~マドンガセルの玉座~
【迷宮創造】登録者マドンガセルさんの玉座の間に転送された。
「す、すごい違和感」
僕はきょろきょろと見渡しながら魔法陣を出ようとしたが、靴を履いていることに気がつき慌てて脱いだ。
マドンガセルさんの部屋は、もともとは日本の古城風だったのだろう。
何百畳もある広い和室、襖に描かれた、松、桜 天井には竜 一段上がった場所の奥には虎が書かれていた。柱には見事な彫刻 まさに殿様の謁見の間だったが、クリスマスイルミネーションが至る所にちりばめられ、期間中に付けた感がハンパなかった。
「ようこそ、お越し頂きました。リン様 わたくしマドンガセル様の執事のバトラーでございます。主が長期不在しておりますので、わたくしが代わりに務めさせていただきます」
マドンガセルさんの執事も僕のヴァトーと一緒でリンクしている同一キャラクターだ。
格好は言わなくてもわかると思うが、あえて言っておこう。装備してるシングル・ベルを鳴らしながらw
「あははは、ヴァトー、トナカイの格好似合わねぇぇぇぇ!!!!鼻赤け~w」しかも、400年トナカイってw
「・・・・・」あ、眉間に皺が・・・こ、怖い。
「あ、ごめんなさい。」
「いえ、340年ぶりに笑って貰えました。ありがとうございます」
え?340前はどのように笑わせていたのかが気になる。
マドンガセルさんの執事からダンジョンクリアーの通常報酬とボーナスをもらい、ゲーム登録者の初攻略の報酬、低レベル攻略ボーナスを貰えることになった。
「リン様、こちらが初攻略のアイテム『スライム汁』になります」
ダイヤモンドでできた瓶に様々な色合いの液体を数種類3本づつもらった。
「このアイテムは、もう貰えないの?」
「はい、残念ながら。マドンガセル様とフレンド登録しておりますと稀に貰える場合がございますが・・・・」
悲しそうなトナカイ…ここでも友達か、この先もフレンド登録必要になるのだろうか?気にかけておこう…友達いないけど。
なんだか僕まで悲しくなってきた。
「なんとか、友…いや、アイテムを増やす方法はないかな」
「そうでございますね。それでしたら、異世界の住人達に調べさせるのがいいかもしれません。異世界の住人は、迷宮で持ち帰ったアイテムや魔石を加工して様々な物に作り変えているようでございますので」
「ありがとう。バトラー」
「う、う、う。お礼を言われるのも340年ぶりでございます」
「あははは、泣くなよバトラー。これから僕の従者達も来る。もしかしたら異世界の住人達も来るかもしれない。賑やかになるよ」
「そうですね。…ですが、異世界の住人達はこの玉座には来たことがございません。今まで どの主の玉座にも召喚された履歴がありません。攻略が終わると最初の迷宮の入口 秘書が居る場所に戻されそこで報酬をいただいております」
チート扱いだから? …いや、異世界住人がチート扱いされたのは100年前、この世界に迷宮が生まれてから600年はダンジョンに入っていた。迷宮の攻略もしてるのに玉座には入れない。何か異世界ならではの問題があるのか? んー、わからん。
「リン様、ジェムショップをご利用なさいますか?」
(ジェムショップ&ゴールドショップ ジェムショップ:迷宮を攻略したり時に利用したり、ホームにある店 ゴールドでは買えない特殊なアイテムがある。店に展示されるアイテムは13種類 (タブりあり)6時間に1回品物が変わる。ジェムを使い時間をリセットして品物を変更することも可能 ゴールドショップ:ダンジョンの階層の間にある自動販売機型無人店 ホームにもある 回復剤や解毒剤、麻痺治療薬などが売っている。レア度が低い武器、装備なども売っている。ジェムショップ同等のステータスを持ったアイテムが稀に販売されるが、装備すると残念な格好になったりするのがほとんど。アイテムの回収BOXもある。アイテムが回収されつとクーポン券や宝くじ券が発行される。)
「もちろん、やっと真ともなアイテムが装備できるよ」
今 売り出されてるアイテムを全て購入することにした。
・シンドバットの短剣(S)
・魔法使いのローブ(S)
・補強のバンテージ(強化アイテム)
・悪魔の翼(SS)
・炎の指輪(SS)
・凪の指輪(SSS)
・風の杖(S)
・土のイヤリング(SS)
・烈火のイヤリング(S)
・神速のアンクレット(スピード +1%)×2
・水陸両用帆船(中)
・義の戦士(従者)
(姿、装備、服装について
ゲーム登録者は拠点とダンジョン攻略で姿を変えられる。(リンの場合、拠点 ダークエルフに銀髪、紺のローブに紅い刺繍 迷宮 ノーマルエルフに金髪、白いローブに黒い刺繍が基本スタイル)装備を変えても基本見た目は変わらない。リンが異世界を行動すると、異世界住人からはローブに見えるが、実際はミスリルの鎧を着てるかもしれない。(ステータスを見れば装備が分かってしまう)任意で見せる、見せないの選択もできる。変更する場所は、拠点の自室のウォークインクローゼット。 従者は、装備を変えるとそのままの見た目になる。偽造は出来ない(擬態のアイテムを使えば変装可) 執事、秘書は、イベント期間中は強制的に変わる。マドンガセルの執事と秘書の場合は、登録者がクリスマス期間からログインしていないのでサンタとトナカイの格好から変わらない)ジェムのレアアイテムで服装だけは変えることができる。R18系の服装は無い)
今回攻略した『スライムの迷宮』で得たジェムで購入、あまりは貯めておかないとこれからジェムがもっと大量に必要になる。僕の分は節約しないと
「あれ?そう言えば、バトラー 異世界の住人達はジェムは貰えているの?」
「はい、攻略報酬で得ていますが、『玉座の間』には現れることがございませんので、ジェムを使う場所がないかもしれません」
お、いいぞ。もしかしたら、大量にジェムを確保できるかも
「さて、Ⅱの迷宮 攻略といきますか。バトラー、攻略してすぐに戻るから、その時は、お茶を用意してもらってもいいかな。…マドンガセルさんじゃないけど」
「かしこまりました。クリスマスケーキに合う、特別茶を用意しておきます」
「ありがとう」
僕は入って来た玉座の間中央、金色の魔法陣に再び立つと、7本のダンジョンがそびえ立つ最初の場所に戻った。
◆
「おかえりなさいませ。リン様」
出迎えてくれたのは、やはりエロサンタのアドミスだった。
「ただいま」そそくさと靴を履く
「いかがでしたか?初めてのダンジョン マドンガセル様の迷宮は?」
「楽しかったです。早く次の迷宮を攻略したいよ」
「ありがとうございます。きっとマドンガセル様も草場の影で喜んでいることでしょう」え!生きているよね?マドンガセルさん
第Ⅰの『スライムの迷宮』を見ると漆黒から金色にに変わっていた。
最下層の変異ダンジョンを攻略したからかもしれない。
「なんて、綺麗なんだ。これが元の状態なんだね」
「そうでございますね。忘れておりました。360年前、王国がレベルを引き上げた事で色が漆黒の塔に変わりました。変更・・・そうだと思っておりましたが、最下層変異モンスターのせいだったのですね。」
涙ぐんでるな。無理もないか
「よし、あと6本、頑張るぞ!」
再び装備を整えると第Ⅱの迷宮に向かった。