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性転魔法使いのオブリージュ  作者: Kiruna
魔法高校編 おまけ
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男達の熱い思い

まだ魔法大会が開かれる前の男達の物語。


ここは魔法学園。


魔力を少しだけだが持つ俺達は、ここは天国であると思い必死に勉強などをして入学した。


そこまでの努力をしてまで入った理由は、この魔法学園は女子校に近いからだ。


何故ならば、魔法をうまく扱えるのは何故か若い女性が多い。


そして、魔法を扱えずに魔法学園に入ろうとする者は少ないからだ。


つまり、男は一部を除いてほぼ入学しない。


その一部に俺達がいるのだが・・


さて、そんな夢にまで見て入学した魔法学園だが・・・


それは、地獄だった・・


何故かって?


周りは確かに女子だらけ。


しかし、俺達の事をゴミを見る様に扱ってくるのだ。


やはり俺達は只の男で、魔力は少しだけあるものの、魔法をうまく扱う事は出来なかった。


この魔法学園では、何よりも力が優先される。


だからこそ力の無い俺達は、いつでも最底辺だった。


ラッキーハプニングがあるからいいだろうって?


ほとんど無いんだよ!


殆どが魔法で管理されているこの学園では、着替えの時も魔法を使い、熱い時も魔法により涼しくなる。


学生服だって魔力によって出来てるから、薄着にする必要もないし、着崩れる事もない。


少しだけある魔力のお陰で、この学園に入れた訳だが、そこは魔法を恨んだ。


誰もが俺達を雑に扱う中、そんな俺達に天使様が現れた。


元々が男であるのに上手く魔法を扱える人物。


魔力を扱いすぎると女に性転換するみたいだが、むしろ、それがいい。


一応、天使様は元々は男である為、仲間だと思い、俺達は寮にある天使様の部屋に赴いた。


そして中には、一糸纏わぬ姿で堂々と俺達の事を見ている女性に性転換(・・・・・・・・)している天使様がいた。


その姿は綺麗であり、カッコ良くあり、そして、何よりも魅力的だった。


その時点で、同志の何人かは鼻血を出して倒れ気絶(リタイア)した。


俺はリーダーとして鼻血は出したが、何とか気絶(リタイア)せずに、むしろまえに歩き近寄った。


「何の用だ?」


天使様の一言目の発言はそれだった。


その声は、女性にしては低めで、何故か惹きつけられる音色だった。


その声に、また何人かの同志は気絶(リタイア)した。


俺は何とか耐え、言葉を発する。


「俺達は魔法がもっと扱える様になりたい!」


同じ男として魔法をうまく扱ってる天使様に、俺達は縋った。


少しでも同じ男として同情してくれるのなら、魔法を教えてくれと。


「お前らは何の為に魔法を扱える様になりたいんだ」


天使様はそう聞いてきた。


やはり、それを聞いてくるか。


魔法少女になる人は、いろいろな過去があって魔法が使えるようになる人が多い。


しかし、俺達の大半はその様な過去が無かった。


何か綺麗な理由を言った方が良いのかも知れない。


しかし!今は違うけれども、元々は同じ男である天使様に、嘘をつきたく無かった。


だからこそ、


「女どもを見返したいからだ!」


と本音を叫んだ。


少し力があるからって俺達をゴミの様に扱ってくる女ども。


中には始めは優しくしてくれた人もいた。


しかし、周りの人の雰囲気や噂によって、俺達に近づく者は居なくなった。


そんな女どもを、俺達は強くなって見返したいのだ!


