催眠者襲撃戦 黒幕頂上
申し訳ありません。35話から37話が話が入れ替わってました。
3月13日 19時以前に35話を読んでくれた人がいましたら、再度35話から読んでいただきます様、お願いします。
俺こと蓮野 春は、学園長を見事に騙すことに成功して、あの男の元にたどり着くことに成功した。
扇子の先が伸びて俺に当たったが、女の俺には膨大な魔力があるため、扇子が当たる場所に魔力を集中させるだけで、膨大な防御力を得ることが出来る。
肉体への魔力の移動は、詠唱は必要なく、瞬時に行う事ができる為、どこを攻撃されるかわかれば、その瞬間に防御が可能となるのだ。
とはいえ、衝撃は抑えることができずに吹き飛んでしまうが、そこは仕方がない。
壁にぶつかる時は、そのぶつかる部分に魔力を集中し、地面に着地する時は足に魔力を集中させて足から着地した。
その後、あの男の魔力を探ったところ、日長直猪と光天翼麗の魔力もその男の近くに感じ取れた事に喜びを感じた。
無事に勝つ事が出来たのだなと。
この時の勝つとは操られた少女を気絶させることでは無く、撒いて男の元に向かう事も含めている。
置いてきた緑宝守護の事は気になるが、守護と名前がついてるだけあってなんとかなるだろう。
それに、学園長は俺以外の人が成長する事を望んでいた。
だから、緑宝守護が成長した姿を見せれば、こちらを追いかけてこないのではないかと。
実際に、俺があの男の元にたどり着いても、学園長はこちらに向かってくる様子は無かった。
そして、その男だが気絶していた。
日長直猪か光天翼麗がやったことなのかと思うが、その二人も倒れている。
ただ、そこに一人立っている人物がいた。
男なのだろうか。中性的な顔つき、金色の短髪で、その人物の魔力は感じ取れない。
「やあ、待っていたよ」
その金髪の人物は俺に向かってそう言ってきた。
待っていた?
俺がここにくる事を知っていたのか?
「何故、こいつらは倒れているんだ」
よくわからないが、金髪の人物はここであった事を知っていそうなので、聞いてみる。
「ああ、この男は契約違反で気絶させたんだよ。女の子達は君と話がしたくて可哀想だけど気絶してもらったんだ」
金髪の男は、女が惚れそうな口調、手つきをしながらそう言った。
「契約違反だと?」
俺は金髪の男の言葉に疑問を思って、さらに問いかける。
「そうさ。女の子を傷つけないという事を条件に催眠の力をこの男に与えたんだ。しかし、この男は数度に渡ってその契約を破ろうとしたんだよ」
飄々というその姿に俺は、何故かイラつかなかった。
いつもの俺ならイラつくはずなのに不思議な気分だった。
「何故、催眠の力を与えたんだ」
どうやってあのような協力な力を与えたという疑問もあったが、まずは力を与えた理由を聞いてみた。
「それは、君と会いたかったからだよ」
金髪の男は俺の目を見つめて、そんな事を言ってくる。
そして、俺も男の目を見つめる。
「何故、俺に会いたかったんだ」
話すごとに疑問が増えてくる。
「君の力は今を、そして未来に光を灯す力を持っている。だからこそ、その君の力を僕に預けてくれないかなって思ってさ」
その言葉に似た事を何処かで聞いた事があった。
その力とは、男に戻り、再び女になると魔力が最大まで回復すると言うものだろう。
そして、その義務は性転魔法使いの義務と言われた事があった。
その力をこいつに?
「ああ、勘違いしないでくれ。預けてくれと言ってもその力を奪うわけじゃない。ただ僕と共に戦って欲しいだけなんだ」
共に戦う?何と?
俺はそう思ったが、頭の中が何かで濁っていくようで、問いかける事が出来なかった。
その代わりに、こいつが言ってるんだから手伝わないといけないとか、こいつが言ってるんだから正しいことをだとかそんなことを考え始めた。
「うん。僕を信じてくれ。僕の名前は本道 信一、勇者と呼ばれる者」
男はゆっくり近づいてきながらそう教えてくれた。
勇者?
俺は言葉に出来ない口の代わりに、心の中で呟く。
男は俺のすぐ側にきて、俺の顎に手を置く。
「うん。勇者なんだ。君に会えるのを待ってたんだよ。だから、僕と共に戦おう」
そして、男はそんな事を言いながら俺の耳元に最後のつぶやきをした。
【チャーム】
そして、俺は夢の中のような微睡みに落ちるのであった。




