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~執事 ヴァトー登場~

「やっと仕事終わった~帰れる。疲れた…」 


    

明日は休日だし、昨夜 配信された【迷宮創造~ダンジョン作ってみよう~】を少しだけ開いてみよう。


僕は、どこにでもいるようなモブのサラリーマン。会社帰りに寝落ちダウンロードしたゲームが気になりスマホを開いた。


スマホにある【迷創】と書かれたアイコンを押し、ゲームが始まった。


イヤホンから流れるポップな音楽が面白い


この、『迷宮創造~作ってみよう~』は自分で好きにダンジョンを作り、NPCにオート探検させたり、オープンワールドで他のプレーヤーに冒険させたりすることができる【ツク~ル】系のゲーム もちろん自分のキャラクターで冒険させることもできる。


「なになに、まずは、迷宮を作る マスターを選べ?」


ゲームに登場するキャラクターは人型、エルフ、ドアーフ、、コリガンなど 課金すれば魔族類も使える。もともと用意されたキャラクターの色をなどを変えカスタムして使用することも可能だ。


僕は、どうせ家に帰れば、やり直すからと思い用意されたキャラクターをカスタムして始めることにした。

何種類もあるキャラクター…悪魔系、骸骨系、などは、モンスター設定すればいい。ましてや、魔王に見えるキャラクターなどは椅子に、ふんぞり返っていればいいのだ。魔王が自ら作るなど言語道断だ。…やはりエルフだな。よし、エルフにしてカスタマイズしよう。

ダークエルフに変えて紺に赤い刺繍のローブを着せて魔法使い系で登録と…   よし!次は名前…


その時だった。「え、地震?」 足元がグラついたのだ。地震と思った俺は次の瞬間、歩道が陥没し その穴深く落ちていったのだった。



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」




深く、深く落ちた俺は、気を失っていた。どれぐらい失っていたのかは分からないが、生きていた。気を取り戻したがガクガクと震えていた。


「ケ、ケガはないか?ここはどこだ?どれぐらい落ちた?」おかしかった…落ちたのに痛くなかったのだ。すぐ脇に落ちてるスマホを拾い確認した。ゲームが起動されたままだ。それよりも連絡をとらなければと思い、【迷創3av】を閉じようとしたがスマホはその画面のままで閉じれなくなっていた。「うわ、壊れた?マジか」ほんのりと周りは薄暗かったので僕は、ゲーム画面の明るさで辺りを照らした。


「え、え、え、ちょっと、まて!どういうこと?」僕はパニックに陥りそうになった。

上下左右、前も後ろも壁だったのだ。生き埋めとも思ったが、その綺麗な4メートル四方ほどの真四角な壁に囲まれた狭い空間、照明など無いのにうっすらと明るい。そして、ケガなどなかったせいか生き埋めではないことだけは感じられた。

「勘弁してくれ…」その狭い真四角な部屋を探索した。

一枚岩のような壁、窓も扉もキズすらない。天井を見上げても同じだった…


「誰かぁぁぁぁぁ!!!!」大声で叫んだが、自分の声に反響して うるさいだけだった。

泣いた。泣いてしまった。大人になって初めて泣いた。


どれくらい泣いてだろうか、あらかた泣いたせいか、冷静になっていたのに気がついた。そう、今、冷静になったのだ。やはり僕はパニック状態で冷静さを失っていたのだった。暗い空間だったのもあったかもしれないがスマホを持つオレの手が、僕の手じゃなかったのだ。よく見ると会社帰りでスーツを着てたはずなのに、見たことのない洋服を来て紺のローブに赤い刺繍…どこかで見た格好…ゲーム?  恐る恐る耳にふれた触れた。…な、なが、ななな長すぎる。え、えぇぇぇぇぇぇ!!! 



「ま、まさか!『迷宮創造』の世界に来ちゃった!?」


なんてことだ! ラノベやマンガなどでよくある異世界系に僕は来てしまったようだ。


死んで来たから異世界転生? それとも自分で自分のゲームに召喚したから転移系?

いやいや、死んだ記憶もないし、召喚された記憶もない。ただ現時点でわかるのが、ダークエルフの僕とゲーム画面のままのスマホ


それと この場所だ!


