ナナミ2
ナナミと再び出会ってから、
僕たちは毎日のように2人で過ごした。
それはとても楽しくて、
幸せの時間だった。
でも僕は心の中で常々思っていた事がある。
それは
ナナミの話は面白くて僕はそれを楽しんでいたのだけれど
(なんでナナミは僕と遊んでくれるのかな?)
といつも疑問で、そしてそれが心配の種だった。
いつナナミが他に楽しみを見つけて、僕の事を捨てて、そっちに行ってしまうのではないか、と
内心ドキドキしていた。
だから、何とかナナミが楽しい思いをしてほしいと願っていた。
そうすれば、ずっとこうして2人で遊んでいられる、、、
僕はそう思っていたんだ。
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さて、ナナミと遊んで少し変わった事がある。
一つは、山で採る山菜や木の実の量だった。
僕は本来、山に来ているのは日銭稼ぎであるから、ナナミと遊ぶ時間というものは有りはしないはずだった。
でも、それを知ったナナミが、
「じゃあ私が手伝えば、その分早く仕事終わって、そしたらその後ずっも遊べるね!」
なんて言って、僕の手伝いをしてくれた。
そして、驚いた事に。
ナナミのその山菜、木の実の探索能力、そして、それを収穫する運動能力、体力。
それらが全て並外れていて、
小一時間すれば、僕が普段一日かけて採っている収穫量を悠々と越えていた。
だから、殆どの時間を、遊ぶ時間に割くことが出来た。
(そして、その毎日の収穫量で母は喜び、僕に対して柔らかい態度を取るようになったんだ)
それが一つ目。
そして、もう一つ目は、、、
それはぼくが「村でいじめられている」と、ナナミに弱音を吐いた時だった。
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ナナミ「えーーー、そうなの??酷い」
僕が村でいじめられていると聞いたナナミは自分の事のように怒ってくれた。
そして、僕の格好悪い所を、伝えても僕に幻滅しないでくれた。
僕はそれが嬉しかった。
、、、でも。
僕は村の人達だけが原因じゃないと分かっていた。
だから、それも一緒に伝える。
それは、、格好悪くて恥ずかしくて、本当は隠していたい事だったんだけど
そうじゃないと、それも一緒に伝えないと、フェアじゃないと思ったんだ。
だから
僕「でも、それは僕が弱いから、、、」
僕「僕が弱いから、そうなっちゃってるんだと思うんだ。」
僕「それも、、少し、あると思う、、、」
と、ナナミに伝えた。
、、本来「弱いからいじめて良い」にはならない。
しかしながら何か逆境があったのなら、僕が、自分が、"変わらなくてはいけない"という姿勢
それが必要だと暗にナナミに伝えた、、、事で
ナナミは感心してくれたようだった。
だから、だろうか。
ナナミ「そっか、君は強い子だね」
なんて、ナナミはニコニコして、僕の頭をぐしゃぐしゃーーと、撫でてくれた。
頭を撫でられるなんてそんな体験殆ど無く、僕は凄く嬉しかったんだけど
でも、僕は
僕はそれを慌てて振り払う。
僕「つ、強くなんかないよ、弱いからいじめられてるんじゃないか」
と言って。
(だ、だってナナミと僕は同い年なのに、これじゃナナミが僕のお姉さんみたいじゃないか)
僕は恥ずかしかったんだ。
そして、僕は、、ナナミに幻滅されたくなかった。
もっと、良く見られたかった。
もっと格好良く見られたかった。
、、、
、、、
ふと
ナナミは
その自分の手が振り払われた事に
少し何かを考えてから
ナナミ「ふふ、、、そーだよね」
ナナミ「もう少し強くなった方が良いよねー」
と、ニコニコっとして
そして
僕にこう告げたんだ。
ナナミ「じゃあ、私が鍛えてあげるよ」
って。
僕「え?」
僕はその言葉に、キョトン、とした。
だってその言葉の意味が分かっていなかったから。
見ると、ナナミは今もなお満面の笑みをしている。
ニコニコニコニコって。
僕「?????」
一体何を笑っているんだろう???
僕「??????」
僕の頭の中は「?」で埋めつくされていた。
でも。
、、、でも、僕はそれの意味を直ぐに理解する事になる。
それが、
鬼教官の誕生した瞬間だった、という事を、、、、、、
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