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性転魔法使いのオブリージュ  作者: Kiruna
魔法高校編
1/45

魔法少女誕生!?

地下鉄の駅では人々の悲鳴で埋め尽くされていた。


地上に出ようと皆が同じ方向に走っている。


そして俺もその内の一人だった。


俺のすぐ後ろには既にその状況を作り出している元凶が近づいて来ていた。


俺の後ろには沢山の人が居たはずなのに、その人達は食べられてしまったのだろうか。


奴が近づいてきている中で、俺の前にいた少女が転んだ。


そして俺はその少女を追い抜いた。


少女は、どこかの学校制服をきていて、身長は女性にしては一般的、髪は一般的な黒でセミロング、纏めておらず後ろに流している髪はふわふわな印象だ。


元凶はそんな少女に目標を変え、襲いかかろうとしていた。


「いっ!、嫌っーーー!」


それが少女にもわかったのか、少女は叫び声が響き渡る。


仕方ない、いや、ある意味、丁度いいのか・・


始めは面倒なことになったと思ったが、よくよく考えれば転んだのが少女で良かったのかもしれない。


ここで男や年老いた人だったら、もっと面倒なことになってた。


何故かって?少女だからこそできることがあるからだ。


俺は方向転換して少女のいる方向に向かい、そのまま少女に襲いかかっている元凶に向かって、腕に魔力(・・・・)を込めて殴りつける。


「グラァー!」


元凶は殴られた勢いで、声を上げながら少し後退して、こちらを睨みつけてくる。


「たっ、助けてくれたの?」


少女は俺の姿を見て、喜びに溢れた声を出す。


なんだ?俺の事が白馬の王子様にでも見えているのか?


