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~ダイヤモンドスライム~

長く暗い階段だった。どれくらい降りただろう。

やっと、Ⅹ階層の入口にたどり着いた。

他の階層入口とは比べものにならないぐらいに魔力が溢れていた。


入口は巨大な門になっていて開いてはいるが先は漆黒の闇で見えなかった。


「…リン様、このような不気味な入口、他の秘書に同調しても検索されません。」


「なんだろ、でも、入ってみないことには…」


「お気をつけください」


そして、漆黒の闇の中に触れると、黒地に黒字の魔法陣が現れ転送が始まった。










「リン様!異常すぎます!こんな、巨大化してるなんて!」


広すぎる場所に転送された。壁が見えない。天井も見えない。ただ方眼紙のような床が延々と続いている。まるで、ゲームのチュートリアルでみられる殺風景な戦闘場所だった。どこから光がくるのだろうか、周りは明るかった。


そして、転移された魔法陣の目の前に7メートル超の巨大スライムが攻撃体制で待ち構えていた。


先ほどまで倒していたスライムの10倍はある。


ダイヤモンドスライム 名前の通り体がダイヤモンドで出来ているようだが、通常のスライムのように平然とジャラジャラ、ガシャガシャとダイヤが擦れる音を出しながら動いていた。


シャ、シャシャシャ!!!!先手でダイヤモンドスライムがダイヤの刺を体から飛ばしてくる。


「おっと!」とっさにジャンプし回避したが空中にも棘が飛んできた。


「やべっ」如意棒を回しダイヤの刺を払い除けたが、如意棒に数本突き刺さった。


「スゲー!刺さったよ」


「リン様 憶測ですが、先ほど くぐった門 300年以上放置され魔力溜まりが発生し独自創造した変異迷宮のようです。モンスターも どのように変化しているのか解りません。」


「なるほど。アドミス、通常のダイヤモンド系モンスターの倒し方は? 」


「はい、通常のダイヤモンド系には、体中に覆われているダイヤモンドの1つに芯と呼ばれる場所があります。これを探して芯を外せばダイヤが剥がれます。核から芯に魔力が伝わりダイヤを纏い動いております。このダイヤモンドスライムは、核も大きく、ダイヤモンドがどんどん製造されているので、小さな芯を見つけるのは至難の業かと」



「なるほどね。まぁ、いろいろ試してみるよ」ダイヤモンドを製造って、さすがファンタジーだな。魔造ダイヤモンドか?


ダイヤモンドスライムの周りを走り刺を回避していた。


手始めに「火球!」を一発!


1mほどの火の球が唸りを上げながらダイヤモンドスライムに当る

さすがに巨体だから狙いやすい。


しかし、ダイヤモンドスライムは火球をジュワーっと吸収しブリリアントカットの内部で火球を魔力変換させ、核からレーザーのように細く放出し打ってきた。


「わぉ」避けるとレーザーは床を貫いた。


「水球!」巨大な水の球を作りダイヤモンドスライムを包んだが、それも吸収された。まぁ、溺れるとは思わないが。


先ほどの火球とは比べようもない魔力を水球に施したせいか、ダイヤモンドスライムが魔力変換させたレーザーの威力も大きさも半端なかった。


「結界球!」まさか、自分の魔力をこのような形で浴びようとは レーザーが途切れるまで結界球に魔力を注ぎ込んだ。


「おー、さすが僕の魔力 楽しいぞ」


「リン様 余裕ですか?」


「うん。わりと普通」


「リン様は、わりとノーマルと・・・」メモメモ


「セクハラ!」


さて、どうしたらもんかな?魔法は魔力変換されてレーザーになるし、如意棒もダイヤの刺が刺さるぐらいだから、ダメージもほぼ与えられるないだろう。


吸収した魔力レーザーが放出し終わった。


「リン様!危険です!」


結界球で守られた床以外、僕の周りの2mほどの穴が開いていた。底が見えない。

でも、面白いなぁ、斜めに撃たれたのに結界球で覆われた所だけは残ってる。その下は何もないのに浮かんでいるなんて、やっぱりゲームの影響強いな。つい、冷静に考えててしまうw