僕は祈るようにスマホの画面中央のキャラクターであるダークエルフをタップした。すると、画面上に『チュートリアルを始めますか? Y・*』頭の中にも『チュートリアルを始めますか? Yes or ピー 』の機械ボイスが入ってきた。


「や、やった!!!!ゲームを作ればここから出られるかも もちろん、Yesだ!」

僕は、Yをタップした。 たぶんピーは、Noなんだろうけ。強制でNは、選択できないようになっているのだろう。もし Nがあったとしても押す勇気はないが。


『どちらを選びますか?』


スマホの画面上に、ダンディな初老の美執事のキャラクター と ナイスバディな熟女の美魔女秘書のキャラクター が現れた。


そして、僕の前にも、グラフィックで二人が現れた。


「まてまてまて、さっきまで、どん底に落ち込んでいた僕だが、少し理解したぞ。ここで選んだ方が道さき案内人ナビゲーターになるんだな」


さて、あなたなら どちらを?


『イケメン初老執事 or 美魔熟女秘書』


悩んだ、悩みまくった。孤独で異世界こそ悩む究極の選択

この異世界にいる限り、絶対に付いて回るであろうキャラクター

捨てることのできない呪われたアイテムのようだ。








………………………き、決めた。








「ダンディ執事!」 ポチ!


長く旅をするなら…男の方が…友情大事だよね…


いや、正直に言おう、きっと、この後のに現れるであろう美少女たちが、この爆乳美魔女秘書にイジメられる設定が目に浮かぶのが耐えられないのだ!!!! もっと言うと、俺が美少女と遊ぶとネチネチ言われるのがイヤだ。偏見過ぎだがw



選択すると、効果音と光と共に、スマホ画面、目の前に、グレーな長髪にスレンダーな長身、長くて綺麗な指、キリッとした細い目、面長だが整った顔つき、まさにパーフェクトな執事だった。


キタァァァァァ!!!


「迷宮の主人(あるじ鬼麟燐凜鈴キリンリンリンリン様 私し、執事のButlerバトラーと申します。私しを選んでいただき誠にありがとうございました。これから、この身 果てても お傍で お使いいたします…」


おいおい、果ててからも居たら怖いって…それに、バトラーって、そのままじゃん


「あ、あの…」


「いかがなさいました? 鬼麟燐凜鈴キリンリンリンリン様?」


鬼麟燐凜鈴キリンリンリンリン様は止めてください」


「素晴らしい お名前かと思いますが…かしこまりました。では、どのように お呼びすればよろしいのでしょうか?新たなる お名前を お聞かせ願いたく…」


「えーっと、普通に、りんでいいですよ」僕は実名を教えた。

うわ~、直ぐに消そうと思っていた名前だから、他で使っていたアカウント名で登録してたのか…

実際に呼ばれると結構恥ずかしいもんだな。


「おぉぉぉ、良きお名前でございます。新たなる お名前かしこまりました。」


「あ、ありがとう。ヴァトー」


「ヴァトー?」


「ん、執事バトラーじゃ そのまんまだから、ヴァトーって呼ぼうかと…ダメだったか?」


「いえ、そのように読んでいただけるなど、至極の喜びで御座います」


「それにしても、何とかならないかな?この空間…男二人で、この狭さは…ちょっとw」


「かしこまりました。【迷宮創造】のご説明をさせて頂きます」

ヴァトーがそう言うと、目の前の壁が淡い光を出した。


「よ、よろしくお願いいたします。」僕は、先ほどまで、絶望を味わっていたのに、『泣いたカラスが、もう笑った』と言うのか、これから始まることにワクワクしていた。


僕は、目の前の光ってる壁に触れてみたが反応はない。


「ご主人様 まずは、スマホの明かりが付いている所をタップしてください」今度はスマホの方の指定された場所をタップしてみた。


ズ、ズズズゥゥゥゥゥ…


正面にあらたな4メートル四方の新たな空間ができた。


「やった!!!動けるぞ!」俺は両手を天に突き出し喜んだ。


「ご主人様、それでは、幸ある第一歩をお進み下さい」


「あ、ありがとう」4メートル四方の真四角の部屋が、もう1つ前にできただけなのに、まるで、大海原に出航するような気持ちになったのだ。


それから、僕はヴァトーに言われるがまま、【迷宮創造】のチュートリアルをこなしていった。空間を広げたり狭めたり。曲線の空間にしたり、空間の明るさの調整や、アイテムを置いてみたり、拾ったり、モンスターも作り、倒した。チュートリアルで嬉しかったのが、食料を作り、それを食べてみたことだった。だだのパンと水だったが、普通にうまかった。


