魔法大会開催決定!※男子禁制
次の日に眼が覚めると、身体が重く、特にお腹の下の内側から股にかけてがとても痛かった。
あー、だから女になるのは嫌なんだ。日常生活が大変だし、月に1回は、これがくる。
俺は起きあがり重い体を引きずりながら、シャワーを浴びて、自宅に無い女としての生活品をつけて、またベットに入った。
こうなると、もう、動く気がしない。
俺の場合は、基本的に男だから、女になった次の日にくらいにその反動が一気にくる。
じゃあ、ずっと女でいれば反動がない分いいのかと言うとその通りなのだが、女っていうのは、男の時以上に日常生活が面倒なのだ。
例えば髪の長さなのだが、髪が長いから切ったら、男に戻った時にも比例して短くなっていて、それはもう見せられないような髪型になっていた。
歩くたびに揺れるこの胸だって、無駄に動いたり、下を確認するのに邪魔だし、肩は凝るし、男女問わずに邪な視線を感じるし、下着が一枚増えて洗濯物が増える。
食事をする時にも男の時と比べて味が違うように感じて違和感があるし、体感温度も少し違うし、それはもう色々と面倒なのだ。
結局、女で居続けてもここまでではないけど来る物は来るので、それだったら男にいるときにその分を満喫した方がいい。
というよりも、ずっと男のままでいたいのに、魔物が襲ってくるからいけない。
なんで、基本的に現れないくせに、俺がいるところばかりに魔物が現れるんだよ。
それのせいで、結局、魔法を使うことになって女になってしまう。
ただ、俺が魔物を倒すのには女になるだけの魔力が必要になるが、他人に魔力を他人に受け渡し魔法少女に変身させることに関しては、女になりきらないことがわかった。
だから、適当な女がいたらそいつに魔力を受け渡して、魔法少女にさせてから俺はその場から立ち去る。
初心者の魔法少女一人で魔物に勝てるのかというと、それは厳しい。
だが魔物が現われる所には、この学園にいる魔法少女が派遣されている。
いくら初心者でも時間稼ぎくらいはできるはずだろ。
魔法少女初心者が俺の逃げる時間を稼いで、その間にベテラン魔法少女が到着し魔物を始末する。完璧な作戦だろ?
昨日は俺が近くにいる事もあって、魔物を討伐するついでに俺を学園に連行しようとする動きがあったから、俺は魔物と魔法少女の二つから逃げていたのだ。
というよりも、あいつら俺がいるからってあえて俺の手前で魔法による壁を張り、魔物一匹を押し付けやがった。
そのまま俺ごと魔法の壁で逃げ道を塞ぐことも出来ただろうが、そんな事をしても男の時の俺も少しは魔法が使えるので逃げられる。魔物を全てあいつらに任せられて万々歳だったろう。
だから、あえて俺の手前に魔法壁を作り魔物一匹を押し付けてきたのだろう。
逃げるだけなら魔法少女にならなくても済むが、魔物を討伐すると流石に俺も魔法少女にならないと倒せない。
俺が魔法少女になれば学園に戻るとわかっていての行動だったのだろう。
しかし、残念。
俺の代わりに魔物と戦う者を産み出して俺は逃げ出す事に成功した。
だが、結局は派遣されたあいつらが取り逃がした魔物を狩る為に、魔法少女にならざる終えなかったから、逃げた意味がなかった。
魔法を受け渡した時の俺は、9割が男で1割が女みたいになる。男性的性欲が薄くなったり、髪の毛が伸びたりする。この状態なら1日もすれば男に戻れるし、月の物もこない。
だから魔物が出て、派遣された魔法少女だけじゃ手が足りない時や魔法少女が俺を追いかけてくる時や魔物から逃げられないときに近くにいる普通の女に魔法を受け渡すようにしている。
もし、女がいなかったり、それでも手が追えないような時だけ、俺は魔法少女になる。
女の時の方が魔力は多いが、男の時のほうがいい事もある。自身を覆う魔力が少なく、且つ、魔法少女になって魔法を扱えるようになったお陰で、魔力に対して敏感になり感知できる様になったのだ。
だから魔法少女が来たときもすぐにわかったし、魔法少女が捉えられなかった魔物にも気づく事が出来たのだ。
