催眠者襲撃戦 『日長直猪』 対 『藍癒人魚姫』
私こと紅天寺茜は、蓮野さんの作戦通りに深雪さんこと藍癒人魚姫に攻撃をして煽り、そのまま移動して予想通りに藍癒人魚姫さんと一対一の対決となりました。
そして、この作戦がうまくいったことにより、私はある事に確信しましたわ。
私は追いかけてくる藍癒人魚姫さんに向けて魔法を放ちます。
【ファイアー・ボール】
それと同時に私は、移動していた足を止めて魔法を放つのに集中し始めた。
【ウォーター・ウォール】
藍癒人魚姫さんは、感情のない声で魔法を唱えて『ファイアー・ボール』を防ぐ。
私と藍癒人魚姫さんの対戦はいつも、この流れから始まる。それは、操られている藍癒人魚姫さんでも変わりなかった。けれど・・・
「数多の力よ。今この時、この場所で敵を飲み込みなさい!【アバンダント・ファイアー!】」
私は溜めていた魔力を使い、沢山の『ファイアー・ボール』を藍癒人魚姫さんに向けて放った。
【ニード】
【ウォーター・ウォール】
藍癒人魚姫さんは魔力を練り、より硬度な『ウォーター・ウォール』を出現させて、沢山の『ファイアー・ボール』を防ぐ。
けれど本当にそれでいいのですか?
私は心の中で藍癒人魚姫さんに問いかける。
いつかの対戦で私は藍癒人魚姫さんに、周囲の水が蒸発して火の魔法が使いにくくなるという作戦負けを受けました。
今回も、すでに周囲は火の魔法が使いにくい状況になってます。
ですが、
「火と水よ。共に混じり合いなさい。【バン!】」
私は大会の間で成長した。水は火を妨げる物だけだと思っていましたわ。ですが、使い方によっては妨げるだけでなく、火力を上げることもできるものなのですわ。
今のこの状況では、周囲にある水の魔力は私にも少しは扱えます。その扱える水の魔力と私の中にある火の魔力を混ぜて、水素に火を注ぎ爆発させる魔法を放ちました。
それは、藍癒人魚姫さんの作った『ウォーター・ウォール』を容易く吹き飛ばしました。そのまま藍癒人魚姫さんに衝撃が当たり、後ろに吹き飛ばされ建物の壁に背中からぶつかりました。
これで終わりではないでしょう。けれども、ここまで容易く私の有利な状況に持っていけてることがおかしいのですわ。
そう。
「操られている状況の貴方には負けませんわ。早く元に戻りなさい!」
藍癒人魚姫さんの強みは瞬時に適応してどんな事にも対応する戦略でした。しかし今の状態では、ただ使える魔法を発動しているだけのお人形みたいな物ですわ。
そのような戦い方は藍癒人魚姫さんの戦い方ではありませんわ。むしろ私の戦い方ですわ!
だからこそ、次にしてくることがわかる。
藍癒人魚姫さんは無言で壁から背を離して、呪文を唱え始めた。
【生命の原初なる水よ。今、ひと時、その力をお貸しください】
【マーメイド・モード】
唱え終わると藍癒人魚姫さんは輝き出し、輝きが終わるとそこには人魚姿の藍癒人魚姫さんがいた。
【マイ・シー・ワールド】
そして、そのまま周囲の水の魔力を操り出しました。
これによって私は周囲の水の魔力が使えなくなり、結果的に炎の魔法が発動できなくなってしまいました。
それはピンチなのかもしれませんわ。実際この状況では藍癒人魚姫さんとの対決に勝つことは出来ないかもしれません。
ですけれど、藍癒人魚姫さんが変身する間に、私が何もしていなかったわけではありませんわ。こうなることが分かっていたから魔力をためていたこです。
「数多の力よ。今この時、この場所で敵を飲み込みなさい!【アバンダント・ファイアー!】」
それは先ほどと同じ魔法。先ほどよりは魔力を貯めた時間があったから数としては多めですが・・・
【ウォーター・ウォール】
藍癒人魚姫さんは『マーメイド・モード』の影響で、先ほどよりも魔力がこもっている『ウォーター・ウォール』を容易く出しました。
そしていくつもの『ファイアー・ウォール』がその『ウォーター・ウォール』にぶつかりは水蒸気を少し出しては消えていきます。
そして私からも、深雪さんからもお互いが見えなくなりました。
そう。私はこれを狙っていました。
だからこそ、私は『アバンダント・ファイアー』を放ったすぐ後に移動を開始します。
まだ、いくつもの『アバンダント・ファイアー』が『ウォーター・ウォール』に当たる中、私は男が逃げたと思われる方向に向かうのでありました。
今の私では、操られている状態でも藍癒人魚姫さんに勝てません。
ですが、負けもしません。今回の目標は藍癒人魚姫さんに勝つことではなく、あくまでも藍癒人魚姫さん達を操っているあの男を倒す事ですわ。
だから藍癒人魚姫さんとの勝負は勝ちではありませんが、全体的に通せば私の勝ちですわ!
ですが、一対一の勝負でも、いつか追い抜いてみせますから・・・