「いや、俺が助かるためにお前に戦ってもらおうと思ってな」


俺は誰かを助けたいだなんて思わない。これはあくまでも自分の為に行動していること。


「え?」


だから俺は少女の疑問を気にせずに少女の腕を掴む。そして少女の手が元凶に向かうようにする。


「力を与えてやる。一緒に唱えろ。途中からは自分の中に響き渡る声をそのまま唱えろ!」


ただやる事だけを説明して少女を見た後に、元凶の事を見る。


奴はまだこちらの様子見をしているのか動こうとしていない。


「え?」


少女は何がしたいの?みたいな顔をしているが、


「え?じゃない!死にたいのか!」


この状況で指示に従わないと死ぬという言葉で脅迫して、指示を従わせる。


「わっ、わかりました!」


その言葉でやっと少女は了承した。


俺は少女を改めて見て、頷く。そして少女も頷いて返してくれた。そして、


「私は願う、過去、未来」

「私は願う、過去、未来」


俺と少女は唱える。俺はそれと同時に掴んでいる少女の腕に、少女が壊れない量の魔力を流し込む。


(あつ)っ」


だが、少女は産まれて初めて他人の魔力が入ってきたのだろう。その熱さに耐えられずに声をあげて詠唱を中断してしまう。


「我慢しろ!死ぬよりはマシだ!もう一度行くぞ!」


一度はこうなるだろうとわかっていたので、もう一度死ぬという言葉を使い従わせる。


「はい!」


ここまですれば何をするのかわかったのかもしれない。今までよりも良い返事で帰ってきた。


「私は願う、過去、未来」

【私は願う、過去、未来、そして今を築く。この力と共に、守りあげる世界を!】


俺は途中まで唱え、その後は少女が唱えるだけ。


未来まではほぼ同じことが多いが、そこから先は人それぞれ違う。


違うとうまく変身できないことがあるのだ。


だから俺は途中で詠唱を止めて少女に任せた。


そして、見事、少女は詠唱を完成させた。


俺はそっと手を放して、少し離れる。


少女が詠唱を唱え終わると、少女の中から光が生まれて少女の姿を覆い隠し、数秒後にその光は消えた時には少女は変わっていた。


唯の少女から、魔法少女へ。


学校の制服だった姿から、薄緑色を基本とした魔法服になり、髪色も薄緑色になった。


それにしても、守りあげる世界をか。大層なことで。


とりあえず、ここまでくればもう安心だな。


「あとは手の先にでも力を込めて、やりたいことを想像しながら願えばいい。それじゃ、あとよろしく」


俺はそう言って誰もいなくなった出口の方へと走る。


「えっ!ちょっとまっ・・・」


少女が何か言ってたが俺は気にしない。俺は元々逃げていたのだ。元凶ではなく、もっと面倒なものから。


そいつらは、すぐ近くまで来てるのが分かったから俺は逃げなければ行けなかった。


走ってる途中で前髪が視界を邪魔する。


あー、もう、邪魔だな。


さっきまでは視界を邪魔するほど無かったが、自身の中にある魔力を使ったせいで髪が伸びて来たのだ。


そんな感じで俺は、新たに魔法少女を産み出して逃げ延びたのであった。



----------


学校の帰り道に地下鉄の電車を降りて外に出ようとすると、それは突然現れた。


黒い霧を纏いながら見える一見外見は黒いライオンの様な物に、牙や爪が長く伸びている化け物。魔物(モンスター)が現れたのだ。


私たちは直ぐに逆方向の出口に逃げようとした。その途中で、ふと魔物(モンスター)の方を見ると一匹だけではなく、何匹も何匹も沢山現れていた。


しかし、それと同時に、電車の外にいた少女二人が何かを唱えて、光り輝き出した。


その輝きが消えると、そこには赤色の服に赤色の髪の少女と、青色の服に青色の髪の少女がいた。


そう、彼女達は魔物(モンスター)から私達一般人を守る魔法少女だった。


二人の魔法少女は、多数の魔物(モンスター)に近づき、そして火の玉のような物や水の矢のような物を魔物(モンスター)に向かって放っていた。


それにより、魔物(モンスター)は徐々に数を減らし消滅していった。


しかし、やはり二人対多数という状況で取り逃がした魔物(モンスター)の一匹がこちらに向かって走ってきた。


それに気付いた青色の魔法少女は、咄嗟の判断で私の後ろにいた男の人の手前までは、魔法の壁を張り魔物(モンスター)の行く手を阻んだが、男の人と私は取り残されて逃げる羽目になった。


焦りと恐怖の中で足はうまく動かない。


後ろにまだ男の人がいるとはいえ、怖いことに変わりなく、そして私は、転んだ。


そのまま唯一、後ろにいた男の人に抜かれて魔物(モンスター)が転んだ私を目掛けて噛み付こうと襲いかかってきた。


「いっ!、嫌っーーー!」


私は叫んだ。叫んでもどうしようもないけど、叫ぶ事しか出来なかった。


私はここで一生を終えるんだ。


私は恐怖に耐えられずに目を瞑った。


楽しかった事、辛かった事、母親の事、父親のこと、友達の事が走馬燈のように流れて行く。


そして、私は・・・


噛みつかれなかった。


「グラァー!」


何が起きたのかと目を開くと、


魔物(モンスター)は叫びながら小さく後退していた。


そんな魔物(モンスター)と私の間にいるのは、先ほど私の事を抜いたと思っていた男の人だった。


その男の人が殴りつけて魔物(モンスター)を後退させたようだ。


「たっ、助けてくれたの?」


私は半信半疑に問いかける。


だって基本的に魔物(モンスター)を倒せるのは特別な少女、魔法少女だけなのだ。


だから男の人が、自らの身を呈して守ってくれるなんて思ってもいなかった。


彼はとても良い人なのだろうか。


「いや、俺が助かるためにお前に戦ってもらおうと思ってな」


「え?」


しかし思っていた言葉とは、全く違う言葉が返ってきて私は驚いた。


私が戦うって何?


貴方が助かるなら、私を見殺しにしてその間に逃げれば良かったんじゃないの?


彼の言ってる事はよくわからなかった。


「力を与えてやる。一緒に唱えろ。途中からは自分の中に響き渡る声をそのまま唱えろ!」


「え?」


彼は、またよくわからない事を言った。


力って何?


唱えるって何を?


しかも彼は、いきなり私の腕を握ってきて私の手を魔物(モンスター)に向けた。


「え?じゃない!死にたいのか!」


「わっ、わかった」


そして色々な疑問を感じていると怒鳴られた。


確かにこの状況だと何かを考えている暇がなさそうだ。


逃げるにしても、この状況なら魔物(モンスター)の方が足が早いから、追いつかれてしまう可能性が高い。


取り敢えず死ぬにしても、助かるかもしれない道として彼の言うとおりにしてみよう。


もし彼の言う事を聞いても、死んだなら彼を恨めば良いんだ。


そして私は男の人の真似をしながら復唱した。


「私は願う、過去、未来」

「私は願う、過去、未来」


しかし、唱えていると彼が触れている腕から何かが流れ込んできたみたいで、それがとても熱く感じて私は咄嗟に反応して、


(あつ)っ」


驚きにより詠唱とは関係ない声をあげてしまって、詠唱を中断してしまい男の人に睨みつけられる。


けど、熱くなるって知らなかったんだもん。


知ってたら耐えられたよ!


「我慢しろ!死ぬよりはマシだ!もう一度行くぞ!」


「はい!」


男の人がまた怒鳴って、ああ、この人も生きる為に必死なんだなって思った。


だから私は素直に返事をした。


そしてまた唱えていく。


「私は願う、過去、未来」


男の人が途中まで一緒に唱えて、その後、男の人は何も言わなかったけど、何処からともなく私の中に流れ込んでくる声が聞こえ、それをそのまま唱える。


【私は願う、過去、未来、そして今を築く。この力と共に、守りあげる世界を!】


そして、私の中心から光り輝き出した。


私の中にある何かが全身を巡って、そして外に出て私を包み込む。


そして輝きが消えて、私は自身の姿を確認すると、私の着ている服が薄緑色の服に変わっていた。


髪の毛の色も薄緑色に変わっていた。


私はつい先ほど、これに似たものをみた。


それは、普通の少女が魔法少女に変身した時。


そう、私は普通の少女から、魔法少女になったのだ。


そして、私は魔物(モンスター)から人を守る役割を得たのだ。


男の人はそれを見て、最後に言葉を残して去っていった。


「あとは手の先にでも力を込めて、やりたいことを想像しながら願えばいい。それじゃ、あとよろしく」


「えっ!ちょっと待って下さい!」


私はそれを見て叫んだが、それは無駄に終わった。


こういうのって、パートナー的な人が魔法の使い方を説明してくれるものじゃないの?


