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ナナミは鬼の子  作者: ふるたく
ナナミ
4/11

僕の日常


あの不思議な女の子、ナナミと出会ってからもう3ヶ月が経つ。


その間、僕は一度も彼女の姿を見ていない。


あの日、ナナミと出会ったがそもそも奇跡だったのか、それともナナミが僕と会えない事情があるのか、何処か遠くへ引っ越したのか、それは分からない。


けれど僕は何となく、またナナミに会えると思って、いつも、この場所、


ナナミと出会ったこの場所で僕は毎日の様に山菜取りをしている。


--------------------------------------------------------


繰り返しの説明になるけれど


僕の家は貧乏な農家で、畑仕事が終わったら母も父も僕もそれぞれ日銭稼ぎをしている。


その中で、僕は日銭稼ぎで、山に山菜取りをしに行く、という作業を選んでいた。


それは、村にいると村のみんなが僕をいじめるから。


母と父にそれを言っても何もしてくれないから。


だから、僕は一人になれるこの山菜取りを選んでいたんだ。



--------------------------------------------------------


村には僕より二つ年上のガキ大将みたいな奴がいた。


名前はジョウイという。


僕は何かにつけてそいつにいじめられていた。


ぶったり、蹴ったり、採ってきた山菜を地面に捨てられたり、悪口を言われたり



そいつと会えば何かしら僕に絡んでくるんだ。



例えば、それは今日も、、、、、



僕が畑仕事を終えて家に帰ろうとして


田んぼの脇を歩いている時だった


ジョウイ「おら!!!」


と、ジョウイがいきなり僕の背後に現れて


ドカ!!!!


と、


僕を蹴り飛ばしたんだ。


僕は、、


僕「うわああああ」


と、情けない声を出し


ボッチャーーーン


と、


そのまま田んぼに四つん這いで落ちてしまった


田んぼの泥水が水飛沫となり僕の体に降りかかる。


そして


僕「うぁ、、ぺっぺっぺっ」


僕はつい泥水を口に入れてしまい、口の中から泥を吐き出す


(うわあ、、、、)


(最悪だ、、、、)


僕の体を見れば泥だらけ。


(洗ったばっかりなのに、、、)


(母さんに怒られる、、、)


僕は自分の状態を見て泣きそうなほどにうなだれる。


と、僕の落ち込んだ悲しそうな顔が余程面白かったのか


ジョウイ「わははははははははははは」


と、ジョウイが大笑いをした。


ジョウイの背後にいた取り巻き二人も同様に大笑いをする。


(ひ、、、ひどい、、、)


そして


笑い転げていたジョウイが持っていた鞄の中から何かを出し


笑いながら


ジョウイ「おっと、忘れていた。ほら、プレゼント」


と、言って僕の頭に何かをのせる。


僕「えっ」


それは、ヌメッとしていて


細長くて


僕の頭の上をヌルヌルッと、動いていて、、、


僕「う、、」


僕「うわあああああああああああ」


僕はびっくりしてその場でそれを頭から振り払う


ぶんっ、ぶんっ、ぶん!!と


手を大きく左右させる


僕「うわあああああああああ」


だって


ジョウイが僕の頭の上に置いたモノ、、、


それは、全長30センチほどの小型の蛇だったから。


ジョウイたち「はははははははははははははははははは」



僕の本当に慌てた様子が面白かったのか、ジョウイたちはその場で笑い転げている。


(ひ、、、酷い、、、、)



僕は悔しくて、悲しくて、凄い嫌な気分だったけど


ジョウイは、、、ジョウイ達は、僕より随分体が大きくて、強くて


そして、、僕は、、弱くて、、、


体が小さくて、、、、


だから、、


だから、、僕は


僕は、、、、


僕は、、、、


やり返す事も無く




その場から立ち去る事を選んだ。


僕「ぅうぅ、、、、、」


悔しさから僕は唇を噛む


そして、田んぼから上がり、


、、、、、、、、僕は駆け出した。


逃げるように。


ジョウイたち「はははははははははははははははははは」


僕の背後で笑い声がする。



僕は走る。


僕は走って家に帰る。


僕「ぅ、、、、くぅ、、、、ぅう、、、」


僕は悔しくて、悔しくて、涙が目から溢れてきた。



(なんで、、、なんでこんな酷い事、、するんだ、、、)


僕は泣きながら家に帰り、服を着替えて、



そして、いつもの山に向かったんだ。



その場所だけが、僕に優しかったから、、、、



--------------------------------------------------------



、、、それが、今日の出来事。


それが僕がいつも山に篭る理由。


誰にも会いたく無い理由。



そして



僕「あ、、。もう日が暮れる、、、」


泣いていたら、いつの間にか日が暮れて夕方になってしまった。


僕は今日は1日泣いていて、仕事に全然手がつかなかった。


(また怒られちゃう、、、)


僕は不穏な未来を予測する。


でも、、


僕「帰らなくちゃ、、、、」


家に帰るのは億劫だった。


収穫も無い、、、という事だけじゃなく


あの、泥だらけの服、、、、




あの、泥だらけの服をを母さんに見られたら絶対に怒られる。


めちゃくちゃ怒られる、、、





(帰りたくない、、、)


(僕だって、、、汚したくて泥だらけになった訳じゃないのに、、、)


でもそんな理由なんて聞いて貰える訳が無い。


聞いて貰った試しが無い。


でも、僕は帰らなくてはいけない。


どんなに怒られても、蹴られても


帰らなくちゃいけない。


家に。


そうしなければ生きられないんだから。



僕は、、、弱い、、、から。



僕がとぼとぼと帰路につこうとした、、、その時



後ろから声がした



「やっほーーーー」



と、その少し高い、柔らかい声は、、、



(、、、えっ?)




僕は振り返る。





と、そこには、、、





あの、いつか、僕を助けてくれた女の子






ナナミが、そこに立っていた、、、















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