幼なじみと言えば元気っ子
「おっはよー!!」
早朝からノックもなしに少女が部屋に飛び込んできた。
ショートカットに人懐っこい笑顔、身長は低め、胸は…発展途上とでも言っておこうか。
「凛、何度も言っているが幼なじみとはいえノックも無しに部屋に入るのはどうかと思うぞ。というかなぜ家にいる」
彼女は『優木 凛』隣の家に住む幼なじみで生まれた時からの知り合いだ。最も乳幼児の頃の記憶なんてこいつにはないだろうが。
「えへへー、ごめんごめん!おばさんに言ったら入れてくれたの!それよりほら!制服どう?似合ってる?1番に正樹に見せたくって!」
「あぁ、似合ってるぞ」
そう言うと凛は嬉しそうに笑いながら抱きついてきた。
凛は俺に対してあからさまな好意を見せてくるが恋愛対象として見ることが難しい。さすがに俺の精神年齢もそろそろ40歳になるところだし娘もしくは妹としてしか見れない。
まあそんなことは置いといて今日は私立桜稜学院の入学式である。俺と凛は魔法科に入学する。
「というより凛、着替えたいから出てってくれないか。」
「着替えさせてあげようか?」
この娘はなにを言ってるのだろうか。こんな馬鹿なことをしてる場合ではない入学早々遅刻なんて洒落にならないので凛を部屋から追い出し着替えを済ませる。
リビングに降りると両親と凛が朝食を食べていた。なぜ当然のように凛も食卓にいるのか。
「父さん母さんおはよう。なんで凛が家で朝食食べてるんだ。」
「おはよう正樹。いやね凛ちゃんのご両親昨日の晩から出張に言っちゃったのよ。1人でご飯用意するの大変だろうから食べてきなさいって昨日電話したの」
そんなこと初めて聞いたぞ。いや生まれた時からの幼なじみだし今更気を遣うことなんてないんだが今日みたいに朝から飛び込んでくると心臓に悪い。
心の中で悪態をつきながらも朝食を済ませた。