魔法大会残り4人 『藍色癒姫』 対 『純粋青』
【ウォーター・ハザード!】
青色の魔法少女こと純粋青さんは、開始と同時に会場全体を飲み込むような大津波を発生させてきた。
さすがに純粋青さんの魔力は外からでも感じられることもあって、いきなり大魔法を放ってきた。
そのままでいれば、その波に飲み込まれてしまう。
【ニード】
けれども私は慌てずに魔力を練る。
大きな津波が私に近づいてきて、飲み込もうとする。
しかし、
【ウォーター・コール】
私は水の基礎魔法を発動した。
それは、普通に教わる時は近くにある水を自身の近くに呼ぶものと習う。それを使ってなんの意味があるか。
確かに『ウォーター・コール』にはその効果もあり、それだけだとこの状況では意味がない魔法となる。
けれどもこの魔法の本質はそこでは無い。近くにある水を操り自身の付近に持ってくることにある。
水を操るとは勢いを緩めることも可能で、今回は私の近くに来た勢いのある波を緩めることが出来た。
けれども、思っていた以上に簡単に操作する事ができた。
普通は他人の魔力で作られた物は、操作しにくいはずなのだが・・・
つまり、この津波には含まれている魔力量が多くないということだ。
もちろん発生するには大量の魔力は必要。
だが、なんというか中身がない。
だから、こんなに直ぐに他人に操られてしまうのだ。
ああ、なんだ。つまり、この人は魔力が多いだけで圧縮が出来ていないのか。
そして、それは純粋青さんから漏れ出る魔力がそれを指していた。
本当に強い人は、あんなに外からは魔力を感じられない。何故ならば、魔力を圧縮しているから。
魔力を圧縮し続ければ外にはそこまで漏れないものなのだ。
それでも、漏れているようなのはいるけど、そんなの例外だ。
「っな!」
そして、大魔法を一部とはいえ操作して無力化した私に驚く純粋青さん。
とはいえ、『ウォーター・ハザード』で発生した水はフィールドを飲み込み、フィールド全体がプールのように水で一杯になる。
それは、何を指しているか。
水が得意な魔法少女の独擅場となる訳だ。
今回は、私も相手も水魔法が得意なわけで、どこで差がついてくるのか。
単純に魔力の多い方が有利なのか。
そういう時もあるが、戦略によってはそうでない時もある。
魔力は圧縮されてた方が有利な時もあるのだ。
それを今から証明してみせる。
【ジルズ・ロール】
【ジルズ・ロール】
まずは、お互いに水の中でも呼吸ができる魔法を使う。意味合い的には魚のエラの様な機能を魔法で補っているのがこの魔法だ。
そして不思議なのが、魔法の発動の時に名称だけは、水の中でも妨げなく聞こえること。おそらく空気にではなく、空間に伝わってくるから空気中だろうが、水中だろうが関係なく聞こえてくるのだと思う。
【ニード】
私は、いつ純粋青さんが魔法を発動してきても大丈夫な様に、『ニード』を発動しておく。
【ウォーター・スピア】
純粋青さんは、水中の中で、水を集中させて槍の様な物も作って、私に向けて勢い良く放ってきた。
水中の中に水の槍が作れたり、外から見える理由は、水圧の高さが完成している。
水の槍の部分だけ水圧が高くなり、その結果、周りよりも光を通しにくくなり見る事が出来る。
【ウォーター・コール】
そして、私は先ほどと同じ様に私に迫る『ウォーター・スピア』を操って無力化する。
「っ!・・・」
純粋青さんはそれを見てまた驚いた。
先ほども見せたでしょう?何を驚いているの?
もしかして、先ほどのはマグレだと思われている?
それか、何が起きているのか気づいてない?
以前の私なら他人の水魔法を操作できなかったかもしれませんね。でも、今の、蓮野さんに育ててもらった私なら、これぐらい余裕だ。
もし、何が起きているのか理解してないのでしたら、それはそれで、私が勝ちやすくなるのでいいか。
それにしても、水の中というのは動きにくい。
いくら水の魔法が得意でも、水の中で戦うのは滅多にないから、そこまで私は慣れていない。
魔法は発動しやすい状況だけど、水の中では機動力にかける。
これはダメな気がする。どうにかしたいな。
水の中で動きが速いものと言えば・・
私は、それを想像して、考える。
水に逆らわず、逆にその力を活かす泳ぎ方をするもの。
空想だっていい、魔法は空想を実現するものだから。
【生命の原初なる水よ。今、ひと時、その力をお貸しください】
そして、頭に入ってきたその言葉を、そのまま詠唱する。
すると、私の周りが光輝いた。
そう、この魔法は、海の住人、マーメイドに近づくための魔法。
【マーメイド・モード!】
私はその魔法の名前を叫んだ。
それと同時に、私の身体が変わった。
腰から下は魚の尾びれに、腕にヒレみたいな硬いのがつき、淡い水色の魔法服は消えて、あるのは胸を隠す、淡い水色をした貝殻の様なものだけ。
「って!これじゃ変態じゃん!」
私は慌てて手で胸を隠すようにする。
その時に、胸を隠す貝殻にも手が当たるが、思った以上に固定されているようだ。
それは、いいんだけど・・・
もうちょっと、こう、露出度を少なくできないのかな?
