模擬戦 黒色聖母 対 淡い水色の魔法少女
淡い水色の魔法少女と赤色の魔法少女の模擬戦は、淡い水色の魔法少女の勝利となって終わった。
淡い水色の魔法少女は、自分に出来ることを理解して、作戦を考えて実行に移した。
赤色の魔法少女は、自分の力に自信を持ちすぎて、ただ攻撃魔法を放てば勝てると勘違いして負けた。
ただ火力で押せばいいときもあるが、今回はそうではなかった。
水が熱などにより消滅すると、蒸発して周囲の湿度が上がる。
少しだけなら対した影響は出ないが、湿度が上がりすぎると普通の火の魔法が発動し辛く、威力が弱くなりやすい。
逆にそれを利用する事もできるが、それにはそれ相応の努力がいる。
今の赤色の魔法少女では出来るはずもない。
さらに、赤色の魔法少女は『ウォーター・スプラッシュ』を受けて服が濡れてしまった。
赤色の魔法服が濡れると、周囲にある火属性の魔力を操り難くなって、結果的に威力が弱くなる。
隙をついて『ウォーター・ウォール』がない所から『ファイアー・ボール』を当てればまだ勝てたかもしれない。
だがそれも、淡い水色の魔法少女が壁際に行ったことによって難しくなった。
この訓練場の壁は魔力を通さない性質のため、魔法で壁を壊す事も出来ない。
だから今の赤色の魔法少女が勝つ方法が無くなってしまったのだ。
そして、そんな状況を生み出したのが、淡い水色の魔法少女の作戦だ。
あくまでも守りに徹するその作戦で、自分が絶対に負けない状況を作り出した。
どうやら淡い水色の魔法少女は、回復魔法がメインの魔法使いらしく、攻撃魔法をあまり覚えていないらしい。
回復と防御のに専念するのが、この魔法使いのスタイルなのだろう。
対して赤色の魔法少女は、どうやらアタッカーのようだが、『ファイアー・ボール』しか使ってなかったのはどうしてだろうか。
アタッカーなら攻撃魔法の2つや3つを覚えていてもおかしくない。
とはいえ、あったとしてもこの湿度が高い部屋では対した効果になりそうもないが。
まあでも、1つしか使わないだけあって、初級の『ファイアー・ボール』にしては、威力は高めだったか。
最大級の『ファイアー・ボール』に至っては、中級魔法といっても過言ではないくらいだった。
自分の力を理解して、それ相応の作戦を練れる回復メインの魔法使いと、ただの火力バカの魔法使いか。
面白い!
どちらも、中途半端な所がない。
そっちの方が教える側としては方向性に悩まず楽だ。
1人を教えるという規則も無いし、2人教えてもいいだろう。
「おい!・・・、ねえ、そこの赤色の魔法使いさん。貴女を強くしてあげましょうか?」
おっと、考え事をした次の時はどうしても男口調になってしまうな。
俺としてはそれでもいいのだが、いつ、この
淡い水色の魔法少女が魔法ババアに告げ口するかわからない。
告げ口して、大会に出場できなかったらたまったものじゃ無い。
だから気づいた所から女の口調にするのだ。
「え!本当ですの!」
赤色の魔法少女は嬉しそうな反応をしてくれた。
初歩の魔法を中級並みの威力にする。
そのことにこの赤色の魔法少女は何度も何度も同じ魔法を繰り返していたのだろう。
それに、飽きて違う魔法を覚えるのが普通の人だ。
でも、こいつはひたすらに繰り返して中級並みの威力にしたのだと思う。
ということは、それなりに努力できるやつで、強くなりたいという意思があるやつだ。
強くなれると分かれば喜ぶのも当然か。
となれば、この状況、湿度が高いときの火の魔法使いがどのようにして、水の魔法使いに勝つかを教えてあげないとな。
あくまでも、こいつでもできそうな範囲で、こいつの戦い方に近い形で勝つことにしよう。
「はい、だから、始めとして私が真白さんに勝つ方法を見ていて学んでください」
「え?」
「分かりましたわ!」
俺の言葉に淡い水色のの魔法少女は驚いて、赤の魔法少女は大きく返事してくれた。
「ああ、もちろん力量は貴女達に合わせてやる。あと火の魔法と初期魔法しか使わないから安心しろ・・、して下さい」
っと、また女口調というのもまた面倒で男口調とチグハグになっているが、まあ仕方ないか。
「え、この状況で、火の魔法ですか?」
またも俺の言葉に淡い水色の魔法少女は驚いた。
驚くのは当然だろう。この状況とは、まだ湿度が高いということ。つまりは火の魔法が発動し辛いということだ。
