おぉ、そうじゃった。・・・ねぇ、ハウト お・し・え・て」
やはり、ハウトさん は魅了に嵌まっていた。
もう、ベラベラとハウトさん は話し始めた。怖いなぁ 魅了耐性のイヤリング、強化しとこ
「そ、そうだ。私は元アスカ王国の騎士、そして」・・・