瀬川明子
私は雄太が好き。小さな頃からの幼馴染で、隣の家に住んでいる。友達のいない私と仲良くしてくれるのは雄太しかいない。
そりゃあ誰も私と仲良くなりたいなんて思わないよね。自他ともに認める世紀の大ブスなのだから。高校生になった今、だいぶ収まった方だと思うけど、小学校や中学校の時なんて酷いイジメにあったもんよ。私物を隠されるのは日常茶飯事で、体育でペアを組むときはいつも外れ枠扱いだし、極めつけはトイレ中に上から水をかけられるっていうね。
まぁどれもこれも女子の仕業なんだけどね。気持ちはわかるよ?。ブスな私が学校の王子様的な存在の雄太と仲良くしてんのが気に食わないんでしょ?。イケメンだもんね。
でもね、雄太が私と仲良くしてくれるのは、雄太の目が見えないからなんだよ。もしも目が見えて、私の姿を見ていたとしたら絶対に仲良くしてくれないもの。ただ家が隣で、小さなころから雄太の身の回りの手伝いとかしていたからいつも一緒にいるだけ。
「じゃあ、帰ろっか」
優しい声で雄太はわたしに言った。やめてくれ、そんな優しい声で話しかけないでくれよ。ますます好きになっちまうでしょうが!。
「うわっ、またいっしょに帰ってるよ。」 「あんな子と一緒に帰るなんて中村君可愛そう。」
出たよ出た。全部聞こえてるからね? そんなことは言われなくともわかってるって。
「やめろよ。全部聞こえてるぞ。」
雄太は落ち着いた声でみんなにそう言ってくれる。雄太の事はとても信用してるけど、もし雄太の目が見えていたとしても同じことを言ってくれるのだろうか。
すごい性格の悪いことを言うと、雄太の目が見えないことに安心しているところはあると思う。雄太が優しくしてくれるたびに、ますますそう思えてしまう自分がいることが否定できない。
「俺、やっと目が見えるようになるらしいんだよ。目の手術を受けるんだ。」
雄太は帰り道、嬉しそうに私に言った。
「良かったね!」
それだけしか言えなかった。本当にうれしいことだよ。でもね、今の私はどんな顔をしているかわかんない。雄太に今の顔見られなくって良かったなぁ。もう一緒にいられなくなるのかなぁ。