「ああ、そうだ」
「・・・、分かりました」
そうして、赤色の魔法少女は遠くに行き、淡い水色の魔法少女は俺と向かい合うように配置に着く。
「変身しないんですかー?」
淡い水色の魔法少女は俺の事を心配してか、大きな声でそんな事を聞いてくる。
「ああ、問題ない」
「・・・、分かりました」
俺の服装は学生服のままで、戦闘用の服になっていない。
でも、それでも構わない。
そうしてハンデ付きの俺と、淡い水色の魔法少女の戦いは始まった。
----------
私は、淡い水色の魔法少女に負けてしまった。
唯一自信のある攻撃魔法が通じず、封印されたも同然の事をされて攻撃手段を無くされてしまって負けた。
ああ、もう、黒色聖母様に魔法を教えてもらう事はかなわないなと思った。
けど、黒色聖母様は、私を強くしてくれるといった。
まずは、手始めとして、この火魔法が発動し難いこの状況で、黒色聖母様にとって魔力を加減した火魔法で、私の負けた淡い水色の魔法少女に勝つという。
それも、私ができそうな事でだそうだ。
私のできる事は『ファイアー・ボール』と、その他の初期魔法くらいだ。
後々から考えてみると、火魔法が使い難くなった原因は、私が水を蒸発させ過ぎたからだと思う。
湿度が高くなって、さらに水の浴びてしまった私は、火魔法が発動しなくなってしまったのだ。
そんな事を考えていると、黒色聖母様と淡い水色の魔法少女の戦闘が始まった。
【リぺル】
始めに黒色聖母様が、自身についている水を弾くという初期魔法を何故か発動した。
確かにそれなら私も使える。
そうですわね。服に水を浴びた時に『リぺル』を発動していればまだ変わっていたかもしれないですわね。
でも、黒色聖母様はまだ水を浴びていないのに『リぺル』を発動した。
何ででしょう?
黒色聖母様はそのまま歩いて淡い水色の魔法少女にに近づいていく。
「っ【『ウォーター・スプラッシュ】」
淡い水色の魔法少女は近づかせまいと、『ウォーター・スプラッシュ』を黒色聖母様に向かって放った。
しかし黒色聖母様は、気にせずに淡い水色の魔法少女に向かって歩いていく。
そのまま|ウォーター・スプラッシュ《水玉》が黒色聖母様に当たった。
しかし当たったと思ったその時に『ウォーター・スプラッシュ』は弾かれた。
え?もしかして先ほど黒色聖母様が発動した『リぺル』が発動したままなのですか?
【ウォーター・ウォール!】
それを見た淡い水色の魔法少女は慌てて『ウォーター・ウォール』が発動した。
それでも黒色聖母様は淡い水色の魔法少女に近づいて行き、その『ウォーター・ウォール』に右手だけを突っ込んだ。
【ファイアー・ボール】
そして何故か右手を突っ込んだ所だけ『ウォーター・ウォール』が避けた。
そして淡い水色の魔法少女を守るものが無くなった所に『ファイアー・ボール』が発動された。
私が最大限できるくらいの火力ほどの『ファイアー・ボール』だ。
超至近距離だったため、火力があまり衰えずに淡い水色の魔法少女に当たって、淡い水色の魔法少女はそのまま後ろに吹き飛んだ。
そして、そのまま淡い水色の魔法少女には気絶してしまった。
「まあ、こんなものだ」
終わったとばかりに私の方を向いてそんな事を言ってくる。
「私、そんな事出来ませんわ!」
私にできる事をしてくれると言った。
けど私には、リペルを常時発動する魔力も、『ウォーター・ウォール』を弾くほどの魔力なんて持ち合わせていない。
「ん?、『リぺル』は誰もが覚える初歩的な魔法だと思ったんだが・・・」
「『リぺル』は使えますわ!ただそこまで使う魔力が無いのですわ!」
「ん?今使った魔力の合計の量は、先ほど見せてもらった時の戦闘の魔力の量よりも低いぞ?」
「え?」
そんな事があるはずありませんわ。『ウォーター・ウォール』を弾くほどの力を、少量の魔力でできるとは考えられません。
「まあ、そこらへんも教えていってやるよ。だが、まずはこいつが起きてからだな」
そういって黒色聖母様は、淡い水色の魔法少女を見る。
そういえばこの娘の名前って何なのでしょう?
「待ってるだけも何だし、お前とも戦って見るか?」
そんな事を思っていると黒色聖母様がそんな事を言ってきて、私は慌てて拒否した。
そんなこんなで黒色聖母様と淡い水色の魔法少女の戦いは終わったのであった。