特に魔力を受け渡した時の半男半女の時には、より魔力を感知しやすい気がする。魔法ババアに話を聞いたが、その時の俺は魔力許容量がとかいろいろ言っていたがよくわからなかったから覚えていない。
とまあ、俺が魔法少女になりたくない理由と、魔法少女を大量生産している理由、俺自身が魔法少女にならざる追えない時の状況などを説明したが、最後に、そのうち俺の出番は無くなるだろうと思う。
何故ならば、俺が産み出した魔法少女達が、徐々に力をつけて、そいつらが多く派遣される様になれば、俺が魔法少女になる理由もなくなるわけだ。
昨日言われた派閥とかどうとかは、全くの想定外だったわけだが、これを解決すれば、以降、何も気にせずに魔法少女を産み出す事ができるわけだ。
魔法少女が多くなればそれだけ問題は起こるだろうが、その問題は、今回の優勝するやつに任せればいい。
そんな事を考えていると、学園専用の端末機からメールがあった。
差出人は新聞部で、題名は魔法大会についてだそうだ。ただベットで寝転がっているのもなと思ってそれを読んでみた。
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差出人:新聞部
題名:速報 開催決定 魔法大会!!
本題:
先日、学園から発表された魔法大会の開催について、今、学園全体は盛り上がっています!
その中で気になることいえばやはり誰が優勝するのかですね!
優勝候補はやはり各学校の異名持ちでしょうか!
小学校部門、中学校部門、高校部門、大人部門と別れてますが、それぞれに有名な異名持ちさんに期待がかかります!
また、異名の無い人も活躍すれば素敵な異名持ちになれる事間違い無しですので頑張って下さい!
優勝すると小学校部門なら小学校の、中学校部門なら中学校の、高校部門なら高校、大人部門なら高校以降の人達のリーダー役になり、命令権を得ます。
ここで特に気になるのが、高校部門の優勝者になります。
高校には、この学園で唯一、魔法が使える男子生徒がいます。
その男子は顔が悪くなく、魔力操作や探知がうまく、たくさんの魔法少女を産み出していて、
魔法を使うと女子になるが、女子になった時も、神々しいサラサラな黒髪を持ち、胸が大きく背が高く、魔力が膨大な・・
そう!皆の憧れのあの人がいるのです!
優勝者は男子の時も、女子の時も沢山の良いところを持つあの人を命令できるのです。
普段は学園街を魔物からの襲撃を守る為にパトロールしているのか、魔法少女に有望な人材を探しているのか分かりませんが学園にいません。
だが、そんな憧れの人を命令して、思う様にできるのです。
しかも、その男子生徒は女子になれるといえども戸籍上に登録が男子の為に、この大会では出場出来ません!
つまり、高校部門の誰かが絶対にその男子生徒への命令権が与えられるのが決定しているのです。
そんな彼を手に入れるチャンスとなり、高校部門がさらに盛り上がっています。
特に熱いのが、彼に魔法少女にされた組とそれ以外の組との抗争でしょうか。
彼に魔法少女された組が彼を守ろうとするのに対して、未来有望で魔法が使えるということで彼を肉欲的に狙う彼女達。
どちらの組に所属している人が優勝するか非常に興味ありますね!
さて速報はここまでにさせていただきます。本編は文章だけでなく優勝候補者の写真や、彼が男の時の写真、女の時の写真を載せていきますので、どうぞ購入下さい。
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一通り新聞部のメールを見てみた。
その時の感想は、何だこれ!だった。
俺が学園全体に注目されているだと!なんで学園に来てないのに注目されているか不思議で仕方ない。しかも学園に普段来ていない理由も脚色されてるし・・・
これは、まずいよな・・
気楽になれるかと、この大会を提案したのに、高校全体が俺を狙ってるなんて・・・
だからといって、俺が出て優勝するってのも出来ないみたいだ。なんだよ。この男が出られないって!