「ご主人様、これにてチュートリアル基本編を終了いたします。分からないことは何なりとお申し付け下さいませ」


「ありがとう。ふう、やっと終わった。結構、長かったぞ。リアル視点は嬉しいけど、ゲームしながらじゃ大変な作業だぞ。ヴァトー何とかならない?」


「かしこまりました。それでは、ご主人様スマホをご確認いただき、【!】マークを押してくださいませ」


スマホを見てみた。画面に【!】マークが点滅してたのでタップしてみた、すると、効果音と共にいろんなメッセージが届いた。


鬼麟燐凜鈴キリンリンリンリンのレベルが上がりました』

『基本編終了したのでアイテムが届きました』

『ジェムが50届きました』

『オート迷宮①が使用できます』

『オート迷宮②が使用できます』

    ・

    ・

    ・

    ・

『従者の作成ができます』

『オート作成が使用できます』

『リンク設定ができます』



「ご主人様、リンク設定をタップして下さい」


「リンク?この異世界で何とリンクするんだい?」そう言いながら【リンク】をタップしてみた。


スマホの画面には、『鬼麟燐凜鈴キリンリンリンリンと迷宮創造の連動化しますか? Y・N』も文字が表示され、脳内にも機械ボイスが聞こえた。

うわぁ…また鬼麟燐凜鈴キリンリンリンリンだよ…


「ご主人様、Yesを選択して下さい」


「あ、は、はい…」Yesにタッチした。すると、「うわぁ!」視界が真っ暗になり徐々に元に戻っていった。「な、なんだ?」


「ご主人様、私しを意識して見ていただけますか?」


「あ、あぁ…」目を凝らして見てみると、ヴァトーにステータスが表示された。


名前  Butlerバトラー

LV、  不明

  ・

  ・

  ・

  ・


詳細:鬼麟燐凜鈴キリンリンリンリンの執事 ヴァトーと呼ばれている。 かなり気に入っている様子だ。





など、細かい事まで明記されている。


「ご主人様 次に壁や空間を意識してご覧ください」


視界の中の壁、床、空間、などに【創造 可】の文字が沢山現れた。


「ご主人様、まずは、この空間をどのような部屋にしたいか想像してください」


「は、はい」部屋と言われてもな…とりあえず、…でいいか。僕は目をつぶり想像してみた。


「ご主人様、見事な創造でございます」


「え?」目を開けると、若干の違いはあるが、そこは僕が住むアパートの部屋になっていた。


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」オタク丸出しの部屋、ボッチでモブの僕には呼ぶ友達も恋人も居ないから、好きなものだけ揃えた『ピー』な部屋なのだ。家族すら呼んだことがない。


「ヴァトー…こ、ここは?」恐る恐る聞いてみた。


「はい、ここは、ご主人様が創造いたしました。ホームで御座います。ここから、ワールドマップで各地のダンジョンを選択したり、ご主人様が創造したダンジョンに行く事ができます。ここは、ご主人様の拠点、いわゆる【迷宮王ダンジョンマスターの玉座】の間で御座います」



「はい、創造!作り直し!!!!」




「ふう、ビックリした。まさか、あそこまで創造で作れるなんて…」


「ご主人様、お見事なる玉座でございます。これで、謁見をされるであろう【フレンズ】達は、さぞ驚かれることでしょう」僕は想像できるだけの広さの中世ヨーロッパ風でなおかつダークファンタジー系を取り入れた玉座の間を創造したのだ。