「堕ちれば強制的にリタイアになるかと思われます。気をつけてください。」


「うそっ!」残った足場から後方に飛び、ダイヤモンドスライムと距離を取った。すぐさまダイヤモンドスライムも穴を避けて追ってくる。


アイテムボックスから「コウモリの翼」を装備して空中を滑空した。

(コウモリの翼~仮装してスクショしよう~ハロウィン期間限定アイテム コウモリの翼で飛ぶことができる。滑空のみでホバリング出来ない。 所持数1 現実ゲーム内 ただキャラクターに翼を着けて見栄えを変えるだけのコスチュームアイテム)


ダイヤモンドスライムの上空から風属性の斬撃の初級魔法「風刃」を無数に放った。

しかし、これも弾かれることもなく吸収され変換し空中にいる僕にレーザーが照射された。


「結界球!」 キン!キン!と弾かれる音がする「おっ?」レーザーと一緒にダイヤの刺を飛ばしていたのだ。結界球で弾かれる刺「面白い」レーザーが無くなるとレーザーは遥か彼方に消えていったが、無数の刺が飛ばされてくる。結界の中に入るのでなんともないが、ダイヤモンドスライムは僕の魔力切れを狙っているようだ。確かに僕の魔力は有限 あっちは変異ダンジョンの広さからいって無限かもしれない。


「…よし」結界球を大きくして威力を弱めダイヤの刺が刺さるぐらいに魔力を調整した。


スドドドドドドドドド…と、どんどん、結界球に刺が集まる。

刺さった刺に結界球から僕の魔力を上乗せして操作しダイヤモンドスライムに飛ばした。

「自分のダイヤモンドならどう?」同じぐらいの量の棘を返したが、キン!コッキン!キン!キン!!!!と弾かれてしまった。



「あー、やっぱり弾かれるなぁ ダメか…でも、見つけたよ。弱点」


ダイヤモンドスライムは器用に当たった刺の魔力だけを吸収し刺を弾いた。


また、レーザーが照射される。


レーザーを避け、ダイヤモンドスライムの正面(正面はないがw)に如意棒を構え唱えた「伸びろ如意棒!」先ほど刺が弾かれた時の音が違う場所に如意棒の先端をコツっと当てた。


「振動マッサージャー!」アイテムボックスから取り出した。

(振動マッサージャー~疲れた自分に最高の気分を~ ゲームは1日1時間健康イベントアイテム 7つのバイブレーション機能付き、片手で使えるマッサージ機 振動で相手の動きをおかしくする。所持数1 現実ゲーム内 ホームでマッサージチェアを置くと一緒に付いてくるアイテム あくまでもマッサージ機です)


「リン様、欲しい!」


「マッサージ機としてだよね!」


「リン様、セクハラです。ウフフ」


振動マッサージャーを如意棒の後ろに当てるとスイッチを入れ如意棒を振動させた。


ブーン…如意棒の先端が小刻みに振動しダイヤモンドスライム全体が共振し始めた。


すると振動で魔力でくっつき合っているダイヤモンドにわずかながら隙間が生まれ、そのまま如意棒が芯となるダイヤモンドをはじき飛ばした。


芯がなくなったダイヤモンドスライムは、いとも簡単に砕け、核が露出したのだ。


「戻れ如意棒!そして再び伸びて貫け!」


勢いよく核の中心を貫いた如意棒 核は弾け、如意棒も砕けた。


「あんなに硬かったダイヤモンドスライムが」


「うん、変化して大きく成りすぎても芯の大きさは変わらなかったから気付く事ができて、よかったよ」


「おめでとうございます。リン様 これで、ここのダンジョンは解放され従者達が入れます」


ゴールド、魔石(特大)ドロップアイテムが落とされアイテムボックスに吸われていき、ダイヤモンドスライムがダンジョンに吸収されると、その場所に金色の魔方陣が現れた。


「リン様 その魔方陣にお乗りください。マドンガゼル様のホームへ転送され、報酬が受け取れます。」



「OK」


その時、遠くでドーン…ドーンと何かの破裂音が聞こえた。


え?まさか、どこかにレーザー当たったの? 今ごろw どんだけ広いんだよ。変異ダンジョン でも、有限だったかw


「リン様、きっとこれで、このⅩ階層は通常のマドンガセル様の迷宮に戻ることでしょう」


「マドンガセルさんが考えた実際のⅩ階層ってどんなのだったのかなぁ。また、来てみよう」


「ん~、また、リン様と離れてしまう~ もう、少しここに居ましょうよ~」


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