絶対にあの魔法ババアのせいに決まってる。
こうなったら、俺が高校の女子全員を見回って大丈夫そうな奴を、優勝出来るまで鍛え上げるしかない。
その前に駄目元で魔法ババアに抗議してみるか。
俺は怠い身体を動かしてベットから這い出て学園長がいる教師棟に向かうのだった。
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私こと魔法学園の学園長は、今、書類整理をしています。魔法大会の件の他に、通常業務にかかる経費関係や、授業に新たに取り入れたいと申請が来ているものの承認など、たんまりと書類があります。
これは学園長としてどうしようもないことだけれど、もう少しくらい減ってくれないかなとは毎回思います。
もしくは、少しでも私の代わりになってくれる人がいないかなと。
そんな訳で、今回の魔法大会の各部門の優勝者に、その役を担ってもらおうと思います。
同じくらいの歳の子達に命令するなら、その分働けということです。
まだ歳が若いから無理だとか思われるかもしれないが、ハルさんの言葉でその認識は変わりました。
魔法少女は世界を守るもの。若かれどもそれは違わず。そんな魔法少女のリーダー的存在が自分らを纏めれなくて何が世界を守るものだ。
こんな言葉に、私は優勝者に権利とそれ相応の仕事を与える事にしたのです。
そんな事を考えつつ書類整理をしています。
さて、そろそろ彼、いえ、今は彼女ですか。
改めまして、そろそろ彼女がくる頃ですかね?
そう思っているとドアがノックされました。
「どうぞ」
私がノックに返事をすると、ドアは開かれて彼女は入って来ました。
やはり、怒ってますね。
「どうかしましたか?」
大体の理由は分かりますけど、あえて聞いて見ます。
「ふざけるんじゃねえ!」
そしてかえって来たのは、とても女性らしい言葉ではありませんでした。
「また、そんな口調で・・」
「口調なんかどうでもいい!この大会のルールの事だ!」
そう言って彼女は、学園専用の端末機をこちらに見せてくる。
そこには大会のルールが表示されていた。
「何故!男が出場不可何だ!」
そう言って彼はこちらに怒鳴ります。
「今、この世界で、男として魔法を使える人物は殆どいません。そんな中で男性の名誉挽回として、魔法がロクに使えない人が大会に出場したらどうなるでしょうか?きっと惨敗しますね。そしてやはり男性はダメなんだと言われるのはまだいいです。でも、もし男性が無理をして自身の身に余るほどの魔法を発動しようとして、失敗したらどうなるでしょう?女性の方は特殊な服に守られているから問題ありません。ただ魔法を失敗した男性は、内側から傷ついて最悪の場合、死に至ります。そんな可能性を防ぐ処置として男性の参加の禁止にしたのです。」
私は言葉を挟まれないように、早々とそう言った。
これも一つの理由だが、一番は彼女、いえ、ここは敢えて言い換えます。
彼に、高校部門を従えて欲しいからこのルールを作ったのです。
矛盾しているじゃないか?いえ、これでいいのです。何故なら・・・
「じゃあ、俺は特別処置として参加させてくれ!俺は確りと魔法使えるだろ!」
「本気で言ってます?もし、貴方が出場したら優勝してしまうかもしれないじゃないですか?」
「ああ、優勝したいから、こうやって来たんだ!」
それは、わかってますよ。でも、貴方は魔法使う時は女になるといえども、基本は男なのです。
「唯一魔法使える男性がリーダーとなり、その下の数沢山の女性の魔法少女を従えるのですか?周りからどう思われるでしょうか?」
「どう思われようと知ったこっちゃない!俺は優勝しないとダメなんだ!」
まあ、優勝した女性に何されるかわかったもんじゃありませんものね。常識的な命令とは書いてあるけど、そんなのちょっとした壁に過ぎないのですよね。