「謁見?【フレンズ】とは、なんですか?」一瞬、あの部屋が謁見の間にならずに良かったと心をよぎった。


「はい、ゲーム内でご主人様に友達登録をかけ認証されたプレーヤーの事です」


「ちょ、ちょっと待って!ここは異世界じゃないの?現実世界なの?教えてくれないか」

広い、広い、玉座の間の中央で僕の声が響いた。


「…ご主人様、おいおい、ご説明しようと思っておりましたが、この世界のご説明をさせていただきます。少し複雑な状況で御座います。」



「そ、そうなんだ」


ヴァトーの話だと、やはり僕は陥没で出来た穴に落ち亡くなったそうだ。そして、ゲーム【迷宮創造】は配信から7年目との事だった。私が事故にあった時、このゲームと異世界がつながったのだという。異世界には人や亜人がいるが魔法はなかった。しかしゲームが異世界にダンジョンとして現れたからは、ダンジョンの中に限り魔法が使えた。そして、ダンジョンで集めたアイテムは持ち帰って使用することが出来たため、マジックアイテムを利用すれば異世界の現実世界でも魔法が可能となったのだ。異世界はダンジョンの登場のおかげで文明が飛躍的に向上した。

りんの世界から7年が経過しているが、異世界では700年のが経っており時間軸が違っていた。ダンジョンが登場して400年辺りになるとダンジョンに大きな変化が訪れた。 運営がゲームバランスをめちゃくちゃにしたのだ。【迷宮創造】が3年目に突入し今までレベル100が上限だったにもかかわらずに、課金するとダンジョマスターレベルが最大190まで上げられると言うのだ。無課金勢がMAX100で挑んでも、レベル190のダンジョンや高レベルモンスターに敵うわけないのだ。 


(自分が作ったダンジョンを他のプレイヤーが挑んで来たとしよう。仮にあるダンジョンが地下1階レベル15、地下2階レベル25・・・地下10階レベル130に設定してあるとしよう。相手プレイヤーはレベル100として、ダンジョン到達階を地下10階と選択したとする。すると、プレイヤーの冒険キャラクター達はオートでダンジョンを探索始める。レベルにもよる時間経過の違いはあるが、一定時間経つと冒険が終了してホームに戻ってくる。その時地下10階をクリアーできていれば、アイテムやゴールド、ジェムなどを持って帰れるが、失敗した場合は冒険キャラクター達に持たせたアイテム、ゴールド、ジェムは全てダンジョン制作者が貰うことになってる。ダンジョンを守った報酬も手に入る。マニュアルモードでダンジョンを探索しても途中で逃げた場合は、それまでに取ったアイテムや稼いだゴールドの半分はダンジョン制作者の元に送られる。ダンジョンが強ければ、冒険者が入って負けるかぎり報酬は入ってくる仕組みだ。1ユーザーに3個までダンジョン制作ができるが、課金すれば13個まで増やせる。 しかし、レベルが低いプレイヤーが高いダンジョンに挑んで成功した場合、かなりな確率でレアなアイテムとジェムが必ず貰えるのだ。レアなアイテムを装備して高レベルなダンジョンに挑戦する。いたちごっこのゲームとなっている。課金によるダンジョンマスターレベルMAX190 冒険キャラクターMAX180 が最高値であるがアイテムを使えばステータス数値の変動は可能 レベルアップアイテムやステータス変動アイテムはダンジョン内のショップからジェムで購入しないとならない。かなり大量のジェムが必要)


このため、無課金プレイヤーは、次々と離れていき、課金勢によるアイテム争奪戦が繰り広げられていたのだが、課金集中型ゲームになり、そのためか運営は課金イベントばかりを行うようになった為、どんどんプレイヤー離れが進んだ。そして、運営は3th anniversary

から動かなくなっていた。


異世界現実もゲームの大幅なアップデートにより、高いレベルのダンジョンの攻略が出来なくなっていた。異世界の達人達もレベル100程度ぐらいの能力が最高値なのだろう。時折いる天才と呼ばれる住人も130ぐらいだった。異世界の文明はダンジョンが現れて400年からは、ほぼ進化がなかった。






「ご主人様…りん様 どうか、どうか私しどもをお助け下さい。700年、動かぬ貴方様を ただただ見守り続けていました。お願いいたします。」ヴァトーは僕の手を取り涙を流し膝をつき悲願したのだ。


「ヴァトー…700年待っていてくれたんだね。できるかどうか分からないけど、消滅しないように頑張るよ。僕だって消えたくないからね」


りん様」



そして、複雑な状況とは……


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