なんで去っていったの?


「グルルッ、グラァー!」


そして、男の人がいなくなったとばかりに魔物(モンスター)は動き始めてこちらに襲いかかってきていた。


私はまだ魔物(モンスター)に向かって手を向けたままだった。


えっと、最後に男の人が言っていた言葉は、手の先に力を込めてやりたいことを想像して願うだった。


私は手の先に、私の中にある不思議な物を込めるように想像する。


私はこの魔物(モンスター)から人々を守りたい。


赤色魔法少女や青色の魔法少女が魔物(モンスター)から人々を守ってくれたみたいに!


そして、大切な物を、もう、奪われないように!


「グラァ!」


魔物(モンスター)が私に攻撃してきた。


けど私はさっきみたいに目をつぶらなかった。


魔物(モンスター)から大切なものも、この世界を


誰かじゃなく、私が守るんだ!


そう考えていると頭の中に何を唱えればいいのかが浮かんできた。


私は、その言葉を叫んだ。


アイギス(絶対防御)!!】


そして、私の手の先から透明な、それでいて所々が光っていて、そのおかげで見ることのできる壁が生まれた。


「グゥラァ!」


そのまま魔物(モンスター)はその壁、『アイギス(絶対防御)』にぶつかって悲鳴をあげた。


これが私の力・・・


魔物(モンスター)は透明な壁に攻撃しているが、何も影響がない。


あれ?でも、このままだと勝てないよね・・


えっと・・、さっきの男の人、この後どうしたら良いですか?・・・


そう思ったら、次の瞬間には魔物(モンスター)が燃えていた。


そして、氷に貫かれて消滅した。


「大丈夫!?」


それと同時に、魔物(モンスター)の奥の方から声をかけられた。


声を掛けてきた人は赤い服を着た魔法少女だった。その隣からは青い服を着た魔法少女もいる。


助かったんだ。


「えっと、君は・・・、うん。魔法少女になったばかりだね。ようこそ、魔法少女の世界へ。でさ、少し前に不思議な男の人いなかった?」


「いや、最近なったてことは、黒色聖母(こくしょくせいぼ)様がこの子を魔法少女にしたんだと思うよ」


赤色の魔法少女が私に話しかけてきたと思ったら歓迎されて質問された。それを時間差がなく青色の魔法少女が赤色の魔法少女に言葉を返す。


えっと、男の人ってさっきの人かな?その人が、男なのに黒色聖母(こくしょくせいぼ)と呼ばれているのかな?


「あ、そっか!また魔法少女を産むだけ産んで逃げたな!」


「そうみたい、となると、もう近くにはいないかも知れない」


私を放っておいて話を続ける二人の魔法少女。


「えっとその男の人って?」


私は取り敢えず一番の疑問を聞いてみた。


「あ、えっとね。私達の母っていうか、父っていうか、まあそんな感じの人!」


私の事を忘れていたのか、最初は驚いた感じだった。けどその後ちゃんと返してくれた赤色の魔法少女さん。


「母?父?」


そこまで歳を取ってたように見えないけど、いや、むしろ私達とあまり年代が変わらないように見えた。


「私達を魔法少女にしてくれた人。魔法少女が魔法少女を産むには魔力を分け与えないと行けない。分け与えた魔力は相当な時間が経過しないと直らない。魔力とは魔法少女にとってとても大切なもの。だから魔法少女にしてくれた人は魔法少女にされた者にとって母みたいなものなの」


私の疑問に答えてくれた青色の魔法少女さん。


えっと、でもあの人、男じゃなかった?男の人って魔力ないんじゃなかったっけ?


「あの人は特別なの」


私の思っていたことが顔に出ていたのか、答えてくれる青色の魔法少女さん。


特別なんだ・・・


あ、でも、そうなると私にとってもあの人、黒色聖母(こくしょくせいぼ)さんは、母?父?みたいなものなんだね。


「取り敢えず!魔法少女になったからには、魔法学園に転入する事になるからよろしくね!」


赤色の魔法少女はそう言った。


あー、魔法少女だけが通えるというあの魔法学校か!


小中高と大学、専門を取り入れた学園で、制服も可愛くて、周りから憧れているその学園に私が入る。


黒色聖母(こくしょくせいぼ)さん、ありがとうございます。


「これから、いろいろ環境が変わると思うけど頑張ってね」


青色の魔法少女がそう言って応援してくれた。


「はい!頑張ります!」


そうして、私は魔法少女になり、魔法学園に通うことになったのだった。

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