魔法大会残り18人 赤い魔法少女 対 薄緑色の魔法少女『緑宝守護』
美雪さんと黄色の魔法少女の戦いが、美雪さんの勝利に終わりました。
戦略を考えられた戦いに私は感動を受けました。
私ではあくまでも、力押しで行くために、あそこまで考えられた戦い方は出来ません。
ですが、それはそれでいいのかもしれません。
蓮野さんにも私らしく戦えと言われているので、これからも力押しでいきたいと思いますわ。
美雪さんの戦いの後に1試合あり、それが終わってから私の出番が回ってきました。
観客席から会場に向かいます。会場に近づくごとに歓声が大きくなっていき、これから私が戦うんだなと改めて感じましたわ。
会場に入るとその感性はさらに大きくなりましたが、観客席を見ると蓮野さんもこちらを見ている事に気がついて、私の事を見ていてくれるんだなと思いました。
蓮野さんに見られている限り情けない戦いは見せられませんわ。
そう、私の中では誰に見られるよりも、蓮野さんに成果を見せることの方が重要なのですわ。
だからこそ、この大きな歓声にも緊張せずにすんだのです。
対戦相手も開始位置に付いて、お互いの変身の詠唱が始まります。
【私は願う、過去、未来、そして今を築く。数多の敵を倒す!この力で!】
そうして私は赤い魔法少女に変身した。
【私は願う、過去、未来、そして今を築く。この力と共に、守りあげる世界を】
そして相手も、詠唱して光が包み、それが消えると、薄緑色の魔法少女に変身していた。
その子はセミロングで纏めておらず後ろに流している髪はふわふわな印象的で如何にも優しそうな雰囲気がする。
「貴女が、ハルさんの弟子なのですね。ならば、絶対に負けたくありません!」
変身してすぐに私にそんな事を言ってきましたわ。
あー、これは私が最初に美雪さんに思った事と同じことですわね。
ならば、こう返しておくしかありませんわ。
「ええ、私が蓮野さんの弟子ですわ!だからこそ!負けられませんの!」
魔法を教えてもらっているのですから、弟子と言っても過言じゃありませんわ。
そして弟子というのですから、無様な事をしたら、それこそ蓮野さんの名誉に傷をつけていまいますわ。
「そうですか、なら、私はハルさんに魔法少女にして貰ったんです。だから、負けません!」
私に対抗して、薄緑色の魔法少女もそう言ってきた。
この人は蓮野さんに魔法少女にして貰ったのですか。
確かに羨ましいところはありますが、だからと言って負けませんわ。
「それでは、両者共に準備が出来たようなのでこれより対戦を開始します。数字の光が0になると共に始めてください」
そして、学園長先生の言葉と共に現れる10の数字。
1秒毎に減っていき、やがて0になりました。
先手必勝ですわ!
【ファイアー・ボール】
私は試合が始まったと同時に得意の攻撃魔法を放つ。
「風の力よ。全ての害から守ってください!【アイギス】」
薄緑色の魔法少女が魔法を唱えると、薄緑色の魔法少女の前に透明だけど何故か見える壁が現れた。
その透明な壁とが当たって、『ファイアー・ボール』は消滅した。
ただの壁にぶつかるならば、火花が散るというのに、全く何も残さずに消えてしまった。
これはどういう事なのでしょうか。
そういえば、最近転入して急激に力をつけてきた人がいると聞いたことがありましたわ。
その子が張った防壁にはいかなる魔法も効かずに無力化され、物理攻撃も通さない。
どんな攻撃をも耐えられ、その使い手が薄緑色の魔法少女からこんな呼び名が付いた。
『緑宝守護』
そうなのですね。この子が緑宝守護さんなのですね。
どんな原理で魔法を受け止めているのか、私には分かりませんが私に出来ることは1つだけ。
だからこそ!
【私に眠る魔の力よ。今、この時だけ、集の知をお与え下さいですわ】
私は『コンバージ・モード』になった。
全力で勝ちに行くのなら、この姿にならなければ話になりません。
守るべき部分の胸や腰などの一部は黒く、それ以外は赤くなった私の魔法服。魔法を発動する時は周囲の魔力を取り入れるのに邪魔にならないように黒い部分が赤く変わる私だけの魔法服。
この間の蓮野さんの為の試合では、全体攻撃をしましたが、今回はその逆で一点集中型でいきますわ。
全体攻撃をするとそれだけ魔力を消費したり、火力が落ちたりします。
名前持ちなのですから、一方方向だけに『アイギス』を展開することしかできないのではなく、恐らく全方位に張ることが出来るのでしょう。
つまり、全方向からの攻撃でも抜け穴を通す事ができない可能性が高いこの状況で、全体攻撃は無駄ですわ。やるならば、一点集中で一点への火力を上げて『アイギス』を撃ち壊すことですわ!