「わかりました。出場する条件を2つ付けましょう。その条件を達成できたら出場参加させてあげます」
「っ!、聞かせてくれ!」
ハルさんは思ってもいなかったのか、少し驚いていた。
「1つは、女性になっている時だけでも、周りから女性だと思われるような口調や仕草をして下さい。魔法少女のリーダーになるのですから、それ相応の態度をして下さい」
「っな、だから俺は男なんだって!」
「魔法を使う時は女性なのでしょう?なら、魔法少女としてのリーダーは女性ですね。悔しいのなら、男性のまま魔法少女と対決して勝ってご覧なさいな」
「うぐっ、中くらいのクラスなら・・・」
「もちろんその時は、優勝目指して出場するのですから、優勝候補クラスと対決してもらいますが」
ハルさんが何か言おうとしたが、私はそれを遮って言います。魔力があまり使えない状況でもハルさんならば中級の魔法少女にならば勝てるかもしれません。しかし、そのような逃げ道はつくらせません。
「わかった・・・」
ハルさんは渋々と頷いてくれたが、敢えて私は追い討ちをかける。
「何がわかったのです?男性のまま優勝候補と対決することですか?」
「違う!女性としての態度をとることだ!」
「分かりました。では、これからよろしくお願いしますね」
「分かった」
「女性らしくでは無いのですか?」
早速、女性らしくなかったので指摘しました。
「っ!、分かりました!」
そして嫌々ながらに丁寧な口調に直す彼女は楽しく思えます。
そこまでするほど他の人に優勝させるのが嫌なのですね。
「よろしい、では条件の2つ目です。下のクラスの魔法少女1人を育てて、上のクラスの魔法少女と対決を行い勝たせなさい。尚、育ててる間に、異性関係があった場合はその時点で出場不可とします。これは、貴方にリーダーとしての素質があるかと、リーダーになってからも女性に手を出さないかを試すことです」
「っく!」
やはり、所々、態度が悪くなりますね。まあ、そんな条件をつけてるのはこちらですが、本気の貴方ならこのくらい余裕でしょう?
今まで本気じゃなかった分ここで頑張って下さい。
「何か異論でも?」
「いえ、分かりました!魔法バッ、学園長先生!」
また私の事を魔法ババアと呼びそうになりましたね!私はまだ30代前半です!ババアっていう年齢じゃありません!
とはいえ、私の他にこの歳以上で魔法が使える人はいなません。
魔法使いは一定の年齢を超えると、その歳に応じて自身の保有している魔力が減っていきます。
そして、いずれは魔法が使えなくなるのです。
だから、魔法使える人は若い人だけで、且つ、女性がほとんどです。
という事で、魔法が使える=魔法少女という認識がこの世界での普通となっています。
この歳で魔法が使える私が、必然的に魔法経験年齢が他の人に比べて長くなる為、学園長なんてものをやっています。
一定の歳を超えると、保有魔力が減る理由は、わかっていない。という事になっています。
因みに次の学園長の候補は蓮野 春さんです。とはいえ、まだ公表はしていないし、本人も知りません。
何故、彼なのかというと、私と同じく、歳をとっても、魔力が衰えないからです。むしろこれから先も増えていくに違いありません、
だからこそ、ここで口調や仕草、態度を改めて貰わないと困るのです。
「それでは、貴方のご活躍を期待しています」
私が最後にそう言うと彼は出ていきました。
私は、ふと、ため息をつきます。
彼がいれば、この世界は救われます。
魔法を永遠に使える彼がいれば、この世界は救われるのです。
例え彼にその意思がなくても、この世界がそれを望んでいる限り、絶対に彼は世界を救うのです。
だからこそ、以降の彼に、期待します。
そんな彼の行く道に祝福があらんことを・・・