三年が経ったある日
さて。
前述の繰り返しになってしまうが、
とにかく、ナナミと出会ってから変わった事が2点ある。
一つは、山の幸の収穫量で
もう一つは僕の体力、武力、だった、、、。
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不思議な事に、ナナミは武術の心得があるようだった。
僕はナナミの事をずっと「卓越した運動神経の持ち主」くらいに思っていたんだけど。
そのレッスンは厳しく、そして的確だった。
(これは、本当にナナミは忍者なのかもしれないな)
僕はそう思っていた。
それは自分の故郷の事を語りたがらない所からもその信憑性が増していた。
それは
ナナミとお喋りしているとき、僕はいつも自分の村の話ばかりをしていたから
ナナミの故郷はどんな感じなのかな?と何度か聞いた事があった。
そのたびに、
ナナミ「ふふ、内緒」
と、言って、笑って誤魔化すのだった。
(、、、忍者だったのなら、自分の里の事を口外しないのは当然、、、、)
何となく、僕の中で合点がいき、それ以来ナナミの故郷の話を聞き出すのをやめていた、という経緯があった。
、、、でも。
今にして思えば
何故そこまで自分の故郷を話さなかったのか、疑問に思うべきだったかもしれない。
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そして、その楽しい毎日が続いて3年ほど経とうとしていた。
僕はナナミの教えと、山の幸の収穫のお陰で、食べる物も良くなり、体が大きくなっていて、村の人からもいじめられなくなっていた。
いじめっ子の、ジョウイにもいつしか苦手意識が無くなっていた。
だって、いつの間にか、僕の方が強くなっていたのだから、、、、
(それは、僕の元に士官の誘いが来る程に。)
それはさておき。
最近、僕は良く、ジョウイにこうやって声をかけられる。
ジョウイ「おい、リオウ、今日こそ秘密を聞かせろよ」
と。
それは、「どうして僕がこんなに変わったのか」「その武術はどこで習ったのか」という事だった。
僕はそのたびは
僕「言えないんだ、ごめん」
と頑なに答えなかった。
それは
それはナナミが
絶対の絶対に、村の人に私の事を絶対絶対絶対言わないで、と
強く強く強く僕に求めていたからだった。
(、、、、、、、)
僕はいつも不思議だった。
そうやってきつく言われるたびに、「分かった」とは答えるけど。
不思議だった。
だってこんなに素晴らしい人なのに。
僕は本当はナナミの素晴らしさを皆んなに知らせたかったのに。
こんなに素敵な人がいるんだよ、って。
でも、ナナミのその「私の事は村の人に、絶対の絶対の絶対に教えるな」という言葉は何やら真に迫っていて
そして僕はナナミと約束した事は破りたく無かったし
僕はナナミの事は誰にも言わなかった。
そうやって、ナナミとの楽しい3年を過ごしていたんだ。
でも、、、
そんな、ある日。
僕が山に行く事が秘密に繋がっていると察したジョウイが
僕が山に行ってナナミに逢いに行ったときに
後ろから、こっそりと
その跡を付けていたんだ、、、、。