「ふむ」


そんな想いを目で訴えっていると、天使様は軽く頷いた。


その後にどんな反応が返ってくるかはまだ分からない。


しかし、それでも今の俺たちは黙って天使様を見つめる。


「お前らは俺の事を男と見てくれている事が分かった。よし、少しだけ強くしてやる」


天使様は笑顔でそう言ってくれた。


その笑顔はとてつもなく魅力的で、俺を除く同志達は気絶(リタイア)した。


「まずは、魔器の剣や槍などの武器を扱える様にしろ。その後に面倒を見てやる」


天使様は俺達にそう言って、ベットに横になろうとする。


しかしその天使様の言葉は、俺達にとって考えていたものと同じだった。


俺達は魔法が使えない。


だからこそ魔法でない、肉体のみで強くあろうとした。


しかし、それでも魔法少女達には勝つ事は出来なかった。


「その様子だと、もう扱えるみたいだな。わかった。今から訓練室行くぞ」


そんな俺の表情を見て天使様はそう続けてきた。


【プロテクト・セット・スクー(変装・学校制服)ルユニフォーム】


そして天使様は魔法で学生服を纏った。


俺は残念に思いながら、倒れた同志達を叩き起こして、天使様と共に訓練室に向かうのだった。


------------------------------


「さて、まずはお前ら素振りしてみろ」


訓練室に着くと天使様はまず部屋に『ロック(施錠)』を使って、そう続けてきた。


俺達は、それに続いてそれぞれの武器で素振りする。


「ふむ、思ったよりもやるな。じゃあ次だな」


天使様は一人頷いて、そう言った。


「さて、ここに無色の魔法玉を放つからしっかり対応しろよ。【マジカル・シ(魔法弾)ョット】」


そして、天使様は俺達に向かって、初歩魔法である魔力による玉を放ってきた。


その魔法は通常なら見えるはずだが、天使様の操作によってその魔法は見えないものになっている。


そんな魔法の玉に、俺たちは、何も出来ずにぶつかった。


それは、そこまで大した威力は無かった。


おそらく、それも天使様が考慮してくれているからだろう。


「俺達は魔法が使えないんです!だから見えない攻撃に対応するなんてできないです!」


俺は叫んだ。


俺達に魔法が使えれば、魔力を感知して対応出来たかもしれない。


しかし、俺達には魔法は使えない。正確に言うならば魔法が発動するまでの魔力が無いのだ。


「何をいってるんだ。魔法など使わなくても良い。むしろ魔法を使わずに魔力を纏っていない時の方が、基本的に魔力は感知しやすいんだぞ」


しかし天使様はそう返してきた。


魔法を使わない方が魔力を感知しやすい?


そんな馬鹿なことがあるのだろうか。


「なるほど、お前ら目を瞑れ」


天使様は唖然としていた俺達にそう指示した。


俺達は素直に目を瞑る。


「そのまま全身の力を抜け」


目を瞑り、真っ暗な中でさらに力を抜く。


「本当は魔力をあんまり使いたくないが仕方ない。特別だからな。【魔力よ!放出せよ!】」


そして、天使様はそう言って俺達に何かを放ってきた。


何かが俺達を包み込む。


しかし、痛みなどは感じられない。


ただ何かがそこには存在し、重みを感じられる。


これは何だ?


「これが魔力だ。そして、常に俺達の周りには魔力は存在している。徐々に圧を弱めて行くからしっかり感じ取っておけよ」


俺達の疑問に答えてくれる天使様。


それと同時に周りの重みは軽くなっていく。


そして、その重みは感じ取れなくなった。


ただ、そこに何かがあるのは何故だか分かった。


「どうやら、周囲の魔力を感じ取れる様になったみたいだな」


これが、魔力・・・


俺達の周りに常に存在してい物なのか・・


「じゃあ次だ。【マジカル・シ(魔法弾)ョット】」


天使様はそんな感動している俺達に、再び無色の魔法の玉を放ってくる。


まだ目を瞑っている俺達だが、何かが近づいてくるのが分かった。


その何かの重みを感じ取り、それは徐々に俺達に近づいてくる。


俺は、その重みに向かって持っていた剣を振るう。


剣に少し重みを感じ取り、そして何かを切り裂いた。


「よし、こんなところだな。あとは、もう分かるよな」


天使様はそう言って、部屋を出て行こうとする。


本当は俺達に付き合うのは面倒だったんだろう。


それでもここまで教えてくれた。


俺達に強くなるキッカケを与えてくれた。


俺達は出て行こうとする天使様に向かって、頭を下げながら、


「「「「「「ありがとうございました!」」」」」」


と感謝した。


その後は、日常生活でも魔力を感じ取る様に意識していくと、更に魔力を感じ取れる様になった。


そしてそんな日々が続いた後に、ついに魔法少女の低ランクの生徒に勝つ事が出来る時がやって来た。


今でも魔法はうまく扱えない。


しかし、魔法を扱えないからこそ、魔力を感じ取りやすい俺は、魔法の発動する場所を感じ取り、危険な場所を素早く予測し、魔法少女に近づきながら、時には魔法に魔器を振って無効化し、時には魔法を避け、そして魔法少女に魔器を振って気絶させたのだ。


俺に負けた魔法少女は気絶から覚めると泣いた。


魔法使いではない俺に負けたと。


それは、そうだろう。


今までは負けることなどあり得ない、ただの人に負けてしまったのだから。


見下していた相手に負けたのだから。


しかし、それも今日をもって終わりだ!


なにせ俺たちは、もうただの人では無い。


魔力を感じ取れるようになった人なのだ。


泣いている魔法少女に、俺は手を差し出すと同時に少女の目を見て叫んだ。


「俺は、俺たちには魔法を扱えるほどの魔力はない!だからこそ魔力のある貴女達の事を、高嶺への存在と思い切り離した!しかし、これからは違う!俺たちは俺たちにできる事をし、貴女達と共に戦いたい!」


負けた相手を見下すのではなく、共に励む相手にしてくれという思いを込めてそう言った。


そして、泣いている少女は・・・



俺の手を取り、


「次は負けないから・・」


そう言った。


その時の少女の目には、今までの視線と違ったものが写っていた。


その後、魔法少女達は俺たちへの態度が少し緩くなったように思える。


そして今ではない未来に、俺たちは魔力を読み取る能力が高いという事で、魔法少女達と共にタッグを組んで魔物討伐に行くようになったのだ。



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