【ウォーター・スピア】
そんなことを考えていると、純粋青さんは攻撃魔法を放ってきた。
「っ!あぶなっ!」
私は驚き、声を出しながら咄嗟に足を使って避けるイメージをすると、尾びれが動いてそのまま私が移動して、そのスピードは思った以上のもので、近くにあった壁にぶつかってしまう。
「いたっ!」
これは、大分、機動力がついたみたいだけど、練習無しにいきなり本番てのは厳しいものがあるかもしれない。
それにしても、水の中だというのに、声が出ていることに気がついた。
そして、何よりも水という水が全て私を歓迎しているような気がする。
さっきまでも、周囲の水の魔力を感じ取れたけど、今はこのフィールド全体の水の魔力を感じ取れて、扱うことも出来そうだ。
さすがは水の住人、マーメイドと言うところだろうか。
それでもやっぱり、私はあまり攻撃魔法が得意でないみたいだ。
なんていうか、私が扱える水の魔力が攻撃よりも、回復や防御などをしてほしいって言ってるような気がする。
そして、それはおそらく気のせいではないだろう。
なら、
【マイ・シー・ワールド】
この魔法名は蓮野さんの使っていた『マイ・スペース』をみて思いついた魔法。
そして、蓮野さんも蓮野さんだけの『マイ・ワールド』が使えるはずだ。
おそらく魔力が少なかったから『マイ・スペース』だったけど、魔力が多かったら『マイ・ワールド』を使えたのだと思う。
私の『マイ・シー・ワールド』は、この水中にある水の魔力を、私以外の人が使えなくするもの。
強引に使おうと思えばつかえるが、その分、自身の内にある魔力を使うことになる。
威力を高める為に周囲の魔力を使うというのに、それでは本末転倒な訳だ。
そして、この魔法は『マーメイド・モード』だからこそつかえる魔法だ。水中の中の魔力を感じ取れるからこそできる魔法。
さあ、これで純粋青さんは周囲の魔力が使えなくなったはずだ。
「っ!」
それに気づいたのか驚く純粋青さん。
だがしかし、純粋青さんの目みると、まだ諦めた様子はなかった。
さすがは、シードに選ばれるだけはある。
純粋青さんは自身の魔力を一点に溜めているようだ。
いくら周囲の魔力が使えないとはいえ、純粋青さんは元々が魔力が高いだけあって、油断できない。
私も、魔法を使っておこう。
おそらく、純粋青さんの魔法を2回も操作をして無効化しているから、操作出来ないような、出来たとしてもこちらに被害が出るような魔法を使ってくるのだろう。
そして、それを私がとある魔法を使った数秒後に、純粋青さんは魔法を放ってきた。
【ハイドロジェン・バーニング!】
それは私の姿を飲み込む大きな爆発が起きた。ハイドロジェンは水素、バーニングは燃焼、つまり水素に火を付けたような爆発を発生させたわけだ。
これが、自身にある魔力だけを使った威力ですか。
周囲の魔力まで使えていたらどうなっていたことでしょう。
そして、私の姿は飲み込まれました。
しかし、私の本体には当たって居ません。
あれは、私が魔法を使って作った水の分身だったのです。
【ウォーター・コントロール】
そして、私の本体はどこにいるのかと言うと、純粋青さんのすぐ後ろです。
そして、私と純粋青さんまでの水を操り、一番近いルートを純粋じゃない電気を通す水に、それ以外の水を電気を通さない純水に操作しました。
あとは簡単、蓮野さんと相談して決めたこの魔器に魔力を流すだけ。
ポチッとなと私は魔力を魔器に流し込む。
鞭の形をした魔器から電気が発生して、そのまま電気を通す水を通って、純粋青さんに電撃が当たる。
「っつ!っ!・・・」
そして、そのまま水の中で声を上げれずに気絶して、私の勝ちが決定した。
にしても、この『マーメイド・モード』は水の中ではチートだ・・・
水の中なら負ける気がしない・・
けど、恥ずかしいよ。この格好・・
そうして、準決勝は終わったのであった。