緑宝守護さんは、あくまでも防御に徹するみたいで、私に攻撃をしてこようとしませんわ。
つまり、私はそれだけの集中を次の魔法にかけられるということですわ。
まずは、この魔器で・・・
私は足につけていた銃のようなものを右手に持つ。
それを、自分の左手に射線に合わせて、魔力を込めて放つ。
そして、銃口から出てきたのは少量の水だった。
私自身では水を魔法を出すのに魔力による無駄が多いから、魔器を使って水を作り出した。
そして水が当たった左手だが、
分かりますわ。水の魔力を感じ取れますわ。
本来は水の魔力と火の魔力は反発する物と思われますわ。しかし、うまく合わせれば、火力が格段に上がることがこの間の試合で分かりました。ですから、この様に魔器で水を作り出し、それを次の魔法への糧とするのですわ。
左手にある水の魔力と、自身にある火の魔力を混じり合わせる。
それをどんどん収縮していく想像をしますわ。
まだですわ。こんなのではあの壁は壊せません。
もっと、もっと込めるのですわ。
壊れない壁があるというのなら、なんでも壊す魔法を作ればいいのですわ。
最強の盾には、最強の矛を!
それを想像しながら魔力を込めて、左手の指先に集める。
「全ての物を貫くのですわ!【パイク・フレア!】」
そして、私の指先から放たれる細く、とてつもない熱量をもった燃え盛る矛の様な物が、緑宝守護さんに向かって飛んで行った。
そして『アイギス』とぶつかり、『パイク・フレア』は消えた。
しかし、それと同時に『アイギス』も消えたことが分かりました。
「そんな!魔力無力化がある『アイギス』を壊すなんて・・」
『アイギス』が消えたことに緑宝守護さんは、そう言って驚いてました。
「魔力無力化ですの?」
私は、緑宝守護さんが言った聞き慣れない言葉を繰り返してしまいました。
魔力無力化とは、意味は分かりますが、そんな物があるって聞いたことありませんでしたわ。
「そんな事を知らない人に壊されるなんて・・、認めません!」
私の呟きが癪に触ったのか、緑宝守護さんは怒ったみたいですが、
「よく分かりませんが、私の攻撃が緑宝守護さんに届く事だけは分かりましたわ。これで私の勝ちですわね」
攻撃が届くならば、いくらでも勝機がありますわ。
特に緑宝守護さんには、防御が得意で攻撃は苦手と聞いていますわ。
とはいえ、回復が得意な人に負けたこともあるので、油断は禁物ですわね。
とりあえず、先ほどの魔法を繰り返してみましょう。
ある程度の溜めが必要とはいえ、緑宝守護さんも攻撃してこないでしょうし、問題ありませんわ。
「さあ、貫くのですわ!【パイク・フレア】」
「っ!舐めないで下さい!【アイギス!】」
私の『パイク・フレア』対抗して、エメラルドさんは『アイギス』を使ってきて、お互いの魔法が消滅する。
これが何度も何度も続き、やがてはそれが終わりました。
魔力不足により発動できなくなったのです。
「これで最後ですわ!【パイク・フレア!】」
「っ!」
私はまだ少しだけ魔力が残っていました。
魔力不足になったのは緑宝守護さんでした。
理由としては、基本的に直線の攻撃魔法よりも、面の壁魔法の方が沢山の魔力を使うからですわ。
魔力が無くなって、『アイギス』が張れないにもかかわらずに、最後までこちらを睨みつけてくるその気持ちだけは受け取っておきますわ。
緑宝守護さんに『パイク・フレア』が当たり、そのまま後ろに吹き飛んで緑宝守護さんは気絶しました。
これで、蓮野さんの弟子としての面目は立ちましたでしょうか・・
そして、赤色の魔法少女と薄緑色の魔法少女との戦いは、赤色の魔法少女の勝利に終わったのであった。




