初めての学食
昼休みになり、明子を昼ご飯に、学食へ誘った。通っている学校には学食があるが、今まで目が見えなかった俺は、お母さんが作ってくれる弁当を教室で食べていた。
その分、学食というものに興味があった。噂では、うちの学校は学食がうまいで有名らしい。早く食べたい。
「焼肉定食ください」
これが学食の中で一番おいしいと評判の焼肉定食か。なるほど。焼肉というものも初めて目にするが、めちゃくちゃうまそうだ!
そっと定食の乗ったトレーを持ちあげ、先に席についていた明子の方へ向かうと、明子が女子と楽しそうに会話をしているようだ。
「その子は誰?」
明子に聞いてみると
「今日ね、友達になったの! 北上亜里沙ちゃん!」
へぇ。明子に友達か。今までいじめられていて友達がいないと思ってたんだけどな。
すると、その北上さんという人が口を開いた。
「北上亜里沙って言います! 今まで何度か話したことはあるけど、顔を見るのは初めてだよね。 よろしく!」
すごく元気な子だな。確かに明子と相性よさそうだ。というかよく見たらめちゃくちゃ可愛いくね?!
「なんだよあいつ。 一生目が見えなきゃよかったのに。」
なんか陰口が聞こえるな。確かにイケメンで性格のいい俺が、目も見えるようになって女子に囲まれているとなると、俺の事をよく思わない奴も出て来るだろう。
明子にも陰口が聞こえていたのか、不機嫌な顔をしている。相手にする必要ないよ、どうせモてない奴の僻みさ。
ほっときゃいい。
次話は明子視点です。